吉村絵美留『修復家だけが知る名画の真実』を読んだ。 修復家だけが知る名画の真実 (プレイブックス・インテリジェンス) 作者:吉村 絵美留 発売日: 2004/01/01 メディア: 新書 内容は紹介文の通り、 歴史的絵画の発見、2つあるサインの謎…修復の過程で出会った名画の秘密、偉大なる芸術家たちの素顔とは。 という内容。 絵画の修復に興味のある人は、読んで楽しめるはずである。 以下、特に面白かったところだけ。 岡本太郎が使用したカシューと胡粉 まるで黒漆のように異様に艶があるのです。(略)調べてみると、人工漆のカシュウであることが判明しました。 (53頁) 岡本太郎の使う黒色についての話である。*1 なお、著者によると、ミロは艶消しの黒を使ったらしい(96頁)。 胡粉が使われているところは、艶がない分、白の強烈な感じがよく表れていました。 (引用者中略) 普通の絵の具だと、下にある色をあ
フリブール州立公文書館のリオネル・ドート氏とリタ・ビンツ・ヴォールハオザー氏が、フリブール市の裁判所で1493~1741年の間に行われた魔女裁判360件に関する登録簿や文書を6年かけて研究した。スイス法曹協会の法源財団外部リンクは昨年からこれらの史料をオンラインで公開外部リンクしていたが、このたび、全2巻の書籍として出版した。 その価値は郷土史料にとどまらない。ドート氏は「研究では通常、特定の時代や出来事を扱う。これほど長い期間にわたる魔女裁判の全記録がまとめられたのは初めてだ。世界の他の地域との比較に役立つだろう」と話す。 アンシャン・レジーム(旧制度)の現象 魔女裁判といえば、中世ヨーロッパやカトリック教会による異端審問を連想する人が多い。だがこれは一面的な見方だ。ドート氏によると、「一般的には教会が中世にこのような迫害を始めたと思われているが、実際は(1789年フランス革命以前の)ア
記事:明石書店 戦地に渡った電話交換手。背景には数多くの歩兵が描かれている。 書籍情報はこちら ハロー・ガールズとは 英語で電話をかけるとき、「ハロー」と相手に呼びかける。「ガールズ」とは女の子たちを意味する。「何、これ?」と思わせるキャッチーなタイトルだ。副題にある「女性兵士」という言葉がさらに読み手の関心をひく。 第一次世界大戦勃発から3年目を迎える1917年、ウッドロウ・ウィルソン大統領はドイツ帝国との国交を断絶した。アメリカの参戦である。ハロー・ガールズとは、そのとき陸軍通信隊員に選ばれた女性たちのことである。男性兵士は、「歩兵doughboy」や「通信隊員signal corps boys」のように「ボーイ」と呼ばれ、そこには連帯感や思いやり、仲間意識が込められていたという。ガールズという呼称も「褒め言葉」であり、女性通信隊員を軽んじるニュアンスはなかったという。なぜなら、彼女た
文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社 日本語・日本文学の研究書を中心に、人文学書全般を刊行する出版社、文学通信のブログ。 文学だけにこだわらず周辺領域も含め、意欲的に刊行していきます。 出版活動と同様に、webでも積極的に活動することで、多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出していきたいと思います。 〒113-0022 東京都文京区千駄木2-31-3 サンウッド文京千駄木フラッツ1階101 電話03-5939-9027 FAX03-5939-9094 info@bungaku-report.com インボイス登録番号:T4011501023591 2023年9月30日、ジュンク堂書店池袋本店で開催された『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波書店)刊行記念イベントでは、著者の小野寺拓也さん、田野大輔さん、そして『土偶を読むを読む』(文学通信)編著
賀川豊彦(1888-1960)の妻・ハル(1888-1982)を主人公にした小説『春いちばん』(玉岡かおる、家の光協会、2022年)を読み直し違和感を覚えたのは、賀川の偉人ぶりやハルの夫に対する従属性だけではない。彼女の容貌に対するコンプレックスの記述が異様に多いのだ。 賀川は明治の末期、神戸・新川しんかわのスラムで、キリスト教の伝道と救貧活動を始めた。それらの体験を含めた自伝的小説『死線を越えて』(改造社、1920年)で、自らの恋愛・結婚観や、ハルとのなれそめを詳しく書いている。『春いちばん』は『死線を越えて』をベースにして書かれているので、賀川の価値観が色濃く出ている。 独身時代に賀川が悩んでいたのは大雑把に言うと、結婚する女性は容貌か性格かという二択問題だった。『死線を越えて』には、見た目に関する記述が頻繁に出てくる。ハルについては、<その婦人は一寸見れば、どこかの細君のようである>
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