16日にまとまった経済産業省の原発活用策は、東京電力福島第一原発事故後の政府方針を覆し、廃炉が決まった原発の建て替え(リプレース)に踏み込んだ。建設するのは次世代型原発とされ、経産省が「革新軽水炉」と呼ぶタイプが有力視される。原発の生き残りをかけた方針転換だが、電力会社側の動きは鈍く、政府の思惑通りに進みそうにない。(増井のぞみ)
厳しい暑さの影響で東京電力の管内では27日、電力供給の余力を示す「予備率」が5%を下回る見通しだとして、政府は新たに設けた「電力需給ひっ迫注意報」を初めて発令しました。熱中症の危険性が高まっているため冷房などを適切に使用しながら、使わない部屋の電気を切るなどの節電を求めています。 電力需給 最も厳しくなるのは 午後4時半~午後5時 関東地方では26日、東京の都心で35度以上の猛暑日となるなど厳しい暑さとなっています。 27日も厳しい暑さが予想され、冷房の使用など電力需要が増えることが見込まれています。 資源エネルギー庁によりますとこれによって東京電力の管内では27日、電力供給の余力、いわゆる「予備率」が5%を下回る見通しだとしています。 具体的には ▽午後4時から午後4時半にかけてが4.7%、 ▽午後4時半から午後5時までが3.7%と厳しい見通しです。 このため、政府は東京電力の管内に初め
2011年3月11日に起こった東日本大震災は、日本の歴史に暗く影を落とす悲惨な原子力事故を招いた。格納容器内の圧力が高まり続け、刻一刻とメルトダウンが進む福島第一原子力発電所。極限状況下で、当時の現場所員は何を思い、どのように仕事に臨んでいたのか。 ここでは、船橋洋一氏を中心とした調査委員会による綿密な取材で明らかになった新事実を『フクシマ戦記 上 10年後の「カウントダウン・メルトダウン」』より引用。生々しい当時の様子を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む) ◇◇◇ 8時すぎ、吉田(編集部注:東京電力福島第一原子力発電所所長)は菅直人と別れたあと、緊対室に戻った。 「9時を目標に、ベント(編集部注:放射性物質を含む気体の一部を外部に排出させて圧力を下げる緊急措置)を実施する」 吉田は、そう指示した。 ベントに必要な弁を開けるためには、放射線量上昇のため入れなくなっていた1号機の原子炉建
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『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、相次ぐ原発関連の"ビッグニュース"に隠された経産省の策略を暴く。 * * * 経産省と原発ムラの動きが慌ただしい。 12月1日付の東京新聞が「経産省が新小型原発の開発に乗り出した」と伝えたと思ったら、今度は翌2日付の読売新聞が「経産省、原子力ベンチャー育成...次世代炉開発へ」という見出しで、政府が民間企業に財政支援を行なう方針を打ち出したという報道があった。 もちろん、経産省が書かせた記事だ。経産省はこれに合わせて、3日、高速炉開発に向けた「戦略ロードマップ」の骨子を発表した。なぜ、原発関連の"ビッグニュース"が矢継ぎ早に流れたのか? 経産省は2016年に廃炉が決定した「もんじゅ」に代わり、フランスのナトリウム冷却実証炉「アストリッド」を高速炉開発の柱に位置づけてきた。総額数千億から1兆円の巨大プ
廃炉が決まっている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き取りを想定していない設計になっていると、日本原子力研究開発機構が明らかにした。放射能を帯びたナトリウムの抜き取りは廃炉初期段階の重要課題だが、同機構が近く原子力規制委員会に申請する廃炉計画には具体的な抜き取り方法を記載できない見通しだ。 通常の原発は核燃料の冷却に水を使うが、もんじゅは核燃料中のプルトニウムを増殖させるため液体ナトリウムで冷やす。ナトリウムは空気に触れれば発火し、水に触れると爆発的に化学反応を起こす。もんじゅでは1995年にナトリウムが漏れる事故が起き、長期停止の一因になった。
