ブックマーク / realsound.jp (46)

  • 【書店危機】今必要なこと『ブックオフから考える』谷頭和希が提言する“せんだら需要”と“非画一性”

    連日のように書店閉店のニュースが届く現在。今後書店にはどんな活路があるのか。 地方はもとより都心の大型書店やチェーンの書店も相次いで閉店するなど、書店を取り巻く情勢は厳しさを増している印象を受ける。個人の嗜好やニーズが多様化し、多岐にわたる娯楽が誕生する中、書店はどのようにあるべきなのか。 『ブックオフから考える: 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社/刊) 『ブックオフから考える: 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社/刊)などの著作があり、サブカルチャーから書店事情全般に精通する谷頭和希氏に話を聞いた。 ――日各地で書店が閉店し、ニュースになることも増えています。こうした現状について、谷頭さんはどう考えていますか。 谷頭:書店が減少するのは仕方ない側面があると思います。業界全体の制度的な問題はありますが、顧客の目線からすると、既存の書店の多くは、利用者のニ

    【書店危機】今必要なこと『ブックオフから考える』谷頭和希が提言する“せんだら需要”と“非画一性”
  • ひろゆきはなぜ、再び世界の果てに“置いていかれた”のか? 東出昌大と語る“番組の裏側”

    2023年、ABEMAにて配信された『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』の第2弾が2024年5月18日からスタートした。 作は、日最大級の匿名掲示板2ちゃんねる」の開設者であり、現在はコメンテーターなどとして活躍する西村博之こと“ひろゆき”を世界の果てに置き去りにしたらどうなるかを追ったドキュメンタリーバラエティ番組。前回の放送では、途中から旅路を共にした俳優・東出昌大との名バディっぷりがSNSを中心に話題に。多くの視聴者に2人の新たな一面を見せるきっかけとなった。 そんな“名バディ”であるひろゆきと東出が再び旅をしたとのことで、インタビューを実施。旅の思い出や、ふたりが考えるSNSとの向き合い方などについて話を聞いた。 南米に“置いていかれて”キツかったこと ――前回の旅を終えた直後「もうこの布陣で旅をしたくない」or「またすぐ行きましょうよ」だったのかで言うと、どちらでしたか?

    ひろゆきはなぜ、再び世界の果てに“置いていかれた”のか? 東出昌大と語る“番組の裏側”
  • Spotifyのビジネス的成長が音楽業界にもたらすもの 印税分配新ルールの狙いも聞く

    オーディオストリーミングサービス・Spotifyが、音楽業界に対する支払いや還元についてまとめた年次レポート「Loud & Clear」の2023年版を発表した。今回より初めて国別のデータも公開されている(※1)。日の国内アーティストがSpotifyで生み出した印税は、2023年だけで200億円以上。さらに約6割がインディーズアーティストであるという。「アーティストとファンをつなぐことによってアーティストが生活できるように還元する」ことをミッションとして掲げる同社のビジネス的な成長や、ストリーミングサービスの市場拡大がアーティストや音楽業界に与える影響について、スポティファイジャパン株式会社 代表取締役 トニー・エリソン氏に話を聞いた。また、インタビュー後半では、今年の4月より施行され、一部で議論を呼んだ印税分配の新方針についても話を聞くことができた。(編集部) インディーズ活況、海外

    Spotifyのビジネス的成長が音楽業界にもたらすもの 印税分配新ルールの狙いも聞く
  • 日本一の長寿雑誌「中央公論」編集長インタビュー「クオリティの一線は譲らず、この大切なプラットフォームを守っていきたい」

    1887年創刊の「中央公論」は現在、日で発行されている雑誌のなかで最も長寿な雑誌である。政治、外交、経済といった論壇誌らしいテーマはもちろん、近年はサブカルチャーやインターネットの話題もとり入れ、国内外の“今”をとらえようとしている。2000年代に休刊が相次ぎ数の減った論壇誌のなかで「中央公論」はどのように歩もうとしているのか。「読売新聞」で豊富な記者経験を持ち、昨年から現職に就いた五十嵐文編集長に聞いた。(円堂都司昭/6月20日取材・構成) 新聞記者から雑誌編集長へ 五十嵐文編集長 ――学生時代からジャーナリズム志望だったんですか。 五十嵐:とにかく外国へ、特にアメリカへ行きたかったんです。親戚がいたこともあり、憧れていました。現地に住んで取材すれば自分の知識も増えるし、それを日に伝えてお金をもらえるだなんて最高だな、新聞社で海外特派員になるんだと単純に思っていました。そのためにまず

