【ワシントン大治朋子】米南部テキサス州のフォートフッド米陸軍基地で陸軍の精神科医で少佐のニダル・マリク・ハサン容疑者(39)が同僚の米兵ら13人を射殺した5日の乱射事件は、長期化するイラク、アフガニスタン両戦争で兵士が必要とするメンタルケアの課題を浮き彫りにした。オバマ政権は戦闘に伴う心的外傷後ストレス障害(PTSD)など兵士の精神的なケアの重要性を訴えるが、現場では治療体制の拡充は必ずしも進んでいない。 「従軍を逃げようとする弱い兵士の訴えではない」。両戦争に派遣された米兵の間で、PTSDや爆弾攻撃により脳細胞が破壊される外傷性脳損傷(TBI)を患うケースが急増している問題で、米陸軍副参謀長のピーター・シラリー大将は今月5日、陸軍の年次総会でそう指摘した。精神疾患や似た症状を訴える兵士への偏見をなくし、迅速な対応をするよう求めたのだ。 オバマ政権は今春、PTSDやTBIについて、両戦争を