経済産業省は25日午前に開いた「東京電力改革・1F問題委員会」で、東京電力ホールディングスの原子力発電事業を分社する案を示した。持ち株会社が担う原発事業を切り出し、ほかの電力会社と再編しやすくする。福島第1原発(1F)の事故後に停止した原発の再稼働が進まないなか、国主導で原発事業の改革に取り組む姿勢を鮮明にする狙いがある。世耕弘成経産相は同日の閣議後の記者会見で「東電は非連続の改革をすることに
東京電力福島第一原発事故を巡り、朝日新聞が政府の事故調査・検証委員会による吉田昌郎元所長の聴取記録(吉田調書)をもとに、所員らが吉田氏の指示に反して福島第二原発へ撤退したと報じたことについて、朝日新聞社は11日、「『吉田調書』報道については誤った部分があり、訂正する考えです」と明らかにした。 朝日新聞は今年5月20日付朝刊で、独自に入手したとされる「吉田調書」をもとに、原発事故の状況が悪化した2011年3月15日、所員の9割にあたる約650人が約10キロ南の福島第二原発へ退避したことを「命令違反」と報道した。 しかし、「吉田調書」を入手した読売新聞など複数のメディアが検証した結果、吉田氏は事故調の聴取に対し、「2F(福島第二原発)に行けとは言っていない」と答えながらも、「2Fに行った方がはるかに正しい」と説明し、命令違反の認識はなかったことが明らかになっている。
東京電力福島第一原発事故を調査した政府事故調査・検証委員会が聴取した吉田昌郎所長(故人)ら772人分の調書の公開を求め、東電株主代表訴訟の原告らが国を相手取り、東京地裁に行政訴訟を起こす方針を固めた。近く調書が保管されている内閣官房に開示を請求し、非開示決定が出ればただちに提訴する。 政府事故調は2011年5月に設置。吉田氏ら計772人を聴取したが、誰を聴取したのかさえ明らかにしていない。吉田氏らの調書や関連資料は現在、内閣官房に保管されている。 政府事故調は非公開で聴取した調書について「必要な範囲で開示する」としていたが、これまで公開されていない。菅義偉官房長官は「ヒアリングは非公開を前提に任意の協力を頂いて行ったもので吉田氏を含め公表しない」としている。 原告代理人になる海渡雄一弁護士は「吉田調書の報道によれば、東電の指揮命令系統は崩壊していたといわざるをえない。吉田調書だけでなく、関
東日本大震災発生3日後の2011年3月14日未明、福島第一原発3号機は、13日朝に続き、危機に見舞われていた。原子炉に入れる水の水源が枯れそうになっていることに気付くのが遅れ、1号機ともども、炉の冷却ができない事態となった。 ——— このころ、ベントではウエットウェルベントということが一つあると思うんですけれども、ドライウェル側のところからベントするような検討みたいのは。 吉田「それはもちろん、しています」 ——— それもされているんですか。実際にはそれは、3号機に関してはされていないんですね。 吉田「ウエットウェルを先行してしまったんですね。それをやっている間に爆発してしまって、何か、圧が下がってしまったんですね。ずっと下がってきたんで、ドライウェルベントをやるタイミングが、逆に言うと、検討はしたんだけれどもという状況だったと思うんですね」 ——— 1号機はウエットウェルだけをやっていて
1号機への海水注入を、官邸に詰めていた東電フェロー武黒一郎の中止指示を無視し、廃炉も恐れず続行したことで、一躍英雄視された福島第一原発所長の吉田昌郎。その吉田が、3号機への海水注入について、廃炉を避けるため極力淡水を使え、という官邸のある者の指示を受け入れ、無理して淡水に切り替え、危険性を増大させていた事実は意外に知られていない。 吉田「だから、たぶん、武黒から。指示という意味では。だと思う。だから、可能性として、武黒が一点と、そのわきで安井さんか誰かがそれに関しておっしゃった可能性も否定できないんですけれども、せいぜい絞るとすると、そんなような感じで、武黒が、そのわきにいた安井さんというぐらいしか考えられないな、という感じなんです」 ——— 13日の6時台に官邸から本店へかかって、それが回されてきて、電話を取って、要約すると、海水を使うという判断が早過ぎるのではないかというコメントが来て
アパラチコラで過ごす優雅な時間 メキシコ湾沿いの入り江に面した米フロリダ州の小さな町アパラチコラ。こじんまりした海辺のホテルに宿泊し、バーで新鮮なシーフードを味わえるほか、地ビールの醸造所もある。綿花や漁業で栄えたこの町には、グリークリバイバル(ギリシャ建築への回帰)様式の優雅な住宅が散見される。数キロの沖合に浮かぶセントジョージ島には白い砂浜が広がる。
東京電力福島第一原発で一九九一年、1号機のタービン建屋の配管から冷却用の海水が漏れ、地下一階にある非常用ディーゼル発電機が浸水して一時、使用不能になっていたことが分かった。 当時、同原発で働いていた元東電技術者の木村俊雄さん(47)=高知県土佐清水市=が証言した。トラブルがあったのは九一年十月三十日。原子炉は手動で停止され、事故には発展しなかった。 木村さんが「この程度で非常用電源が失われるなら、大きな津波が来たらメルトダウン(炉心溶融)になるのでは」と訴えたのに対し、上司は「その通りだが、津波と過酷事故を結びつけるのは安全対策の中ではタブーになっている」と答えただけだったという。 木村さんは八九年から二〇〇一年に退職するまで同原発に勤務した。〇四年十二月のインドネシア・スマトラ沖地震で大津波が発生。〇五年に福島県いわき市のミニコミ誌にこのトラブルに関する論文を寄稿し、津波で全電源を喪失し
