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山形浩生の検索結果1 - 40 件 / 110件

山形浩生に関するエントリは110件あります。 経済book思想 などが関連タグです。 人気エントリには 『ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」』などがあります。
  • ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    訳者まえがき まちがって公開されたとおぼしき、ロシアがウクライナ征服に成功していた場合のロシア国営通信 RIA予定稿の全訳。すぐに引っ込められたが、Wayback Machineにしっかり捕捉されていた。すごい代物。いくらでも言いたいことはあるが、読めば多くの人は同じことを考えるだろうし、ある100年近く前のドイツの人が書いた文章との類似も明らかだとは思う。 以下のツイート経由で存在を知った。ありがとうございます! 1 “The resolution of the Ukraine question.” A mistakenly published Russian article gives us a chilling insight into the neo-imperialist thinking in Russia that drives Putin’s decision to inv

      ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    • 偉大なる首領スターリン閣下のありがたきインタビューでも読み給え。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

      最近さまざまなメディアにおける人民諸君の発言を見るにつけ、であるな、多くの者が堕落し、あるべき革命精神を忘れ、軽視し、捨て去っているように見えるのだよ。特にへっぽこリベラルえせ知識人どもよ。そうした反革命分子どもにも、更正の機会を与えてやろうではないか。偉大なる首領、我らが指導者スターリン閣下のありがたきインタビューを読んで、あらためて社会における己の卑しき役割を再認識したまえ。 H・G・ウェルズによるスターリンのインタビュー、1934年7月 pdfが嫌な人は、この下に全文貼り付けてあるのでこのまま読み進めたまえ。 というわけで、H・G・ウェルズによるスターリンのインタビュー。大恐慌真っ最中の1934年にソ連を訪れたイギリスの大知識人たるウェルズは、もう資本主義は終わりだ、社会主義の時代がすぐにやってくると、当時の (そして今の) 軽薄なリベラル知識人ぶりを全開にしてスターリンにインタビュ

        偉大なる首領スターリン閣下のありがたきインタビューでも読み給え。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
      • cakes(ケイクス)

        cakesは2022年8月31日に終了いたしました。 10年間の長きにわたり、ご愛読ありがとうございました。 2022年9月1日

          cakes(ケイクス)
        • トルコ大統領が不敬にも捨てたという、トランプ大統領閣下のありがたきお手紙を植民地の下等民どもも味わってみたまえ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

          もう多くの人が言っていることだけれど、ぼくは最近、フェイクニュースと現実のニュースの区別がつかなくなっていて、冗談ぬきで途方にくれている。このニュースが最初に出てきたときもそうだった。 www.asahi.com この手紙の実物が最初にでまわったとき、ぼくは絶対これはインチキだろうと思ったんだけど……ちがった。朝日新聞のこんな機械翻訳ではその真の味わいがかけらもわからないので、その文体も含め訳してあげました。 トランプ大統領閣下のありがたきお手紙 (ウソだと思う人(思うよねえ)、現物はこちら リークしたのがフォックスニュースだし、ホワイトハウスも認めてるそうです) ごめんね、ぼくはこういう格調高い文章の翻訳になれてないので、ちょっとまちがってるところもあるかもしれないけど…… 山形がまた超訳してるんだろうと思う人もいるかもしれないけど、ほぼこの通りです。これを口述筆記させられた人はその場で

            トルコ大統領が不敬にも捨てたという、トランプ大統領閣下のありがたきお手紙を植民地の下等民どもも味わってみたまえ。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
          • オーウェル『1984年』全訳完成 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

            Big Brother is Watching YOU!!! 2023年の年頭に宣言した通り、オーウェル『1984年』の全訳をあげました。 genpaku.org html版と、pdf版があるので、まあお好きに。当然、クリエイティブコモンズなので、自由にお使いください。個人的にはいま出版されているどの翻訳よりもいいとは思うが、それは趣味もあるでしょう。商業出版したいとかいうところはあるかなー。なければ自分で電子ブックでも作って売ろう。 追記:商業出版したいというところが出てきたので (まだ確定ではありません) 、いまのうちにダウンロードしたりあちこちにばらまいたりしておくといいと思うぞ。(11/28) ビッグ・ブラザーのポスターでもトップにかざろうかと思ったけれど、みんなおどろおどろしいものばかりで、小説の記述に即したニュートラルなものがあまりないので少しびっくり。 訳していて、いろいろ含

              オーウェル『1984年』全訳完成 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
            • 「留年して、建設省への就職がおじゃんに。それで大学院のあと、野村総研(NRI)へ入るんです」──山形浩生さん(前編)|就活サイト【ONE CAREER】

