各国の法人税の税率をめぐり、さや当てが起きている。著しく税率の低い国に企業が本社を置いて節税することに、政治家や市民のいらだちが高まる。世界で続く法人税引き下げ競争は、法人税摩擦の性格も帯びてきた。 ■「税金逃れ」英で市民抗議 4日、ブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)首脳会議。ドイツとフランスが提案した新ルールに、緊張が走った。欧州全体の競争力を高めるためとして、政府の借金をどう削るかを法律で決めることや、インフレに応じて上がる給与制度を見直すことなどを求めた。その一つに「法人税の最低税率を導入する」が含まれていた。 欧州最低水準のアイルランドの法人税率(12.5%)を上げさせる意図があるのは明らかだった。アイリッシュ・タイムズ紙によると、会議ではサルコジ仏大統領が、EUによるアイルランド救済を引き合いに出し、「私はあなたを救った。あなたのために議会に説明した」と主張して譲歩を要求