    日本一の長寿雑誌「中央公論」編集長インタビュー「クオリティの一線は譲らず、この大切なプラットフォームを守っていきたい」
  • 「世界」編集長・堀由貴子インタビュー「自分の居場所だと思ってもらえる雑誌にしたい」

    「世界」は、岩波書店が1946年に創刊した総合誌であり、いわゆる論壇誌である。2022年10月には堀由貴子氏が編集長に就任し、2024年1月号から四半世紀ぶりのリニューアルを行った。従来、論壇誌は中高年男性が手にとるイメージが強かったが、女性や若い世代も読者にとりこもうとする新しい「世界」は、どこへ向かおうとしているのか。(円堂都司昭/4月23日取材・構成) 震災の時に少し腹がすわった 堀由貴子氏 ――学生時代に興味があったジャンルはなんですか。 堀:映画が好きで、小説や、批評などどちらかといえば人文書に興味がありました。四方田犬彦さんの『アジア映画の大衆的想像力』、斎藤綾子さんの『男たちの絆、アジア映画』、レイ・チョウの『ディアスポラの知識人』、『ユリイカ』や『太陽』のアジア映画特集号は今も手もとにあります。一時、渋谷のブックファーストでアルバイトをしていて、たしか面陳されていた『香港映

    「世界」編集長・堀由貴子インタビュー「自分の居場所だと思ってもらえる雑誌にしたい」
  • 『文學界』編集長・浅井茉莉子インタビュー「文芸誌が生き残っていけるかは、たぶんこの5年10年くらいが正念場」|Real Sound|リアルサウンド ブック

    又吉直樹『火花』(2015年)、村田沙耶香『コンビニ人間』(2016年)という芥川賞受賞作を担当したことで知られる浅井茉莉子が、2023年7月に『文學界』編集長に就任した。『「AV」女優の社会学』(2013年)で注目された鈴木涼美に小説の執筆を依頼したのも、浅井である。鈴木の2作(『ギフテッド』2022年、『グレイスレス』2023年)は、芥川賞候補作となった。他分野からの積極的な起用で純文学の世界に新風を吹きこんできた編集者は、老舗文芸誌をどう舵取りしようとしているのだろうか。(円堂都司昭/2月2日取材・構成) 『文學界 2024年5月号』 ――編集者という仕事を意識し始めたのは、早かったそうですね。 浅井:を作る人になりたいとは10代の頃から思っていました。学校に行くのは嫌だけど、屋ならいくらでもいれたし、親もなら買ってくれたので、就職する時も自然と出版社に行きたいと思いました。大

    『文學界』編集長・浅井茉莉子インタビュー「文芸誌が生き残っていけるかは、たぶんこの5年10年くらいが正念場」|Real Sound|リアルサウンド ブック
  • 教養系テレビ番組の批評性とは? NHK Eテレ プロデューサー・秋満吉彦インタビュー「鋭さとエンタメ性を保ちたい」

    昨年、『名著の予知能力』(幻冬舎)を刊行した秋満吉彦氏は、名著を25分×4回で読み解くNHK Eテレの番組『100分de名著』を10年以上担当するプロデューサー。番組を作っている人は、いかにと出会い、名著についてどう考えるようになったのだろうか。(円堂都司昭/3月29日取材・構成) の読み方をSFに鍛えられた 秋満吉彦『名著の予知能力』(幻冬舎) ――子どもの頃からと親しんでいたんですか。 秋満:小学生時代は、マンガばかり読んでいました。手塚治虫、萩尾望都、石ノ森章太郎など神のごとき存在がいましたから。ところが、小学6年生の時、同級生が読書コンクールで金賞をとりまして、恥ずかしいことに、それをカッコいいと思って、自分も中学1年生でを読んだ。父親の棚から一番薄いカフカ『変身』を選んだのですが、読むのに難航して4月から7月までかかった。面白いけど意味がわからない。でも、不思議な話が

