小沢がどうした、野田はこうした、と新聞が書きたてる政界報道に国民も小熊英二もうんざり……。いまここにある「代議制民主主義の行き詰まり」の根本原因を鋭く解説する。 文:小熊英二 まんが:えだ雀 「誰それが動いた!」の意味 原発再稼働と消費税増税が、日本の政治の「話題」となっている。「話題」というのは、政界や報道の作法があくまで旧態依然で、「話題」が入れ替わっても行動様式が同じだからだ。いわく「○派と×派の対立」、いわく「政治家の誰それが動いた」、というものである。 こうした政治と報道の様式は、1970年代から80年代に定着したものだ。自民党の派閥政治の最盛期で、自民党の派閥と長老政治家の動きがイコール政治である、という時代だった。1960年代以前は、野党や社会運動も力を持っており、それを無視しては、政治も政治報道も成り立たなかった。何より、与野党の対立は「資本主義か社会主義か」という体制選