朝鮮人に「文化的洗練さ」を植えつけた日本の桜 環境学者のシン・ジュンファン(67)は先日、開花寸前の桜並木を歩きながら、濃い紅色のつぼみの周りに生える細かい毛を観察した。 韓国の古都・慶州に咲いているのは、日本で一般的なソメイヨシノだ。シンの団体は、それらを韓国原産の王桜に植え替えたいと考えている。 「これらは私たち(韓国人)の祖先の土地で育っている日本の桜です」と、韓国の国立樹木園の元園長であるシンは言う。ソメイヨシノと王桜の見分け方は、王桜には毛がないことだ。
米国での公開から約8ヵ月遅れて、映画『オッペンハイマー』がようやく日本でも公開を迎えた。欧米各紙がさっそく日本人の反応を報じるなか、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は日本の平和活動家や研究者、評論家、そして一般の人々の多様な意見を伝えている。 「もっと何かしてほしかった」 3月29日、「原爆の父」を描いた伝記映画『オッペンハイマー』が、ついに日本で公開された。 この映画を観た22歳の奥野華子(かこ)は、科学者たちが轟音を響かせながら足を踏み鳴らし、星条旗を振って広島での原爆投下を祝う場面に衝撃を受けたという。広島県出身で、平和・環境活動家として活動してきた彼女は、科学者たちの歓喜の表情を見て「本当にショックでした」と語る。 クリストファー・ノーラン監督による『オッペンハイマー』が米国で大ヒットを記録してから8ヵ月が経ったいま、本作は原爆投下という日本の歴史上、最も痛ましい出来事について、米国
半導体ニーズの高まりに応じ、その生産能力が世界中で拡大されている。そのなかでいま欧米企業の注目を集めているのが、マレーシアだ。すでに世界第6位の半導体輸出国である同国でいま何が起きているのか、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が探った。 マレーシアでの工場建設ラッシュ マレーシア北部・ペナン近郊のクリム・ハイテクパーク工業団地では最近新しい工場が作られた。その建物はいまだに建設用クレーンに囲まれているが、内部ではオーストリアのプリント基板大手AT&Sの労働者たちがすでに働いている。彼らは、年末までのフル生産のために準備を進めているのだ。 最近、マレーシアの工業地帯への事業移転や拡大をする欧米の電気・電子機器メーカーが増えているが、AT&Sもその一社だ。 半導体メーカーの米インテルと独インフィニオンはそれぞれ70億ドル(約1兆円)をマレーシアに投資している。AI半導体のエヌビディアは、同国のコン
数多のコンテンツのなかから、いま見るべき映画・海外ドラマを紹介する連載「いまこの作品を観るべき理由」。今月のおすすめは、1940年代のパリを舞台にディオールとシャネルとの確執を描く『ニュールック』だ。 実話からインスピレーションを得て製作された『ニュールック』は、世界大戦を生き抜いたクリスチャン・ディオールと同時代に活躍したオートクチュールデザイナーたちの物語を、豪華キャストで描くAppleTV+のオリジナルシリーズだ。 戦後、“ニュールック”と呼ばれる画期的でアイコニックなスタイルを生み出し、新たなファッション・アイコンとなったディオール(ベン・メンデルソーン)と、当時すでにファッション界に君臨していたココ・シャネル(ジュリエット・ビノシュ)。 シャネルはパリを離れていた間に自分の地位を脅かす存在となった新星ディオールとライバル関係にあった。予告編にあった美しいファッションの数々や演技派
イスラエルのエルサレムで3月31日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の退陣を求める反政府デモに数万人が参加した。昨年10月にイスラエルとハマスの戦争が始まって以来、最大規模のデモだと報じられている。 デモ参加者らはネタニヤフの退陣と同時に、早期の総選挙実施とハマスに拘束されている人質の解放を求めた。