    教養系テレビ番組の批評性とは? NHK Eテレ プロデューサー・秋満吉彦インタビュー「鋭さとエンタメ性を保ちたい」
  • 綿矢りさ、最新作『パッキパキ北京』インタビュー 現代中国の文化と流行をエネルギッシュに描く

    綿矢りさが現代中国を舞台に執筆した新境地小説『パッキパキ北京』(集英社)。主人公の菖蒲(アヤメ)が夫の単身赴任先の北京を訪れた滞在生活が描かれている。菖蒲は入国後のコロナ隔離を愛犬ペイペイとともに無事に終えて、春節で盛大に盛り上がる大都市・北京へ。観光、ショッピング、を存分に堪能し、現地の物事を豪快でストレートな視点でぶった切っていく。さらには魯迅の小説から生まれた「精神勝利法」なる思考法に出合って、ある境地にたどり着くことにーー。自身の北京滞在経験をベースに執筆したという綿矢に、作執筆の裏側について話を聞いた。(篠原諄也) ーー今回、中国・北京を舞台にした経緯を教えてください。 綿矢:中国文化にはもともと興味があって、中国語も習っていました。だから中国を舞台にした小説には関心があったんですけど、日にいる時はどういう風に題材として取りあげたらいいのかわからなくて。それが家族の仕事

    綿矢りさ、最新作『パッキパキ北京』インタビュー 現代中国の文化と流行をエネルギッシュに描く
  • 円堂都司昭 × 藤田直哉『ポスト・ディストピア論』対談「多様化が進んで軋轢も多くなるという図式になっている」

    文芸/音楽評論家の円堂都司昭氏が最新批評集『ポスト・ディストピア論 逃げ場なき現実を超える想像力』(青土社)を刊行した。パンデミック、異常気象、監視社会などが身近な現実となりつつある現代にあって、小説、舞台、音楽、映像などを幅広く読み解く、「その先」のディストピア論となっている。 書刊行を記念して、円堂氏とSF/文芸評論家・藤田直哉氏の対談が実現した。藤田氏は『シン・エヴァンゲリオン論』、『新海誠論 』、『東日大震災後文学論』といった一連の著作で、同じくディストピアとフィクションについて論じてきた。お互いの著作内容を起点に、現代世界とディストピア、新海誠論、生殖とジェンダーなど、幅広いテーマを縦横無尽に語り合った。(編集部) 円堂都司昭『ポスト・ディストピア論 逃げ場なき現実を超える想像力』(青土社) ーー円堂さんの10冊目の単著『ポスト・ディストピア論』が刊行されました。まずは藤田さ

    円堂都司昭 × 藤田直哉『ポスト・ディストピア論』対談「多様化が進んで軋轢も多くなるという図式になっている」
  • 伊福部昭は、なぜ「ゴジラのテーマ」を生み出せたのか? ハリウッド版最新作を機に考える

    『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)は、幼少の頃から『ゴジラ』シリーズを愛してやまないマイケル・ドハティ監督による“怪獣愛の結晶”とも言える作品だ。 Bear McCreary 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(オリジナル・サウンドトラック) 世界を破壊せんと暴れ回る怪獣たち――ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラの神々しさと禍々しさをより高めているのが、劇中で流れる伊福部昭によるオリジナルスコア「ゴジラのテーマ」をアレンジした「Godzilla Main Title」、「Old Rivals」にあることは間違いない。 ドハティ監督の10年来の友人であり、ともに『ゴジラ』シリーズを愛する音楽家のベア・マクレアリーは、伊福部音楽を大編成のオーケストラで演奏するだけでなく、そこに25人もの太鼓奏者の掛け声や僧侶の読経などを加えてアレンジしてみせた。ただのテーマソングではな