                「留年して、建設省への就職がおじゃんに。それで大学院のあと、野村総研(NRI)へ入るんです」──山形浩生さん(前編)|就活サイト【ONE CAREER】
              • 差別をなくすために差別を温存している? 『「社会正義」はいつも正しい』の読みどころを訳者・山形浩生が解説!|Hayakawa Books & Magazines(β)

                差別をなくすために差別を温存している? 『「社会正義」はいつも正しい』の読みどころを訳者・山形浩生が解説! 「白人は、白人というだけで人種差別的である」 「病気や障害を治療・予防しようとする試みは、当事者への憎悪に基づいている」 「映画の中で黒人女性キャラクターを力強いタフな人物として描くのは黒人差別(だが、弱く従属的な存在として描くと女性差別)」 ――ほんとうに? 現代世界を席捲する「社会正義」の根拠を問う全米ベストセラー『「社会正義」はいつも正しい 人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』(ヘレン・プラックローズ、ジェームズ・リンゼイ:著、山形浩生、森本正史:訳、早川書房)。11月16日の刊行に先立ち、山形浩生氏による「訳者解説」を全文公開します。 『「社会正義」はいつも正しい』早川書房訳者解説1 はじめに本書はHelen Pluckrose and James Li

                  差別をなくすために差別を温存している? 『「社会正義」はいつも正しい』の読みどころを訳者・山形浩生が解説!|Hayakawa Books & Magazines(β)
                • ぼくは「モンティ・ホール問題」がよくわからない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                  10月24日に、Change to Hopeというイベントがあって、スティーブン・ピンカーが来日して基調講演をする……予定だったのがコロナで来れずオンラインになってしまったんだが、ぼくがその司会役、というか質問係をおおせつかったのでした。 www.change-to-hope.com で、これは新著『人はどこまで合理的か』をベースに最近のネタを散りばめる講演で、ぼくも付け焼き刃でざっと読んでみました。基本は、人はいろいろ数学パズルみたいなものにごまかされて合理性を発揮しにくくなる部分があるのだ、という話や経済学的な合理性の話などで、あとは合理性がいかにしてこれまでの人類の発展を率いてきたか、これからも理性をちゃんと使ってがんばらないといけないよ、というもの。一般向けの講義をまとめたものだそうで、人によっては知ってる話ばかりでつまらないかもしれない。まったく知らなかった目新しい話はない。類書

                    ぼくは「モンティ・ホール問題」がよくわからない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                  • コロナなんかどうでもいいから石岡瑛子展に行きなさい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                    Executive Summary この展覧会を前にしてどうでもよくないと思う人は、豚に真珠もいいとこだから観に行かないほうがいいよ。 はじめに 先日、無料券をもらったので石岡瑛子展にでかけてきたのです。 www.mot-art-museum.jp ぼくは石岡瑛子は昔からとても好き、というか崇めていて、『風姿花伝』も持っているし、『私デザイン』も持っていて、何度も見ている。 石岡瑛子風姿花伝―Eiko by Eiko 作者:石岡 瑛子求竜堂Amazon 私 デザイン 作者:石岡 瑛子講談社Amazon だから別に今回の展覧会で何か新しい発見があるとは特に思っていなかった。いろんな衣装の実物があるというのは聞いていて、それは楽しみだったかな。でもまあ、知っていることのおさらいだろうと思っていた。 ちがった。すげえ。みなさんも是非行きなさい。 いまなお衝撃力を保つバブル期広告作品 まず入ると、

                      コロナなんかどうでもいいから石岡瑛子展に行きなさい。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                    • フロイト『夢判断』:フロイトの過大評価をはっきりわからせてくれる見事な新訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                      新訳 夢判断 (新潮モダン・クラシックス) 作者:フロイト新潮社Amazon 古典をきちんと読まなければ、みたいな強迫観念は、昔は強かったけれど、いまはあまり残っていない。が、フロイトは高校時代に岸田秀に入れ込んだこともあり、またいろんな人がフロイトはすごい、フロイトにかえれ、みたいなことをしきりに言うので、いずれ読まねば、という気持はあった。そして高橋義孝のギクシャクした金くぎ翻訳をなどを読んで挫折し、いやこれはぼくの理解力が足りないのか、これをきちんと理解すると、何かすごい世界が広がるのか、と思っていた。いつの日か、ちゃんと読もう…… そしてその「いつの日か」がやってきた。フロイト『夢判断」新訳だ。 そしてこれは、すばらしい。訳は実に明快でわかりやすい。これまで読んで挫折したのは、何よりも翻訳がダメだったせいだ、というのがはっきりわかる。が、同時にもう一つわかったことがある。フロイトは

