仏ベルニエール・シュル・メール(CNN) 目指すは霧の立ち込める砂浜にぽつんと建つ、2階建ての優美な邸宅。付近に民家はなく、地雷原とトーチカ(防御陣地)、敵の機関銃の台座があるだけだ。 1944年6月6日、ノルマンディー上陸作戦の決行日。曇り空の朝、カナダ兵を乗せた10隻のボートは英仏海峡の荒波を越え、1500ヤード(約1.4キロメートル)にわたるノルマンディーの海岸線へ向かった。邸宅はそこに建っていた。 世界最大規模の海上侵攻作戦で、兵士たちに与えられたささやかな任務はベルニエール・シュル・メールの海岸の町を奪還すること。邸宅の占拠が一番の目的だった。兵士たちは航空写真から、その邸宅を鉄道駅だと思い込んでいた。実際のところは何であれ、連合軍の作戦立案者は海岸の制圧後、ここを海の見張り台にしようと考えていた。 邸宅に到達するには、人気のない砂浜を横断しなければならない。どこにも身を隠す場所