    伊福部昭は、なぜ「ゴジラのテーマ」を生み出せたのか? ハリウッド版最新作を機に考える
  • 町田康「人間って自分を乗り越える方法はそんなにたくさんない」 音楽と日本語、そして酒を呑むことのつらさ

    町田康「人間って自分を乗り越える方法はそんなにたくさんない」 音楽と日語、そして酒を呑むことのつらさ 町田康、新作エッセイ『しらふで生きる』インタビューの後編。前編では著書『しらふで生きる』の話を中心に、文学的な酩酊や原因と結果の連鎖などについて語ってもらった。後編では前回で少しだけ触れた音楽のことや、日語と歌詞の関係性、そして酩酊したことで書けた作品はあるのか?などさらに深掘りした内容となった。(編集部)【最後にプレゼント企画あり】 前編:町田康が語る、酒を断って見出した“文学的酩酊” 「日常として忘れていく酩酊感が読者に伝わったら面白い」 音楽は日語を表現したいからやっている ――『しらふで生きる』には折口信夫の話が出てきます。町田さんが小説を書くときの感覚も、折口的なライブ感覚に近いんですかね。折口もドラッギーな人でした。 町田:あんな偉い先生と比べるべくもないですけど(笑)。

    町田康「人間って自分を乗り越える方法はそんなにたくさんない」 音楽と日本語、そして酒を呑むことのつらさ
  • 町田康が語る、酒を断って見出した“文学的酩酊” 「日常として忘れていく酩酊感が読者に伝わったら面白い」

    町田康の新作エッセイ『しらふで生きる』が、発売から3ヶ月経った今でも売れ続けている。作は作家・ミュージシャンである町田康が30年間毎日飲み続けた酒をやめ、酒とはなんだったのか? という問いを柱に、断酒して変わったことやその効用、そして過程などについて書いたもの。ハウツーのように、辞めるためのではなく、あくまで自分の経験を書き連ねた内容が、誰もが経験のある酒にまつわる失敗の記憶からか、やけに心に染みる名作だ。今回は、その著者である町田康に、「酒」のことを中心に、執筆のきっかけや文章で伝わる酩酊感などについて語ってもらった。(編集部) (お酒からの)離脱の過程を書こうと思った ――非常に面白いエッセイとして読みました。書いているあいだは、お酒を呑んでいる人や禁酒をしたいと思っている人に向けて書くという意識はあったんでしょうか。 町田:「こうしたらお酒がやめられますよ」といった、いわゆるハ

    町田康が語る、酒を断って見出した“文学的酩酊” 「日常として忘れていく酩酊感が読者に伝わったら面白い」
  • 青春時代の“お祭り騒ぎ感”が蘇る『正反対な君と僕』 はじけるような青春の眩しさと秀逸な会話劇に注目

    とうに過ぎ去った青春時代。あの頃は誰が誰を好きだとか、誰が誰と付き合い始めたとか、もうそれだけで一大事件だった。例えるならば、そんなあの頃の“お祭り騒ぎ感”をぎゅっと凝縮したのが『正反対な君と僕』(阿賀沢紅茶)だ。 常に熱い視線が注がれている「少年ジャンプ+」の新鋭 アニメが大人気放送中の『SPY×FAMILY』や「次にくるマンガ大賞2021」で大賞に輝いた『怪獣8号』などを輩出した「少年ジャンプ+」。次々とヒット作を生み出し、漫画好きの間では常に熱い視線が注がれている「少年ジャンプ+」だが、今年の5月に連載開始して以来、じわじわと人気を拡大しているのが『正反対な君と僕』である。 主人公は、元気いっぱいで誰とでも仲良くできるけれど、実はめちゃくちゃ空気を読んでしまう系の女子高生・鈴木。彼女が惹かれたのは、物静かだけれど自分の意見をはっきり言える谷くんだった。そんな外見や内面すべて正反対な2

    青春時代の“お祭り騒ぎ感”が蘇る『正反対な君と僕』 はじけるような青春の眩しさと秀逸な会話劇に注目
  • 批評的な知性や感性が難局に立たされているーー渡邉大輔『謎解きはどこにある』×若林踏『新世代ミステリ作家探訪』対談