話題作『オッペンハイマー』がようやく日本でも公開された。2023年夏に米国で封切られた当初から、原爆投下後の広島・長崎の惨状や被災者の描写がないことの是非が議論されていた作品だ。 パリ政治学院で教える歴史学者のポール・ハムは、この映画で日本の被害が描かれなかったことを批判し、その判断の裏にあるハリウッドの思惑を指摘する。 アカデミー賞に現れた「亡霊」 2024年のアカデミー賞授賞式には日本人少女の亡霊がいたが、誰も彼女に気づかなかった。 舞台袖に座っていた彼女の顔はただれ、血液は毒され、皮膚には無数の移植の跡があり、心にも傷を負っていた。すべてはJ・ロバート・オッペンハイマーがしたことの直接的な結果である。 アカデミー賞では彼の生涯を映画化した『オッペンハイマー』が最多7部門を受賞する栄誉に輝いた。しかし、この作品は、原爆投下の決定における彼の重大な役割と、それが引き起こしたすべての死と破
先日、アカデミー賞視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』は、北米興行においてアニメを含めた日本映画として歴代2位の快挙を達成した。山崎貴監督自身が「わけわかんない」と言うほどの反響を生みだした同作に魅力について、米誌「アトランティック」が興味深い分析記事を掲載している。 消された米国の存在 日本で最も有名な映画シリーズの33作目であり、アカデミー賞にノミネートされた最初の作品である『ゴジラ-1.0』が始まって30分後、脚本家兼監督の山崎貴は、歴史再定義のカーブボールと呼ぶべきものを投げてくる。 TikTok向けに編集されたニュースリールのような切迫した焦燥感で、機密文書や海図、点滅するレーダー画面、顔のない軍人たちを映した白黒のモンタージュ映像が、英語と日本語のほとんど聞き取れないナレーションとともに60秒足らずの間に駆け巡る。しかし、そのメッセージは非常に明快だ。 被曝した巨大生物が日本
2024年開催予定のパリ・オリンピック開会式のヘッドライナーは、マリ系フランス人歌手の「アヤ・ナカムラになるかも」との噂が立っている。 これに対し、一部のフランス国民が猛反対していると、英紙「ガーディアン」が報じている。 アヤ・ナカムラは現在、「世界で最も聴かれているフランス語の歌手」であり、フランス版「ヴォーグ」の表紙を飾るなど、ファッションやポップカルチャーのアイコン的存在である。 2018年のヒット曲「Djadja」はYouTubeで約10億回再生されており、2021年にリリースされたセカンドアルバムは、スポティファイ上でのストリーミング数が10億回を超えている。 さらに、パリにあるフランス最大の屋内競技場での彼女のコンサートチケットは「15分で完売」するなど、同紙によれば「フランス語のアーティストとしては前例のない」人気を博している。
低成長を続ける日本経済が回復する兆しはなかなか見えず、世界3位を維持してきた名目GDPも2024年2月にドイツに抜かれた。欧州議会の顧問などを務める経済学者ダニエル・グローは日本経済低迷の原因を独自に分析し、欧州諸国に「同じ失敗をするな」と警鐘を鳴らす。 日本はもっと、よくなっていいはずだ。 労働者の教育レベルは高く、かつよく訓練されているし、社会全体としての投資額は多くの先進諸国を上回っている。たとえば日本における研究開発費はGDPの3.3%を占め、最近まで米国よりも高かった。にもかかわらず、日本経済は相対的に低迷しつづけている。 ドイツ人経済学者で欧州政策策定協会の所長でもあるダニエル・グロー。欧州各国の政府や中央銀行の顧問を経て、現在は欧州議会の顧問を務める。米シカゴ大学で経済学の博士号を取得。専門は金融・財政政策、為替レート、気候変動など Photo: Puramyun31 / W
ほかの国々の成長を前に、停滞を続ける日本経済。輸出は減少し、高齢化に歯止めはかからず、グローバル化の波からは取り残されてしまった……転落一直線に見えるこの国に、未来はあるのか。フランス人歴史家クリスティアン・ケスレーが仏紙「フィガロ」で指摘した日本の問題点と、回復の条件。 GDPランキングでドイツに抜かれ、世界第3位の座を失った──このニュースは、日本のあらゆるメディアによって盛んに報じられた。 2010年、中国に抜かれて第3位となった日本は、さらにドイツによって──ドイツ経済もここ数ヵ月、低迷気味であるが──降格を余儀なくされた。これについてはすでに2023年10月の時点で、国際通貨基金(IMF)はドイツの名目GDPがおよそ4兆4000億ドルなのに対し、日本は約4兆2000億ドルに止まっていることを公表していたため、驚くには当たらない。 とはいえ、隣国の中国に追い越された苦い経験を持つ日