                        フロイト『夢判断』:フロイトの過大評価をはっきりわからせてくれる見事な新訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                      • ピケティ『資本とイデオロギー』読書ガイド - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                        目次: 目次: はじめに 1. 『資本とイデオロギー』の概略 1.1 .『21世紀の資本』のあらすじ: 1.2. 『資本とイデオロギー』の全体的な話 1.3. 『資本とイデオロギー』のあらすじ 第I~II部:歴史上の格差レジーム/奴隷社会&植民地 第III部:20世紀の大転換 第IV部(その1):政治的対立の次元再考——問題編 第IV部(その2):政治的対立の次元再考——対策案 (第17章) 第IV部(その3):政治的対立の次元再考——対策案 (その他随所) 2. 通読する必要はないと思う 3. タイプ別読み方 『21世紀の資本』の続きとして読みたい人、つまり経済格差とその対応を知りたい人は…… 経済格差への対応を知りたい人は…… 世界各地の格差の変動プロセスの比較に興味ある人は…… 4. 最後に はじめに このたび、ついについに難産の子、ピケティ『資本とイデオロギー』が出ました。 資本と

                          ピケティ『資本とイデオロギー』読書ガイド - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                        • ロシア帝国300周年記念に寄せて (2022/02/04): ロシア停戦交渉団親分の「帝国バンザイ!」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                          我らが偉大なhicksian 様のこのツイートで紹介されていたブログ記事、とてもおもしろい。 broadstreet.blog この著者はMITのソ連ロシア史教授、エリザベス・ウッズ。プーチンは、ヒル&ガディの現時点ではベストなプーチン伝「プーチンの世界」で紹介されている、「プーチンは歴史の男だ」というまとめを敷衍して、その「歴史」というのがおとぎ話に近いネトウヨ妄想なのだ、という点を指摘している。 プーチンの世界―「皇帝」になった工作員― 作者:フィオナ・ヒル,クリフォード・G・ガディ新潮社Amazon このブログでは、その妄想ぶりについてかなり細かく指摘されているけれど、基本的にはこれまでしょっちゅうお目にかかった、大ロシア帝国復活こそが歴史的必然であり、民族の悲願なのであり、それを西側がじゃましくさっておるのよ、という話。いやそれよりひどくて、ロシアは昔から、優しい民主的な共存共栄の

                            ロシア帝国300周年記念に寄せて (2022/02/04): ロシア停戦交渉団親分の「帝国バンザイ!」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                          • 「日本人のコロナ自粛はすごかった」上から目線で"緩み"に怒る人はこれ以上なにを望むのか 被害甚大な欧米がマスクなしのワケ

                            欧米ではコロナ禍に終わりが見え、「マスクなし」の生活に戻りつつある。なぜ日本は後れているのか。評論家の山形浩生さんは「日本人のコロナ自粛は、欧米先進国に比べれば、よっぽどすごかった。各国の被害は日本以上だが、コロナ禍に見切りをつけて、いまのような“戒厳令もどき”を意図的に終わらせようとしている。日本もそうした判断を下すべきだろう」という――。(後編/全2回) これ以上ぼくたちは何ができるというのか (前編から続く) そもそも、これ以上の何ができるのだろうか? ぼくは主観的にも、客観的にも、これ以上の大きな犠牲を強いるのは不可能だと思っている。人びとはすでに、十分すぎるくらいに犠牲を払って予防策を講じているからだ。 まずほとんどの人は、主観的にはこれ以上のことはできないと思っている。少なくとも、するつもりはない。 いや、そんなはずはない、という人もいるだろう。感染者数が増えると、毎回ツイッタ

                              「日本人のコロナ自粛はすごかった」上から目線で"緩み"に怒る人はこれ以上なにを望むのか 被害甚大な欧米がマスクなしのワケ
                            • ブックマーク一覧ページに対するブックマークコメントでの誹謗 - Hatena Policies

                              ユーザーのブックマーク一覧ページをブックマークし誹謗しているユーザーがいるが、これはガイドライン上許認される行為かとの問い合わせあり 特定ユーザーのブックマーク一覧ページやコメントページについてブックマークをする行為や、そのユーザーのブックマーク傾向、コメントの内容について言及する行為については、コメント表現が論評の範囲にとどまる限り、ガイドライン上特段の問題はない。しかし、コメント表現が論評の範囲を超え、人身攻撃に相当する場合は、利用規約で禁ずる権利侵害情報の発信、または迷惑行為、嫌がらせ行為に相当するものと判断する 問い合わせの対象となったブックマークコメント群では、言及対象ユーザーに対し「チンカス」「ゴミ」「キチガイ」といった直接的な罵倒に類する表現があったため、投稿者に対し注意勧告を行った 注意勧告を行った後、しばらくの間は類似の投稿は行われなかったため利用状況が改善されたものとみ

