コスト主義の耐えられない軽さ

絵を買った。狩野融川という人が描いたものの掛軸である。画面の下方には小さな藻塩焼の作業小屋があり、淡く煙が上がっている。その横にはこれまた小さな1本の桜、その横は浜らしく、おだやかな波が見逃してしまいそうな淡さで描かれている。画面やや上方向にはこれも淡く遠山が描かれ、その下方には一艘の船が描かれているので、その間の大きな空白はすべて海、遠山より上の大きな空白はすべて空なのだろう。 言ってしまえば、ほとんどが空白の紙である。そこに小さく淡い桜や小屋、船などのパーツを配し、全体の空間を支配する春の空気を表す。日本の水墨画ではよく「空気を描く」というが、まさしくそれなのである。有名な長谷川等伯筆の国宝『松林図屏風』も同じ。大胆に余白を残しながら霧中の松木立を描いているのだが、やはり「表現の主題は松そのものではなく、そこに漂う霧なのだ」というのが専門家の解釈である。 国宝の方はともかく、私の買い物

[imai78]

そもそも人が「良い・価値があると感じるトコロ」は人それぞれだし、「美」という感覚も時代によって変わっていくものなので、コスト主義を叩く引き合いとして美術品を引き合いに出すのはどうかなぁ。

[bowbow99]

高付加価値の話; 60年+30秒で皿2枚だとどう解釈するんだろ

[mohri]

日本は厳密には「コスト」ではなく「手数」あるいは「努力」を買っているようにもおもえる

[j0hn]

「いやぁ、いい絵だね。昔は高かったもんだよ。でも最近はだめ。こういう描き込みの少ないというか手数が少ないっていうか、そういうのって高く売れないのよ」「美の量産手段の確立」

[momonga-Z]

うひゃあカッコいいオチ・・・。それはともかく、目で見える手間だけに価値を見いだすってのはいいのか悪いのか・・・。芸術は買ってもらえてなんぼと考えるか否か。

[y_r]

いいじゃん,自分の欲しい物が安く手に入れられたんだから,じゃダメ?.

[riocampos]

何事も時給単価でしか商品価格を換算できないような人にはなりたくないですな。

[takahisa_nagai]

『アールヌーヴォーは欧州が日本の工芸品から大きな影響を受け誕生。「芸術は高度な技能を持つものしか生み出せない」「だから特定階層しか持てない」という状況を打破するという考え方。日本にも逆輸入「民芸」』

[kkbt2]

「15秒プラス60年と考えていただきたい」

[gothedistance]

芸術作品の世界観がコスト主義によって希薄になっている、ということかな。

[zionic]

かっこいいなぁ。人月計算しかできない人には通じないんだろうね。＞「15秒プラス60年と考えていただきたい」

[stonife]

自分もそうだけど、芸術的なものに対して絶対的な判断を下すのが難しい。つまり、何のネームバリューもない（あるいは分からない）人の作品があって、その物の価値についてどれほど自分は判断できるのだろうと・・・

[funaki_naoto]

「15秒プラス60年と考えていただきたい」

[suzu_hiro_8823]

別名「一山いくら」の世界かな。/ま、それなら何も考える必要もなく、薀蓄もいらないからね。/だから高級機っぽく見せようとすると日本ではごてごて高機能化するのかと早合点。

[sharia]

要約：買い手が大量にいる＆自分以外供給者がいない　→　ガンガン値上げＯＫ！　

[pitworks]

付加価値戦略　一瞬に凝縮された高度な技術を「一瞬だから時給単価で安いでしょ」とコスト主義で考えてしまう風潮　描き込みや手数が少ない美術品は高く売れない　美術品は素材の値段や製作コストとは無縁なはず　

[mimizuku004]

『「15秒プラス60年と考えていただきたい」』