「マーティン・スコセッシが紹介する聖人たち」 映画監督のマーティン・スコセッシが、新たなドキュメンタリーシリーズ制作の陣頭に立つと発表した。 「マーティン・スコセッシが紹介する聖人たち」と題されたこのシリーズでは、スコセッシが司会、ナレーター、製作責任者を務め、ジャンヌ・ダルク、洗礼者ヨハネ、マグダラのマリア、アッシジのフランチェスコなどキリスト教の聖人8人の物語が各回で紹介されると米紙「ニューヨーク・タイムズ」は報じている。 このシリーズは、米保守メディア「フォックス・ニュース」が2018年に立ち上げたストリーミング・サービス「フォックス・ネーション」で2024年11月より配信予定だという。同紙によれば、このサービスは保守的な視聴者向けの「ネットフリックス」みたいな位置づけとのことだ。
パンデミック以降、ニューヨークなどの米国都市部では、人気のレストランの予約が、かつて無いほど難しくなっていると言われている。 そんななかニューヨークでは、正式に会員制にはしていないが、「実質会員制になっているレストランが増えている」と、米誌「ニューヨーカー」が報じている。 この「実質会員制」の会員とは、確実にお金をたくさん使ってくれる「常連」で、予約が取れない人気店の多くが、彼らのために席を優先的に押さえているのだという。 たとえば、超人気店では、毎週何曜日の何時に窓側の席に座るのはあの夫婦、奥の席はあのグループ、カウンター席はひょっこり常連が誰かとやってきたときのためにーー、といった調子で、ほとんど席は埋まっている。 そのため、他の人たちが大衆向けの予約サイトを通じて席を確保できる可能性は「限りなくゼロに近い」。
互いに「仮名」で呼び合う従業員 中国ECサイトTemuの親会社PDDホールディングスは2023年7~9月期決算で、前年同期比の2倍に近い94億ドル(約1兆4200億円)を売り上げた。 だが同社の物流部門は、競合他社と比べてかなり小さい。2023年初頭時点でPDDの従業員数は、アリババやアマゾンより大幅に少ない1万3000人弱だった。物流関連のインフラも小規模で、この点もアリババやアマゾンとは対照的だ。 アリババが1100ヵ所の倉庫の維持管理などを含め、有形固定資産に年間50億ドル(約7550億円)を費やしているのに対し、PDDの支出額は1億4600万ドル(約220億円)に過ぎず、オフィス備品やIT機器、ソフトウェアがメインだ。PDDのインフラに関するデータは、「充実したサービスのために物流に力を入れる」というEC業界の定石を覆すものだと言える。 PDDの物流網はほとんどが外部委託のため、数
世界経済を根本から変えた、日本発の「量的緩和」政策 1995年9月2日、日本経済新聞は、ドイツ人エコノミスト、リヒャルト・ヴェルナーの記事を大きく取り上げた。日本は第二次世界大戦の惨禍から驚異的なスピードで立ち上がり、世界第2位の経済大国になった。しかし、1980年代に巨大な資産バブルが発生し、その崩壊後に深刻な不況に陥った。 日本が抜け出せなくなった不況の解決策として、香港の投資銀行に勤めるヴェルナーは中央銀行による信用創造を提案していた。この方法は「量的金融緩和」と呼ばれていた。 それから数十年間、彼のアイデアは形を変えて採用され、2001年の日本、2008年の米国と欧州、パンデミック中の2020年に積極的に導入された。各地の中央銀行が量的緩和政策を通じて創出した信用総額は、いまや300兆ドル(約4京5430兆円)を上回る。 量的緩和政策によって巨額の資金がもたらされたことによって、現
見直されたトヨタの決意 この10年間、自動車業界でもっとも声高にハイブリッド車を擁護してきたトヨタの経営陣が、いま、ある種の正当性を感じていたとしても不思議はない。 バッテリーと従来の内燃機関(エンジン)を組み合わせたハイブリッド車に多額の投資をするというトヨタの頑固なまでの決意は、これまで投資家と環境保護団体の双方から批判を浴びてきた。 消費者は割高なEV(電気自動車)の購入をためらうに違いないと、トヨタは繰り返し訴えてきた。そしていま、欧米市場で価格の高止まりと充電インフラの不備への懸念から、バッテリー電気自動車への熱狂が冷めつつあるなか、かつて異端扱いされていたトヨタの主張が見直されつつある。
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