                                ブックマーク一覧ページに対するブックマークコメントでの誹謗 - Hatena Policies
                              • キューバの経済 part 4: 社会主義/共産主義経済の全体像 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                1. キューバ再び:経済危機のさなか さて久々にキューバにきているのだけれど、キューバはいますごいことになっている。まず、アメリカの制裁がどんどん厳しくなり、各種の船はキューバに寄っただけで嫌がらせされ、キューバへのフライトもどんどん潰された。おかげで観光客は激減。FDIもやたらに支障をきたす状態。食料やガソリンの不足はとんでもない状況だ。 さらにコロナ。2020年夏に、一時抑え込んで、われコロナに勝利せり、と叫んだらすぐに第二波がはじまり、さらに今年に入って爆発。人口一千万強のキューバで、一日千人規模……だったのが6月にさらに爆発して一日三千人の新規患者数だ。おかげでレストランはテイクアウトのみ。夜8時から朝5時まで外出禁止。 さらにトランプがイタチの最後っ屁で、今年一月にキューバをテロ支援国認定してしまったので、特に銀行のドル送金ルートがほぼ完全に断たれてしまった。キューバ相手のドル取

                                  キューバの経済 part 4: 社会主義/共産主義経済の全体像 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                • The Economist:「クソな仕事 (ブルシット・ジョブ)」はクソ理論 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                  Executive Summary デヴィッド・グレーバーは、いまの資本主義を批判するので人気があるが、最近の労働が実は無意味なものと化し、そこに従事している人びとが虚無と疎外感にとらわれているという『ブルシット・ジョブ』(2018) は、実際の人びとの労働意識を調べて見ると、まったく実態に即していない、ただの思いこみでしかない。それを述べたThe Economist記事を勝手に翻訳した。 デヴィッド・グレーバーは何やら一部の人にはえらく人気があって、お決まりのサヨク議論を何やらそれっぽい意匠で語ってみせるから、というのが普通の解釈だけれど、正直いってそれ以上のものだとは思わない。 で、彼のブルシット・ジョブ。ほとんどの人は読んでなくて、これが非正規のウーバー配達員とかそういう仕事のことだとおもっているんだけれど、実はちがう。オリンピック大臣の丸川珠代みたいな、何の技能もなく意味もないお飾

                                    The Economist:「クソな仕事 (ブルシット・ジョブ)」はクソ理論 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                  • ピケティ『21世紀の資本』: r>g は格差の必要 or 十分条件か? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                    21世紀の資本 作者:トマ・ピケティ発売日: 2015/04/27メディア: Kindle版 新年仕事始め前の小ネタ。ツイッターでこんなのみかけたのよ。 このツイ主は、浅田論文を読んでおくことでどういう知見を得るべきなのか、ここで採りあげているネット番組の問題提起に対してそれがどう関係してくるのかは明記していない。けれど、文脈から判断して、これは日本で r>g が顕著になってきたことなんか重視すべきじゃない、それで格差なんか増えない、こんなんで騒ぐやつは煽りだ、と言いたいのだろうとぼくは判断する。 さて、この人がツイートないで言及している論文はこれだ。 core.ac.uk ちょっと待った、これ、COREか! ワタクシが座興で訳していたら「金払わないと訳しちゃダメ」と言ってそれを潰しやがった……まあいいや。勝手にやってたことだから仕方ないんだけど。が、閑話休題。 (なんか別物らしい。とばっ

                                      ピケティ『21世紀の資本』: r>g は格差の必要 or 十分条件か? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                    • 記事の公開停止につきまして

                                      11月15日に弊社noteに掲載した記事「差別をなくすために差別を温存している? 『「社会正義」はいつも正しい』の読みどころを訳者・山形浩生が解説!」につきまして、読者の皆様から様々なご意見を頂いております。出版社がなんらかの差別に加担するようなことがあってはならず、ご指摘を重く受け止めております。 掲載した巻末解説は本文とあわせて読まれることを前提に書かれ、ポストモダニズムの三つのフェーズ、カッコつきの〈社会正義〉といった本文のキー概念にはあえて触れていません。そうしたテキストのみを、本文と切り離した形でウェブ公開すること自体が不適切でした。 つきましては、当該記事の公開を本日停止しました。 弊社はあらゆる差別を許容せず、それを大前提としたうえで多様な出版活動を行なってまいります。ウェブ・SNS上での情報発信に関して編集部内でのチェック体制を新たに整えるとともに、熟慮を重ね、不適切な情報

                                      • オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                        Executive Summary トマス・ピンチョンのオーウェル『1984年』序文は、まったく構造化されず、思いつきを羅列しただけ。何の脈絡も論理の筋もない。しかもその思いつきもつまらないものばかり。唯一見るべきは、「補遺;ニュースピークの原理」が過去形で書かれていることにこめられた希望だけ。だが、考えて見れば、ピンチョンはすべて雑然とした羅列しかできない人ではある。それを複雑な世界の反映となる豊穣な猥雑さだと思ってみんなもてはやしてきた。だが実はそれは、読者側の深読みにすぎないのかもしれない。そしてその深読みが匂わせる陰謀論が意味ありげだった時代——つまり大きな世界構造がしっかりあって、裏の世界が意味をもった60-80年代——にはそれで通ったのに、1990年代以降はもっと露骨な陰謀論が表に出てきてしまい、ピンチョン的な匂わせるだけの陰謀論は無意味になった。それがかれの最近の作品に見られ

