かつてぼくは司法書士になりたかった。 田舎の高校卒業後、法学部に進学したぼくは1年生のとき行政書士に挑戦した。 結果は惨敗。合格に最低限必要な180点はもちろん100点も取れなかった。 仮に、行政書士試験に受かっていれば、ぼくはロースクールに進学して弁護士になろうと思っていた。法律の才能というか適正があるかどうかのリトマス紙として考えていたのだ。 当時のぼくは世間知らずの若者誰しもがそうであるように少しばかり尊大で、たぶん受かるだろうと思っていた。進学のために学部の成績を上げておくのと、どこに進学しようかと考えていた。当然プランBなんて考えてなくて、困った。 というか、なにかの才能がないだなんて認めたくなかった。受け入れられなかった。だって、ぼくのその行政書士試験に合格できなければ法学に適正がないという仮説が正しいのならば、ぼくは適正のないことをあと3年も卒業のためだけにやり続けないといけ