    2023年は、ミステリ小説に関するガイドブックや評論が多く刊行された。そのなかでインタビュー・シリーズの第2弾『新世代ミステリ作家探訪 旋風編』をまとめた若林踏は、『十四人の識者が選ぶ当に面白いミステリ・ガイド』(杉江松恋監修)、『ミステリースクール』(講談社編)というガイドブックにも参加した、このジャンルを専門とする書評家である。一方、評論書『謎解きはどこにある 現代日ミステリの思想』を上梓した渡邉大輔は、文芸批評も手がける映画史研究者であり、現代思想の知見を援用する批評家だ。書き手として対照的な2人に、近年のミステリの動向について話しあってもらった。(円堂都司昭/1月16日取材・構成) 『新世代ミステリ作家探訪 旋風編』(光文社) ――お互いのの感想から。 若林:僕が『新世代ミステリ作家探訪』(2021年)と『同 旋風編』で作家たちに話を聞き、モヤモヤして言語化できなかったことが

    批評的な知性や感性が難局に立たされているーー渡邉大輔『謎解きはどこにある』×若林踏『新世代ミステリ作家探訪』対談
  • 小山田壮平、音楽との関係性を信じる気持ち andymori時代から変化した聴き手への意識

    小山田壮平の約3年ぶりとなる2ndアルバムのタイトルは『時をかけるメロディー』。小山田にとって、良い曲=良いメロディであることを考えると、自分の音楽が時をかけて存在するということ自体が1枚のアルバムになったような印象を受ける。特別な感覚や感情を呼び起こすかけがえのないメロディ、そして、音楽で人と人が繋がることの楽しさや喜びが詰まった作品が生まれたことは、とても大きい。小山田は、新作への手応え、音楽への思い、andymoriの楽曲からの変化など、様々なことを話してくれた。(小松香里) 沈んでも上がってこられるためのロープの役割を果たす曲になる ――小山田さんは日常的に曲作りをしていると思いますが、2ndアルバムを意識したのはいつ頃だったんでしょう? 小山田壮平(以下、小山田):2021年10月頃に「時をかけるメロディー」という曲のかけらが生まれて。自分はミュージシャンでもあるし、音楽に救われ

    小山田壮平、音楽との関係性を信じる気持ち andymori時代から変化した聴き手への意識
  • andymori、今なお放つ孤高の存在感と青臭さ CDデビュー15周年、解散から10年に寄せて

    andymoriが解散してから、今年で10年が経つ。 日語ロック史に影響を与えたバンドはいくつか名前を挙げることができるが、2000年代後半から2010年代前半にかけて、大きなインパクトを与えたバンドをひとつ選ぶとすれば、andymoriの名前を挙げたくなる。 理由はいろいろとある。当時のシーンにおいてそれだけ存在感が大きかったし、音楽性やスタンスにも無二性があった。さらに言えば、現在ロックバンドシーンの最前線で活躍しているバンドマンのなかでも、andymoriからの影響を公言する人が一定数いる点からみても、彼らの存在は大きい。CDデビュー15周年を迎えた昨年末、レーベルスタッフアカウントとしてandymoriのInstagramとTikTokを開設した際に大きな話題を呼んだことも、その証左と言えよう。 なぜandymoriは、さまざまな音楽好きを熱狂させたのだろうか? まず、andym

    andymori、今なお放つ孤高の存在感と青臭さ CDデビュー15周年、解散から10年に寄せて
  • 北米映画市場が“復活”した2023年 映画『スーパーマリオ』のユニバーサルがディズニー超え

