突然の引退宣言から6年。フィンランドを代表する映画監督、アキ・カウリスマキから思いがけず新作『枯れ葉』が届けられた。 スーパーマーケットでパートとして働くアンサ。工場労働者のホラッパ。孤独な日々を送っていた二人は、カラオケバーで出会い、お互い名前も連絡先も知らないまま恋に落ちる。さまざまなトラブルを乗り越えて関係を深めていく二人。その背後でたびたび流れる、ロシアのウクライナ侵攻を告げるラジオのニュース。ロシアと国境を接するフィンランドにとって、それは衝撃的な出来事だったはず。そんななかで、なぜカウリスマキはささやかなラブストーリーを描いたのか。 主人公のアンサを演じたのはアルマ・ポウスティ。『ムーミン』の原作者、トーベ・ヤンソンの青春を描いた映画『TOVE/トーベ』(2020年)で、主役を務めて一躍注目を集めた彼女は、カウリスマキの作品には初出演となった。ポウスティはどんな想いでアンサを演