                                          オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                        • ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                          はい、コロナ戒厳令開始前に、サイモン『意思決定と合理性』の改訳を始めました。 cruel.hatenablog.com で、終わった。まあ読みなさい。 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) pdf版 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) epub版 右クリックでダウンロード 読者のみんなは、ぼくに深く感謝するがよいのだ。これはそれだけの価値がある、すごい本だからだ。 この短い本に収められた叡智のすごさは、ちょっと比類がない。第1章は、彼の限定合理性理論のまとめであると同時に、自分でその限界をバシバシ指摘したおっかない部分。2章は、進化論について一般人の知るべき事を、とんでもなく高度な話まで含めて網羅している。第3章では、1982年の時点で地球温暖化の話にすでに目配りしてあるのに驚くし、また最後に出てくる各種経済学派のちがいは唯一、期待形成のあ

                                            ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                          • スノーデン自伝 訳者ボツ解説 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                            しばらく前、といってもコロナ前だからはるか昔のように思えてしまうけれど、かのエドワード・スノーデンの自伝を訳したのでした。NSAに気がつかれないよう、原文はタイプ原稿コピー、著者名も偽名、これについてネットで絶対話をするなという条件つきで、しかも少し急かされたこともあり、なかなかおもしろうございました。 スノーデン 独白: 消せない記録 作者:エドワード・スノーデン発売日: 2019/11/30メディア: 単行本 さて、この本には訳者解説はない。でも実は、事前に有識者に送ったレビュー用の見本版には、訳者解説があった。そして、出版社が販促用に作ったページにも、一時は訳者の解説が全文掲載されていた。 www.kawade.co.jp それがなぜ上のページから削除され、実際の本からも訳者解説が消えたのかというと……スノーデン側から物言いがついて、なんでもあの訳者解説はスノーデンに対して disr

                                              スノーデン自伝 訳者ボツ解説 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                            • 『「社会正義」はいつも正しい』解説記事が誰かの逆鱗に触れる→編集者は己の加害者性を自覚して自己批判し、解説記事も公開停止に

                                              一ノ瀬翔太 @shotichin 明日発売(一部の書店さんにはすでに並んでいるようです)の『「社会正義」はいつも正しい』より、訳者解説9000字を全文公開しました。ぜひ読んでみて下さい。 差別をなくすために差別を温存している? 『「社会正義」はいつも正しい』の読みどころを訳者・山形浩生が解説! hayakawabooks.com/n/n3856ec404c2f 2022-11-15 18:09:14

                                                『「社会正義」はいつも正しい』解説記事が誰かの逆鱗に触れる→編集者は己の加害者性を自覚して自己批判し、解説記事も公開停止に
                                              • Hiroo Yamagata on Twitter: "いま世界で大ヒット中の「スーパーマリオ」映画は、もともとはハリウッドがピーチ姫を強いヒロインにしてマリオを足蹴にする最近流行りのポリコレ改変版にするつもりが、任天堂が拒否権をがっつり行使して現在の形にさせた、とのこと。任天堂えらい!"

                                                • レッシグ新刊で知ったアメリカ政治二極化の力学 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                  久しぶりにレッシグの翻訳をしているんだけれど、なかなかおもしろい(部分もある)。 かつてのインターネット法や著作権法からレッシグの関心は大きく逸れて、ここしばらくのレッシグの本は、アメリカの選挙献金制度の改革がテーマになっていた。何度か、翻訳の打診もきたし相談も受けたんだけれど、話があまりにアメリカの選挙制度に偏りすぎで、翻訳しても日本人が関心持ちようがないと判断したので、申し訳ないんだがずっと見送りを奨めていた。 さらにその後、レッシグ自身が大統領選に出馬とかして、本人的には真面目なんだろうけれど、端から見るとスタンドプレーにしか思えないことをやったりしたため、言っては悪いんだが、キワモノ的な雰囲気が高まっていたこともあって、もう最近のやつは読んでもいなかった。 それが、まあいろいろあって最新作を訳すことになって手をつけ始めている。おおむね関心は変わっておらず、アメリカ政治の根本的な改革

                                                    レッシグ新刊で知ったアメリカ政治二極化の力学 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                  • 「いつまで"最後の我慢"を続けるのか」これ以上、高齢者のために子供を犠牲にするべきではない 自粛の後遺症を考えたことがあるか

