2023年8月30日、江口大和弁護士(37歳、第二東京弁護士会)を被告人とする「犯人隠避教唆」について、最高裁第一小法廷(深山卓也裁判長)は、江口氏の上告を棄却した。 弁護士が犯罪者という異例の事件だ。逮捕も、一審・横浜地裁の有罪判決も、テレビ・新聞が大きく報じた。「虚偽の供述を依頼した」とか「弁護士としての知識を悪用した」とか。もうすべての人が思ったろう、「わっるい弁護士がいたもんだ!」と。だが、私は知っている。これ、どうやら冤罪だ。聞いてほしい。 2019年1月のその日、私は横浜地裁にいた。レーダー式測定機(日本無線のJMA-230)による32キロ超過の否認裁判があったのだ。終わって帰り際、別の法廷の開廷表に「道路交通法違反、犯人隠避、犯人隠避教唆」の判決を見つけた。被告人は2人だ。 犯人隠避(刑法第103条)とは、隠れ家を提供する以外の方法で犯人を検挙から逃れさせること。オービス事件
2017年9月25日 元検察官の落合洋司弁護士が衆議院選挙に出馬するというので、以前から気になっていたこの方の司法に対する無理解、無思慮な発言について記しておこうと思います。 2001年に管制官が便名を言い間違えたことをきっかけとしてニアミスが起き、けが人が多数発生した日本航空機のニアミス事件がありました。言い間違いをした管制官とその指導をしていた管制官が業務上過失致傷罪で起訴され、一審では無罪とされたものの高等裁判所で逆転有罪となり執行猶予付きの禁錮刑を言い渡されました。最高裁判所でもその判決が覆されなかったため有罪が確定し、禁錮以上の刑が確定した者は失職するという公務員の規定により職を失いました。最高裁判所では有罪は覆されませんでしたが、最高裁判所でこの事件を担当した5人の裁判官のうち櫻井龍子裁判官だけは、この事件は無罪とするべきだとして全体の意見と異なる反対意見を述べました。落合洋司
詐欺の罪に問われ、その後無罪が確定した60代の男性が、裁判担当の検察官は、起訴された内容と矛盾するSNSのやり取りを把握していたのに有罪を求めたと主張して、公務員職権濫用などの疑いで検察に刑事告訴しました。 名古屋市にあったコンサルティング会社の元社長の男性(61)は、5年前、融資の担保にできる債権があると知人に信じ込ませ、現金3000万円をだまし取ったとして詐欺の罪に問われましたが、その後、無罪が確定しました。 裁判では、知人らが交わしたSNSのやり取りが、起訴された内容と矛盾することが明らかになっていました。 男性は、裁判担当の検察官が、こうしたSNSのやり取りを把握していたのに有罪を求めたと主張して、公務員職権濫用などの疑いで名古屋地方検察庁に刑事告訴しました。 男性は記者会見で、「『おかしいな』と引き返すチャンスがあったにもかかわらず、一般市民の私を犯罪人に仕立て上げた。被告だった
取り調べの立ち会いも議論の対象になった法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」で、法曹ではない、民間出身の委員として問題提起を続けた映画監督・周防正行さん。裁判員裁判事件などに限り取り調べの全過程を録音録画(可視化)することを求めるなどの答申案がまとまってから間もなく10年、いまの刑事司法はどう映るのか。 ――2011年に始まった特別部会では、村木厚子さんらとともに取り調べの録音録画の対象を「全事件・全過程にすべきだ」などと主張されていました。 逮捕前の取り調べや、被害者や参考人も含めた全ての取り調べを対象にすべきだと考えました。逮捕後だけ可視化すれば、逮捕前に自白をとろうとするだけです。参考人らの供述でも、きちんととられたものか検証するには可視化は必要です。 ――しかし、捜査機関側からの反発もあり、実現しませんでした。 大阪地検の証拠改ざん事件(10年発覚)で、法務省側は「特捜部がなく
罪がないのに罰せられる。人権の観点でいえば、最悪ともいえる扱いが冤罪(えんざい)だ。なぜ、こんな理不尽なことが起こってしまうのか…。繰り返されてはならない失態が絶えない原因に、あえて冷静に向き合い、再発を防ぐ失敗学として、2年の歳月を費やして一冊の本にまとめたのが『冤罪学』(日本評論社)だ。 著者の西愛礼氏は元裁判官の弁護士。「冤罪事件を批判だけで終わらせず、そこから学ぶことによって再発を防止することがなにより重要」と、過去を丹念に振り返りつつ、心理学など多様な視点も盛り込み、冤罪の発生メカニズムを解明。起こさないために知っておくべきことを416ページに網羅した。本に凝縮した思いを聞いた。 無実を証明する困難さVS有罪を確定させたい捜査側 冤罪は「罪がないのに疑われ、または罰せられること」と定義されています。法治国家でなぜこのようなひどいことが起こってしまうのでしょうか。 西弁護士:端的に
