料理研究家 土井 善晴 今日は「料理する意味」について、お話しさせていただきます。 私たちは日頃、「食べること」の大切さを語ることはありますが、食べ物を作る「料理する」という行為については、あまり深く意味を考えたことがないように思います。 私たちの身体を養うお料理は、つい健康や栄養的観点を考えがちですが、私たちは栄養のみを食べているわけではありません。もし、そうであれば、健康食品やサプリメントですませば、よいことになります。中食と言われる手作りのおそうざいや加工食品、外食は、空腹が満たされ便利さや楽しさがあってたまには良いですが、それが毎日では問題もあり、こればかりでよいとは、思いません。不思議なことですが、言うまでもなく、私たちは「手作りの家庭料理が一番いい」ということをなぜか知っているのです。そして、それはけして間違いではありません。 娘は、着替えながら、台所で料理する音を聞いて、お料