                                                    だれもこんなに長引くとは思っていなかった オリンピックが無事すんで、世間の話題はまたもやコロナだ。デルタ株で感染者数急上昇。収束の気配は見られない云々。緊急事態宣言は当分続きそうだ。酒は出すな、外に出るな、会食はだめ、帰省もやめろ、あれはするな、これはダメ。それを守らない不心得者どもがけしからん……。 そしておそらく、ほとんどの人ははっきり思っているはずだ。 これって、いつまで続くの? いや、いつまで続けるの? 今回ですでに2回目の夏だ。だれもこんなに長引くとは思っていなかった。去年の3月頃、コロナが本格化した頃には、まあ多少は余裕を見て2020年9月くらいにはおさまるだろうと思っていた。用心深い人でも、年度開けくらいにはすべてが元に戻ると思っていた。 それがこんなに続くとは。しかも1年半たったいま、ほぼ抑え込んであとは残党処理、という状態ではない。ヘタをすると、これからさらにデルタ株の山

                                                      「いつまで"最後の我慢"を続けるのか」これ以上、高齢者のために子供を犠牲にするべきではない 自粛の後遺症を考えたことがあるか
                                                    • 格差の拡大は本当だろうか?——経済学者、格差の数字を見直す(The Economist より) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                      訳者口上:秋にピケティの新著が出たところで、The Economistの11/30号に格差についての議論を見直す研究についての話が出ていた。おもしろかったので勝手に翻訳。トップ層がすさまじく豊かになっているという見立ては、実はそんなに正しくないのではないか、という研究がどんどん出てきたというお話。ただし、どれも金持ちの豊かさ増大がピケティらの言うほどはすごくないかも、というだけで、金持ちが豊かになっていること自体を否定するものではないので念のため。なお、途中の見出しはオリジナル通りで、全部ある有名な曲の歌詞から。(山形浩生) www.economist.com 2011年にニューヨークのズコッティ公園での抗議デモに何千人もが集結する10年以上前、フランスのあまり有名でない経済学者が腰を据えて、所得格差についての新しい見方を扱った論文を書き始めた。「我々の研究の焦点は、トップ10%、トップ1

                                                        格差の拡大は本当だろうか?——経済学者、格差の数字を見直す(The Economist より) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                      • ナオミ・ウルフ (博士) の……凋落なのか元からそうだったのか…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                        Executive Summary 2021年10月に、ナオミ・ウルフのツイッターアカウントが垢バンをくらった。コロナ陰謀論とワクチン否定論の最も低級な代物をバラマキ続けたせいだが、それ以前からナオミ・ウルフはどんどんおかしくなっていた。 もともと主著『美の陰謀』でも、ルッキズムからくる拒食症による死者数を、累計を毎年の数字だと思って数百倍にしてしまっており、いい加減さは有名だった。博士論文をもとにした近著Outrages!では、その中心にあった基本概念である death recordedが、単なる形式上の記述なのを知らず本当に死刑だと思って論を構築していたことが判明し、面目が丸つぶれ。その後、5G陰謀論、コロナ陰謀論、コロナワクチン陰謀論に次々にはまっていき、もはや信用を完全に失ってしまった。 2021年6月に、ナオミ・ウルフのツイッターアカウントが停止をくらった。 いやー、ついにそこま

                                                          ナオミ・ウルフ (博士) の……凋落なのか元からそうだったのか…… - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                        • 山形浩生はピケティの翻訳者としてふさわしくないという声が出ている

                                                          なぜか邦訳から8年たった今になって。 発端は英文学者の北村紗衣さんのようだ。 https://twitter.com/Cristoforou/status/1599968483911282688?t=6mV_u9bASYtdPmBDiBo2og&s=19 原書のフランス語からではなく英語版から重訳したのがよくないらしい。「翻訳文化が崩壊してもおかしくない」らしい。 論争の詳細はTwitterで「ピケティ 重訳」で検索しよう。 経済学者の石塚良次さんや https://twitter.com/R__Ishizuka/status/1600281916665909250?t=9K4n8irURfkUg3tLLIwzGQ&s=19 https://twitter.com/R__Ishizuka/status/1600364842489372672?t=QShYRZLrZ_fykI2xuD7qhw

                                                            山形浩生はピケティの翻訳者としてふさわしくないという声が出ている
                                                          • チェ・ゲバラ広島行きの謎、および三好徹『ゲバラ伝』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                            いま訳しているゲバラ本、詳細なだけあって、とにかくおもしろいエピソード満載ではある。その一つが、1959年ゲバラの来日および広島訪問のエピソードだ。 簡単に背景を。1959年1月、世界の驚きをよそにキューバ革命が成功してハバナは制圧されてしまい、新政権が樹立した。カストロは、表向きは自分が共産主義者じゃないと言い張りつつ、軍と政権内の粛清とキューバ共産党 (=人民社会党) メンバーの浸透を着々と進める。 そんな中、カストロは今後のアメリカとの関係悪化を予想し、アメリカ以外への輸出市場拡大および外交関係の強化を狙って、特にバンドン会議の「非同盟国」(米ソどちらにも肩入れしない国々、エジプトやインド、セイロン、インドネシアなど) および新興工業国 (当時の日本は、いまのような「先進国」などではなく、あくまで妙にがんばってる後進国もどきだった) である日本やユーゴに使節団を送りだし、その親玉にチ