2016年12月26日を境に、東芝の株価は暴落した。443円をつけていた株価はつづく3日間で259円まで下げたのだ。 それまで東芝株の上昇率は年間で70%を超え、日経平均銘柄で第2位を誇るほどだった。その日本が誇る優良企業が一気に奈落へと転落したのだ。見得を切る暇もなかった。 この株価暴落はNHKによる巨額損失計上の報道がきっかけだったが、じつは2008年から東芝の原発ビジネスに疑いの目を向けていたメディアがある。月刊FACTAだ。 同誌は、向こう傷を問わない総合情報誌として2006年に創刊された。経済界の巨悪を追う調査報道を得意としているため、新聞や雑誌の経済記者必読誌としてつとに知られている。 本書はそのFACTAに掲載された27本の東芝関連記事と、編集長である阿部重夫氏が本書のために書き下ろした記事で構成された芯のある本だ。収録されている何本かの記事を追ってみれば、すでに2010年5
電源別の発電コストを見直している経済産業省は27日、新しい試算結果を公表した。原発は2030年時点で1キロワット時あたり10・1円以上で、下限で比べると、電源別で最も安くなった。11年の前回試算の8・9円以上は上回ったが、再生可能エネルギーや火力などの費用も上がったためだ。 この日あった同省の「発電コスト検証ワーキンググループ(WG)」で示し、大筋で了承された。同省は30年の電源構成(エネルギーミックス)案に反映し、28日の有識者会合で原発の割合を20~22%とする案を示す見通しだ。 原発の発電コスト試算では、前回試算と同じように原発事故後の損害賠償や、立地自治体への交付金などの費用を計上。11年に比べ、原発の安全対策費が増加したことも反映した。ただ、対策を強化した分、事故が起きる確率は半減したとみて、その分だけコストを低く見積もった。 再生可能エネルギーは、前回試算で30年には下限のコス
東京電力福島第一原発が立地する福島県双葉町が原発PRのために掲げた看板の撤去方針を示したことに対し、標語をつくった大沼勇治さん(39)=茨城県古河市=が16日午前、撤去反対を町や町議会に申し入れた。「負の遺産として保存し、人間の愚かさを後世に伝えるべきだ」と訴えている。 伊沢史朗町長は「議会と相談しながら対応を考えたい」と述べた。 町の中心街入り口に掲げられた看板の標語「原子力 明るい未来のエネルギー」は、大沼さんが双葉北小6年だった1988年、学校の宿題として提出し優秀賞をとった。 原発事故で妊娠中の妻と全国各地を転々とし、昨年5月、古河市に落ち着いた。避難生活の中で「原発は明るい未来どころか故郷の町をズタズタにした」と苦しんだ。今月に入って、町が新年度予算案に撤去費用410万円を盛り込んだことを知った。 「老朽化して危険」というのが町の説明だが、大沼さんは「周囲に崩壊しそうな公共物がた
科学雑誌のネイチャー(nature)が、9月3日に掲載した福島第一原発に関する記事が話題になっている。日本政府の行動の遅さと、情報公開のおそまつさを指摘する厳しい内容だ。思想家の内田樹氏は、「自然科学のジャーナルが一国の政府の政策についてここまできびしい言葉を連ねるのは例外的なこと」と、同記事の内容を紹介している。
写真:警察に抗議する市民を制止する原子力規制庁職員(右)麻布警察署の警察官(中央) 先月9月19日に発足した原子力規制委員会が、委員会の傍聴者やメディアを監視するために、警察を要請していたことが10日わかった。 委員会の傍聴者やメディアを監視していたのは、麻布警察署から来たと名乗る公安警察。原子力委員会が開催される13階会議室の一番後壁の出口付近に待機し、取材に来ているメディアや傍聴者を確認しては逐一メモをし、時折、廊下に出て無線で内容を報告していた。 写真:規制庁前で抗議していた市民が傍聴に入室した途端、メモを取る警察官。耳にはイヤフォン、胸には傍聴者やメディアとは異なる赤いストラップの入館証を下げていた。 委員会10分ほど前に、傍聴者の数人が警察が監視していることに気づき、「あなたは誰ですか?何をしているのですか?」と詰め寄ったところ、「規制庁の要請で来ている。それ以上、話す必要もない