汚染焼却灰「記念品だ」 福島・塙町長が東電に手渡す ドクロマークの容器に入れた汚染灰を持って交渉に臨む菊池町長=25日、東京都千代田区の東電本店 福島県塙町の菊池基文町長は25日、東京電力本店(東京)を訪ね、白河、会津地方の自主避難者も福島第1原発事故の損害賠償の対象に入れるよう求めた。高い放射線量が出て処理できない汚泥の焼却灰を持参し、「福島を分断することは許されない」と訴えた。 菊池町長は灰をドクロマークの紙を張った容器に入れ、交渉に臨んだ。「この灰は捨てる場所がなく、成仏できない。花咲かじいさんは木に灰をまいて花を咲かせたが、この灰は人を滅ぼす。白河、会津地方は蚊帳の外に置かれたが、われわれはこんな恐ろしい灰とともに生活している」と述べた。 東電の西沢俊夫社長は「誠心誠意対応する」と答えた。菊池町長は交渉後、皮肉交じりに「記念品だ」と言い、灰の容器を東電の役員に渡した。 灰は塙
“4時間早ければ溶融回避” 9月15日 18時47分 東京電力福島第一原子力発電所の事故では1号機から3号機で核燃料が溶け落ちるメルトダウンが起きましたが、このうち大量の放射性物質の放出につながった2号機のメルトダウンは、実際より4時間早く水の注入を始めていれば防げた可能性のあることが、研究機関の解析で分かりました。 福島第一原発では、3月11日から14日にかけていずれも冷却機能を失って1号機、3号機、2号機の順にメルトダウンし、このうち2号機では、15日朝に起きた爆発で大量の放射性物質が放出され、放射能汚染が広がる大きな原因となりました。日本原子力研究開発機構は、2号機の原子炉の状態をコンピューターで再現し、メルトダウンを防ぐ手立てはなかったか調べました。実際の2号機の対応では、14日に水の注入のため原子炉の圧力を下げたあと午後8時ごろに水を入れ始めたとされています。解析では、午後4時半
福島第1原発事故をめぐり産経新聞のインタビューに応じた国際原子力機関(IAEA)元事務次長でスイスの原子力工学専門家、ブルーノ・ペロード氏との一問一答は次の通り。 --福島第1原子力発電所事故で日本政府がIAEAに事故に関する調査報告書を提出したが 「私は事故後の対応について日本政府や東電を批判するつもりはないが、両者が事故前に対策を取らなかったことは深刻だ。特に、東電の不作為はほとんど犯罪的だ」 --なぜ、そう思うのか 「福島第1原発の米ゼネラル・エレクトリック(GE)製沸騰水型原子炉マーク1型は圧力容器と格納容器が近接しており、水素ガスが発生すれば圧力が急激に高まる危険性が1970年代から指摘されていた。福島で原発の建屋はクリスマスプレゼントの箱のように簡単に壊れたが、スイスでは90年代に格納容器も建屋も二重するなど水素ガス爆発防止策を強化した」 --東電はどうしたのか 「当時、スイス
東京電力福島第一原子力発電所の専用港で、海水の放射性セシウムの濃度がほとんど下がらなくなっていることについて、東京海洋大学の研究グループが試算したところ、汚染水の流出が止まったとされるおととし6月以降も、1年間で事故前の排出限度の73倍に当たる放射性セシウムが専用港に流れ出た可能性があることが分かりました。 研究グループは、詳細な調査を実施すべきだ、としています。 東京海洋大学の研究グループは、福島第一原発の専用港で海水に含まれるセシウム137の濃度が、去年春以降、高いところで、国の基準を上回る1リットル当たり100ベクレル前後からほとんど下がらなくなっていることから、原因の究明に役立てるため独自に試算を行いました。 試算では、専用港の海水は、海流や潮の満ち干で1日に44%が入れ替わると推定され、セシウム137が公表されている濃度になるには1日当たり80億から930億ベクレルが流れ込んでい
【佐藤純】東京電力福島第一原発で働く作業員の要員計画が破綻(はたん)し、政府が見直し作業に入ったことが分かった。違法な偽装請負の状態で働く人が約半数に上る疑いが浮上し、適法な作業員だけでは足りない恐れがあるためだ。業界の慣行である偽装請負に依存しない新たな計画を打ち出せるかが焦点となる。 政府と東電は昨年7月にまとめた工程表で、年間最大1万2千人の作業員が必要と試算し、2016年までは「不足は生じない見込み」と明記。福島第一で働く際に必要な放射線業務従事者の指定を昨年5月までに受けた2万4300人のうち、高線量を浴びた人を除く2万3300人を「再び従事いただける可能性のより高い母集団」と位置づけ、要員確保は十分可能と説明していた。 ところが東電が昨年9〜10月に作業員4千人を対象にしたアンケートで、「作業指示している会社と給料を支給している会社は同じか」との質問に47%が「違う」と回答
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