                                                              チェ・ゲバラ広島行きの謎、および三好徹『ゲバラ伝』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                            • 山形浩生の重訳版『方法序説』 - デカルトの重箱

                                                              ながったらしいブログ、読みましたよ(笑)。 山形さんの訳には、一長一短があると思います。 色々と言う割には、いい加減なところもあると感じています。 若い人の中に、山形さんのイデオロギーを無批判に礼賛される方が少なからずいて、ちょっと困ったもんだと思ったこともありました。彼らによると、学者による訳、とりわけ岩波文庫の訳は「ダメ」なんだそうです。 たしかに、岩波文庫の中にも問題の多い訳本もありますが、名訳もあると思うのですがねぇ。 村山伝兵衛さま ありがとうございます。ご苦労さまでした。通読する粘りある読者さんが、他に少なくとも3名はいらっしゃるようです、3拍手あるので(汗) 一体どういう方がお読みになっているのでしょう…謎は深まるばかりでございます(汗) ところで、先日私は、T書店T店長にいただいた小冊子『図書 2019年9月号』の巻頭エッセイ「本当はバージョンが二つ作れたらいい」(岩波書店

                                                              • キューバの経済 番外編: ノマドの夢と現実 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                                キューバの話は書きかけがいくつかあるんだけれど、なんとなくまとめるところでモチベーションが落ちて放置してある。一つの理由は、コルナイ・ヤーノシュ『不足の政治経済学』を読んだら、ぼくが考えていたような話がすでにかなりきちんと考察されていて、ちょっと今さらかなあと思ってしまったことがある。コルナイ・ヤーノシュ*1、おもしろいから読んでねー。 「不足」の政治経済学 (1984年) (岩波現代選書〈90〉) 作者:コルナイ・ヤーノシュメディア: 単行本 が、コルナイ・ヤーノシュとこの山形ごときを比べること自体不敬であるし、下々の俗人の考えとして今後少しずつまとめていこうとは思う。が、そういう気が向く前に、また余談となる。 モンゴルで、いろいろ常識が覆された話はすでにやったけれど、もう一つ大きかったのは、ノマド/遊牧民というものに対する理解が完全に変わったことだった。 ノマドとは何か? ノマド=遊牧

                                                                  キューバの経済 番外編: ノマドの夢と現実 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                                • 教養とは:漁父の辞と水処理 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                                  Executive Summary 教養というと、実学に関係ないステータス財なのか、それとも実学にも役立つべきベースなのか、みたいな議論が起こる。だがその区別がない場合もあるし、それが理想かもしれないという気もする。大学の上水道学の講義で、屈原の「漁父の辞」に水処理の基本原理が描かれていると、まさに我田引水 (水処理だけに) で強引に読み取ってしまった教授は、なんかそれに近いことをやっていたようにも思う。そこから、直接実学と関係なくても、それと関係あるものを引き出す契機、みたいな教養の捉え方はできないものか? 今日、イベントで教養について話せといわれてあれこれ駄弁ったのですよ。 lms.gacco.org その中で、教養の役割とかいう話になる。こう、教養というと、実学とは離れた古典知ってます、みたいな、ボリス・ジョンソンがホメロスをギリシャ語で暗唱できますとか、日本なら四書五経だの漢詩だの

                                                                    教養とは:漁父の辞と水処理 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                                  • プーチン『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』(2021) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                                    プーチンが、ウクライナ侵略の9ヶ月前に発表した論文、というかアジ文。ウクライナはロシアと一体、という文章のように題名だけ見ると思えるが、実際にはウクライナは常にロシアの庇護下にあったし、ロシアが守ってやらないとやってけないぜ、ついでにドンバスとかクリミアとか、ロシア系が多くてみんなロシアになびいているのにウクライナ政府がそれを邪魔してネオナチ国粋主義者が虐殺していて、西側がそれを支援していてけしからん、という文章。 2022年のウクライナ侵略におけるプーチンの考え方を示す資料としてときどき言及されるが、きちんとした訳をみたことがないので (きちんとしていない、機械翻訳以下の訳が東京都市大名誉教授によるものとして存在するようだ) 自分でやりました。翻訳は、クレムリンの公式英訳に基づいている. ロシア語との齟齬があるかもしれないが、チェックしていない. 付記:ロシア大使館の翻訳がすでにあった。

