えぇ、昔から世の人は恋は盲目なんてことを申します、惚れちまったらあばたもえくぼ、人の忠告も聞きゃあしない、てめぇのあたまのなかにしかいねぇ蝶を追って花を愛で、あげくにゃ死ぬの生きるの、ぼくは寛一きみはお宮、まさにこの世は大迷惑ってな話もちまたにゃよくあることです、まあ何も惚れたはれたに限ったはなしじゃねえにしろ思い込みの激しいシトってないるもんですな・・・ あぁ、ここんとこ毎日ヒマだねしかし、あたしももうすっかりいい年で歩くのもままならねえけど、こう毎日座って寝てばかりじゃしけっちまうよ、あぁあそこに八がいらぁ、サンマ焼いてやがる、ありゃうまそうだね・・・、いやまあちょうどいいや、あいつぁバカだからね、こっちもヒマにしてたところだ、ひとつあいつをからかって慰みにしてやれ、おい、八!八っつぁんたら!サンマはよしてちょっとこっちへおいで!・・・なんだいご隠居、老けた顔して。老けたってお前ご挨拶