調査員 米島康雄 先日、メンタルヘルス対策関連のセミナーを取材していた際、講師のある言葉にはっとさせられた。それはメンタルヘルスの不調を引き起こす要因のひとつとして、紹介された「報われない職場」だ。私はその時、知人から聞いたある職場の実態を思い出していた。 その知人はある公的な機関の管理部門で働いている。一部の民間企業のような極端な長時間労働が行われているわけではないが、それでも、近年、個人の業績が問われるようになり、時を同じくしてメンタルヘルスに不調を訴える者がぽつりぽつりと現れだした。彼の職場の職員数は150人程度。そんな小さな組織にもかかわらず、ここ数年の間に彼が知っているだけでも5人がうつなどで休職しているという。潜在的なメンタルヘルス不調者も含めれば、もっと数は多いのではないか。彼の職場では何が起こったのか。―― 彼は自分の職場が「報われない職場」だと常々こぼしていた。理由を聞く