生活が苦しい。国の経済が危ない。そんな議論のたびに税金が悪者と言われる。だが実は、こっちこそが本丸なのだ。誰も異論を挟めず、膨らみ続ける社会保障という重荷―もはや、手遅れなのか。 まるで戦時経済 埼玉県に住む中山浩之さん(37歳・仮名)は先日、74歳の父親と電話で口論になったという。 「妻と相談して戸建てに住み替えようと考えたのですが、最近はとにかく不動産が高い。父に頭金をいくらか援助してくれないかと頼んだら、『うちだって懐が厳しいんだ。なんでお前はちゃんと貯金していないんだ』と怒り出してしまって……」 大手メーカーに勤める中山さんは年収700万円と、決して薄給というわけではない。ただ、同じ年収700万円でも、手取り額が平成中期までは約600万円だったところ、令和のいまは約550万円と、50万円も減っている。これではなかなか貯金もはかどらないが、中山さんの父が、そのような現状を知るはずもな