東京電力福島第1原発事故を受けた福島県の県民健康管理調査について専門家が意見を交わす検討委員会で、事前に見解をすり合わせる「秘密会」の存在が明らかになった。昨年5月の検討委発足に伴い約1年半にわたり開かれた秘密会は、別会場で開いて配布資料は回収し、出席者に県が口止めするほど「保秘」を徹底。県の担当者は調査結果が事前にマスコミに漏れるのを防ぐことも目的の一つだと認めた。信頼を得るための情報公開とほど遠い姿勢に識者から批判の声が上がった。【日野行介、武本光政】 9月11日午後1時過ぎ。福島県庁西庁舎7階の一室に、検討委のメンバーが相次いで入った。「本番(の検討委)は2時からです。今日の議題は甲状腺です」。司会役が切り出した。委員らの手元には、検討委で傍聴者らにも配布されることになる資料が配られた。
官邸を包囲するデモが毎週金曜日の夕方に行われ、週を経るごとに参集する人数がどんどん増えているのだそうである。私も東京にいたら出かけることだろう。デモというのは体感しないとわからないことがある。この点に関して5年前に書いたことがあるのでリンクする。 排除体積効果について その場に存在することが、単にある一定の体積を占めるということにおいて意味を持つ、というこの状況はやはり体感しないとわからない。上の文章で書いたネオナチ締め出しの話は、排除体積効果として物理的な意味を持っていたが、そこまで科学的に美しい結果とならなくとも、抗議のその場に一定の体積を占めて一人の人間が存在することは、シュプレッヒコール連呼やさらには暴徒化といった存在を主張する行動以前にもっとも本質的で強力な抗議形態なのである。そこにいるだけで意味がある、というと、なにやら恋愛に目が眩んだ人間が口走りそうな台詞になるが、デモに参加
関連トピックス原子力発電所東京電力米エネルギー省が昨年3月に航空機モニタリングした結果 東京電力福島第一原子力発電所の事故直後の昨年3月17〜19日、米エネルギー省が米軍機で空から放射線測定(モニタリング)を行って詳細な「汚染地図」を提供したのに、日本政府はこのデータを公表せず、住民の避難に活用していなかったことがわかった。放射性物質が大量に放出される中、北西方向に帯状に広がる高濃度地域が一目でわかるデータが死蔵され、大勢の住民が汚染地域を避難先や避難経路に選んだ。 政府の初動対応では、汚染の広がりを予測する緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の試算結果の公表遅れが問題となった。同システムの予測値と決定的に違うのは、米エネルギー省のデータが放射能の拡散方向を示す実測値だったことだ。 米エネルギー省は原発事故直後の昨年3月17〜19日、米軍機2機に、地上の放射線量の分布を電
こんにちは。はてなブックマークニュースは、環境省の広報業務をお手伝いしています。記事のテーマは東日本大震災の被災地で発生したがれきの広域処理です。記事は、前編と後編の2本で構成します。2012年3月29日に掲載した前編では、被災地のがれき広域処理の現況と、その必要性を取材をもとにまとめました。この後編では、がれき広域処理の安全性を見ていきます。取材と執筆は、ジャーナリストの津田大介さん(@tsuda)です。なお、当初4月上旬としていた記事の掲載予定が遅れ、6月になりました。遅れた理由は、調査、執筆、追加取材、検証などに想定よりも長い時間が必要だったためです。掲載が遅れたことを深くお詫びいたします。(編集部) (※この記事は環境省の提供によるPR記事です) ◇ ◇ ◇ 環境省が推進するがれき広域処理、その反対の声は根強い。この記事の前編でも述べたとおり、批判の根拠は大まかに2つある。1つはが
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