手厚い少子化対策で知られるスウェーデンでさえ… 約20年前、オーストラリア政府は、ピーク時に子供1人あたり約6000ドル(約79万円)に相当する現金を支払う「ベビーボーナス」プログラムを試みた。 キャンペーンが開始された2004年当時、国の出生率は女性ひとりあたり約1.8人だった。 このプログラムにより、2008年までに出生率は約2.0まで上昇したが、プログラムが終了してから6年後にあたる2020年までに、数値は1.6まで低下。つまり、プログラムが最初に導入されたときよりも下がった。
男女ともに30代半ばになると生殖能力が低下し、子供を持ちにくくなることが知られている。しかし、現代ではより多くの人が高い教育やキャリアを求め、特に女性は結婚や出産を遅らせるようになった。しかし、そうすることで女性の結婚相手としての魅力はどう変化するのか、米ペンシルベニア大学ウォートン校で研究が行われた。 結婚相手としての魅力と生殖能力の関係 米ペンシルベニア大学ウォートン校のコリン・ロー准教授は、新たな研究結果を発表した。そこで導き出されたのは、女性が年齢を重ねても恋愛の相手として魅力的であり続けるには、1歳ごとに年収が7000ドル(約90万円)多くなければいけないということだ。 ビジネス経済学と公共政策の教授であるローは、2つの論文を書き上げている。そこで明らかにされたのは、「受胎資本」という生殖能力の経済的価値だ。また、女性が教育やキャリア形成に時間をかけることで失うものについて考察し
理想的な能力主義が実現しても“ダークサイド”はある ──著書『実力も運のうち 能力主義は正義か?』では、私たちが暮らす民主的な社会に取り入れられてきた能力や功績(メリット)という概念が凝結し、それが社会的敬意を根っこから蝕んでいると論じています。 具体的には、能力主義によって「勝者は自分たちの成功をみずからの手柄と考え、敗者はエリートから見下されていると感じるようになった」と主張されています。能力主義社会ではどうすれば勝者になれるのでしょうか。逆に言えば、能力主義社会における敗者とはどういう状態、どういう人なのでしょうか。 重要なのは、有能という(望ましい)意味の「メリット」と、「メリトクラシー(能力主義)」を区別することです。能力主義とはルールからなるシステムであり、人が何に値するかに基づいて所得や資産、影響力を分配する手段です。 まずは、きわめて常識的で反論の余地がない有能さとしてのメ
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