    2023年の北米映画市場は「復活」の年となった。1年間の累計興行収入が、コロナ禍以降初めて90億ドルを突破し、前年(2022年)の75億ドルを20%上回ったのだ。 ハリウッドが全米脚家組合(WGA)と全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のWストライキで一時停止し、長らく市場を盛り上げてきたスーパーヒーロー映画の低調ぶりが語られる中、これは思わぬ達成だ。コロナ禍以前は例年100億~110億ドルだったことを考えれば、完全回復にはまだ遠い(配信ビジネス時代にそれが可能なのかもわからない)が、大きな前進と言うべきだろう。 とりわけ大きな要因というべきは、グレタ・ガーウィグ監督『バービー』とクリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』の大ヒット、すなわち「バーベンハイマー(Barbenheimer)」現象だ。前者は年間No.1ヒット作となり、北米興収6億3622万ドルを記録。後者はR指定×上

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  • 人気急上昇中の若手芸人が美容に目覚める? 斬新なコンセプトで注目の「ウレアカ?」とは

    すべてのお笑いファンに観てほしいYouTubeチャンネルが存在する。それが『売れたら垢抜けるってホント?』だ。 美容メディア『VOCE』を運営する株式会社講談社と、吉興業が運営する各種エンタメサービス『FANY』が始動させた『ウレアカ?~売れたら垢抜けるってホント?』というプロジェクトの一環で、今年の6月から同名YouTubeチャンネルが立ち上げられた。コンセプトは、美容への知識、興味・関心もバラバラな芸人の日常に密着した、美容監察型バラエティ。オフローズ、素敵じゃないか、令和ロマンの若手吉芸人3組が、美容に関する様々な企画に挑戦していく。 まず、星の数ほどいる吉芸人のなかから、この3組が選ばれたというのがこのチャンネルの大きな魅力だ。キングオブコント2020では最年少および最短芸歴で準決勝進出の記録を持ち、今年行われた第44回ABCお笑いグランプリでも決勝進出を果たした結成8年目の

    人気急上昇中の若手芸人が美容に目覚める? 斬新なコンセプトで注目の「ウレアカ?」とは
  • 宇野常寛×福嶋亮大が語る、Web3と批評的言説のこれから 「人類社会の“時差”を意識することが重要」

    WEB3という言葉で新たなテクノロジーが褒めそやされる今、批評的言説はいかにして可能なのかーー。二人の著作で取り上げられた人物や書籍を起点に、批評やインターネットのこれからの可能性について対談してもらった。(編集部) ロレンスはずっと変身を重ねて、同時に失敗を重ねてきた 宇野常寛『砂漠と異人たち』(朝日新聞出版) 福嶋:『砂漠と異人たち』は面白かったですが、まさかT・E・ロレンス(編注:アラブ民族独立に尽力したイギリス陸軍将校)のことをこんなに熱烈に書いているとは知らず驚愕しました(笑)。考えてみると、デヴィッド・リーン監督の映画『アラビアのロレンス』は最初にロレンスのバイク事故のシーンから始まるけど、いわばロレンスって仮面ライダーみたいな人ですね。ロレンスは変身に変身を重ねてアラブの独立にもコミットするわけだけど、それが同時に失敗の連鎖でもある。失敗が同時に成功であるという逆説の人だと思

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  • 松岡正剛が語る、日本文化に必要な心意気と長い文章の強み 「過激な表現があってこそ、中道も見えてくる」

    編集工学研究所所長/イシス編集学校校長として、編集技術のあらゆる可能性を追求してきた松岡正剛が、自身のライフワークでもある書評サイト「松岡正剛の千夜千冊」にて、書評を通じてコロナ禍に対する考えを述べている。2020年3月18日には『日文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く』(講談社現代新書)を、6月12日には『千夜千冊エディション 宇宙と素粒子』(角川ソフィア文庫)を上梓するなど、著述家としてもますます精力的に活動する松岡正剛に、今の日文化に必要な心意気、「松岡正剛の千夜千冊」が常に重厚な読み物となっている理由、同サイトでも言及したコロナ禍についての意見、そしてこれからの編集者の心構えについてまで、たっぷりと話を訊いた。(編集部) トゥーマッチな表現を追求する力がなくなってきている ――『日文化の核心』では、例えば第11講「かぶいて候」で「いまの日社会にはバサラ(中世の派手な

    松岡正剛が語る、日本文化に必要な心意気と長い文章の強み 「過激な表現があってこそ、中道も見えてくる」