新型コロナの経済対策として行われた国の給付金制度で性風俗業が対象外とされたことについて、「職業差別で法の下の平等を定めた憲法に違反する」として、事業者が国を訴えた裁判の2審で、東京高等裁判所は「給付対象にすると、国民の理解を得るのが難しいと判断した理由には合理性がある」として、1審に続いて憲法に違反しないと判断し、訴えを退けました。 関西地方の性風俗事業者は、新型コロナの影響を受けた事業者に国が支給する「持続化給付金」や「家賃支援給付金」の制度の対象から外されたことについて、「職業差別で法の下の平等を定めた憲法に違反する」と主張して、国などに賠償と給付金の支給を求めました。 1審の東京地方裁判所は去年、「性風俗業の特徴は、大多数の国民の道徳意識に反するもので、異なる取り扱いをすることには合理的な根拠がある」として、憲法には違反しないと判断し、訴えを退けました。 5日の2審の判決で、東京高等
裁判官からみて、良い弁護士とは、どのような弁護士か(なお、筆者は任官以来民事畑を歩んでいる裁判官であり、本稿は、もっぱら民事事件の代理人弁護士について述べるものであって、刑事事件の弁護人は検討の対象外である。)。 筆者以外の、所謂「真っ当な」裁判官にこの問いかけをしたら、例えば、「高い法的素養を有し、的確な法律構成を提示する弁護士」、「裁判所の判断枠組みを踏まえた主張立証を行う弁護士」、「理路整然とした読みやすい書面を書く弁護士」、「期日における実質的な口頭議論に対応できる弁護士」等々、所謂「優秀な」弁護士の評価根拠事実が、種々挙げられるかもしれない。 しかし、批判を恐れずにいえば、裁判官からみた良い弁護士とは、「和解ができる弁護士」、実のところ、この一点に尽きる。 多数の事件を抱える我々裁判官にとって、和解になじむ事件(単独事件のほとんどはそうであるといえる。)を、取りこぼしなく和解で落
大阪市強姦虚偽証言再審事件(おおさかしごうかんきょぎしょうげんさいしんじけん)とは、強姦罪で起訴された男性Aに有罪判決が確定するも、被害者の女性の虚偽証言だとして再審開始が決定された事件。 概要[編集] 男性Aが大阪市で女性Bに対して2004年11月と2008年4月に二度に渡って性的暴行、また、再び2008年7月に女性の胸をつかむなどしたとして、2件の強姦罪と1件の強制わいせつ罪で男性Aが逮捕、起訴される。 男性Aは一貫して無罪を主張。しかし、2009年に大阪地裁(杉田宗久裁判長)は「14歳だった女性がありもしない被害をでっちあげて告訴するとは考えにくい」「強姦被害を打ち明けるまでに数年を要していたり,実母に問い詰められるまでは尻や胸を触られた旨打ち明けるに留まっていたなどの事情も存するが,当時のAの年齢や境遇からすれば,被害を打ち明けるまでの経過に何ら不自然・不合理な点はない」「兄である
目次 1 はじめに 2 司法修習生による取調べ修習の違法説の根拠 3 司法修習生による取調べ修習の合法説の根拠 4 相島六原則 5 違法説から合法説への反論 6 取調べ修習に関する国会答弁 7 司法修習生の取調べに関する裁判例 8 関連記事その他 1 はじめに (1) 司法修習生による取調べ修習の適法性は,昭和22年の第1期司法修習から問題となっていました(「造反-司法研修所改革の誘因-」(昭和45年6月10日発行)85頁)。 (2) 日弁連HPの「司法修習終了時点から見た司法修習生の実務修習について」8頁に,相島六原則の説明があります。 2 司法修習生による取調べ修習の違法説の根拠 ① 取調べの主体について定めた刑事訴訟法198条1項は,「司法修習生」を主体としてあげていない。 そのため,司法修習生による取調べは,同法197条1項ただし書が定める強制処分法定主義に違反する。 ② 憲法31
