現代の日本において、「子育ては大変だ」という議論を目にする機会は多い。 たしかに子育ては大変である。その苦労が広く伝えられることは重要だろう。 しかし一方で、子育ての大変さに注目が集まるあまり、その喜びや楽しさが十分に伝わらなくなってしまったとしたら、それは残念なことだ。 子育てにはどんな喜びがあるのか? 子育ての喜びを繊細に分析する「子育ての美学」というジャンルを研究する、大妻女子大学の森功次准教授の論考をお送りする。 子どもの「かわいさ」を考える この記事はあえて「自分の子ども(8歳)に向けて語る」というスタイルで書かれている。なぜそんな書き方をするかというと、この記事のテーマが「子どものかわいさ」だからだ。 あらためまして、こんにちは。今日はきみにむけて、きみのかわいさについての話をしよう。 ぼくはふだん、大学で先生をしている。教えているのは哲学という学問で、特に美や芸術について考え
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