20年くらい前の事だと思う。僕は20代半ばだった。なにかのきっかけで、久しぶりに『赤毛のアン』を観返して「あれ?」と思った。本放送当時と全く違った作品に観えたのだ。本放送当時、僕は中学生だった。本放送で観た『赤毛のアン』は、夢見がちな少女の主観に沿った物語だった。主人公のアンに共感して観た。彼女の突飛な言動も、好ましいものとして観ていた。 ところが20代半ばに観返したら、アンが変な子に見えたのだ。今風な言い方をすれば、ちょっと痛い子に思えた。後に、知人にその話をしたら、数人に「自分もそう思った」とか「うちの奥さんも、それで驚いていた」と言ってもらえた。決してそれが多数派だとは言わないが、僕と同じように思った人が、多少はいるわけだ。 印象が変わってしまったのは、シリーズ前半だ。アンが成長した後半に関しては、そういった意味でのブレはない。これは演出的な問題である。夢のような事を口にしたり、怒っ