旧優生保護法(1948~96年)下で強制不妊手術を施されたとして、宮城県内の70代と80代の男性2人が国に計6600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が5日、仙台高裁であった。小林久起裁判長は「正義公平の観点から(国に)本件の責任を免れさせて良いのかという点から(判決を)判断したい」と発言した。また原告が高齢化し、裁判が長引いていることを踏まえ、裁判長は「早期に判決をする必要がある」として、9月22日の次回弁論で結審する方針を示した。 1審・仙台地裁判決(23年3月)は旧法を違憲とした上で、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅するとの国側主張を退け、2人に計3300万円を支払うよう国に命令。国が控訴した。
2024.04.07 読者の皆様方。『創』5月号が発売中です。宜しくお願いします。 カテゴリ:カテゴリ未分類 #長崎県警島原警察署は地裁が警察案件だと判断して当初の担当者が署として受理し解決すると約束した事を解決せずに2裁判官を依願退官に追い込んだ事と僕と老親に大損害を与えた事を償って下さい 読者の皆様方。 申し上げるべきことを漏らしておりました。 僕の居住地のTSUTAYAさんでは、毎回、都市部より数日発売が遅れるので、うっかりしておりました。失礼いたしました。 今月は本日(7日)が日曜日のため、『創』5月号は、昨日、発売開始されました。 僕の大好きなマンガ・アニメ関連の記事が満載です! 皆様方にもご満足いただけると存じます。ご購入くださいませ。 本屋さんで売り切れていた場合はこちらからどうぞ。 ↓ ↓ 創出版 (tsukuru.co.jp) 彼のような警察官に警察協議
元裁判員が裁判の内情を異例の告発 ここで取り上げる事件は、2016年12月に長崎県対馬市で起きた父娘放火殺人事件だ。逮捕され裁判で無期懲役が確定した須川泰伸受刑者やその家族とは半年前からやりとりをしているが、今回の主要テーマはその事件そのものではない。 その1審で裁判員に選ばれた人物が、自分が関わって被告が有罪になった裁判をめぐって、本当にこれで良かったのかと疑問を呈し、内部告発を行っているのだ。 裁判員制度が始まってもう14年になる。最近はそのあり方をめぐっていろいろな議論が起きているが、元裁判員がこんなふうに赤裸々に告発を行うのは異例のことだ。そもそも裁判員裁判での評議内容などは守秘義務が課せられており、裁判員経験者が発言すること自体そう多くはないのが実情だ。 そもそもこの事件は決定的な証拠がなく、元被告は一貫して無罪を主張、服役するようになってからも、これは冤罪だと叫び続けている。も
シンポジウム「人質司法を考える」 「人質司法」という言葉があります。 罪を認めなければ長期間にわたって身体拘束されるという日本の刑事司法の実務運用は、被疑者・被告人の身体を人質にして有罪判決を獲得しようとするものだとして「人質司法」と呼ばれ、国際的にも強く批判されてきたのです。 先日、冤罪救済団体イノセンス・プロジェクト・ジャパンと国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの共同プロジェクトである「ひとごとじゃないよ!人質司法」のローンチイベントに弊所の秋田と西が登壇いたしました。 このシンポジウムは下記動画でアーカイブを見ることができます。一般市民の方も法曹関係者の方も楽しめ、勉強になる内容になっていると思います。 とても刺激的で、何度も会場で笑いが起こる面白いシンポジウムでした。色々な方が「今まで出席したシンポジウムで一番面白かった」と口々に言っていたのが印象的でした。 私も登壇してお話
1.内定=労働契約の成立 採用内定の法的性質については、 「採用内定の過程で労働契約が成立し、その後の内定取消は労働契約の解約(解雇)にあたるため、内定者は合理性・相当性を欠く内定取消(解雇)の無効を主張して労働契約上の地位確認を求めることができるとする見解」 があります。これを労働契約成立説といいます(水町勇一郎『詳解 労働法』〔東京大学出版会、初版、令元〕456頁参照)。 採用内定の法的性質について、労働契約成立説を採用する裁判例は少なくありません。最高裁判例の中にも、採用内定の法的性質について、 「採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解するのを相当とした原審の判断は正当」 と判示したものがあります(最二小判昭54.7.20労働判例323-19 大日本印刷事件参照)。 労働契約成立説の説明の中でも触れられていますが、採用内定が出た時点で労働契約が成立していると理
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