                                                                      プーチン『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』(2021) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                                    • まあXmasプレゼントみたいなもので、ケインズ「芸術と国家」(1938) 翻訳。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                                      今年はろくな年ではなかったし、来年もどうなるやらという感じだが、まあそれでも欲しいやつにはクリスマスプレゼントみたいなものでもあげようか。耶蘇じゃないけど。都市景観保全系の論集にケインズが寄稿していたのを見つけたもので。 全集のどれかの巻に入ったりしているのかな? 特に調べる気もないけれど、ケインズがスラムクリアランスや都市再開発を、不景気対策の公共事業として具体的に提案した文章って他にあるのかな? ケインズ「芸術と国家」 (1938) https://genpaku.org/keynes/misc/KeynesArtandState.pdf そんなすごいことを言っている文章ではないけれど、ケチな財務省死ねの論調とか、提案とかはそれなりにおもしろい。それと、建築とか景観の話として依頼されたはずなのに、途中まで舞台芸術やBBCの話ばっかりで、建築系は最初と最後にとってつけたような感じがしなく

                                                                        まあXmasプレゼントみたいなもので、ケインズ「芸術と国家」(1938) 翻訳。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                                      • 『史記』に学ぶべき知識人の役割とは - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                                        Executive Summary 司馬遷『史記』に登場する焚書坑儒は、儒者どもが体制批判したせいだとされるが、実は穴に埋められた儒者たちにもそうされる十分な原因があったのかもしれない。かつて儒者を厚遇していた始皇帝だが、封禅の儀式のやりかたに結論を出せず、しかも後から揚げ足をとって悪口を述べた儒者の役立たずぶりに呆れた可能性がある。 これは二千年以上の時をこえた現代であっても、儒者=知識人の役割について何かしらの示唆を与えるものかもしれない。いやあ、古典って本当にすばらしいですね。 落合『殷』を読んでちょっと興味が向いて『史記』を実際に読み始めておるですよ。 史記 全8巻セット (ちくま学芸文庫) 作者:司馬 遷筑摩書房Amazon 一応歴史記録で話は淡々と進むし、本紀ではなぜか各種エピソードが何度か繰り返されて、続きを読んでいるつもりが話が戻っていたりして面食らうし、おもしろいからみん

                                                                          『史記』に学ぶべき知識人の役割とは - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                                        • プーチン本その1:朝日新聞『プーチンの実像』:ゴシップに終始して最後はプーチンの走狗と化す危険な本 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                                          Executive Summary 朝日新聞『プーチンの実像』(朝日新聞社、2015/2019) は、日本のぶら下がり取材的にプーチンが日本や自分たちと行った会見やその周辺人物のインタビューをあれこれ行っているが、明確な視点がないために、それが単なるゴシップのパパラッチに堕している。そのゴシップの価値にゲタをはかせようと、歪曲による祭りあげまで行ううえ、プーチンの軍事的な意図についてまったく触れず、このためプーチンは外国に対し、主権を持っているかとかいう抽象的な視点で判断を下しているという、ナンセンスな主張を行う。そしてそれは最終的に、日本はアメリカのイヌで主権がない、北方領土を返してほしければ日米安保を廃止して主権を回復せよ、という信じられない主張を暗に匂わせる、得たいの知れないプーチンの走狗本と化している。 ぼくも人並み以上にミーハーなので、ウクライナ侵攻が始まってから、いろいろプーチ

                                                                            プーチン本その1:朝日新聞『プーチンの実像』:ゴシップに終始して最後はプーチンの走狗と化す危険な本 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                                          • 役に立つ研究とは、みたいな話だがまとまらない - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                                            昨日、『史記』の記述をもとに「知識人、昔から変わんねーなウププ」という小文を書いた。 cruel.hatenablog.com するとこれを見てツイッターで「昔の中国の儒学者は、いまの知識人とは役割ちがうんだよ、そんなことも知らないのかバーカ、いまの知識人は何も役にたたなくていいんだよクソが」という非常に建設的なコメントをしてくれた人がいる。えーと、これか。 当時の儒教は現代でいういわゆる「学問」ではないんだよね。役に立たないことに没頭する「学問」は余裕がある文化人にのみ許された行為であり、役に立たないからこそ価値があるの。役に立ったら学問としては邪道よ。 / “『史記』に学ぶべき知識人の役割とは - 山形浩生の「…” https://t.co/SjJeAf6dnj— でかいの (@dekaino) February 6, 2022 前半はその通り、というか、あそこに挙げた大室幹雄『滑稽』

                                                                              役に立つ研究とは、みたいな話だがまとまらない - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                                            • トマス・ペイン『土地をめぐる公正』Agrarian Justice 元祖ベーシックインカム! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                                              トマス・ペインのAgrarian Justice、よく題名の直訳で、「農民の正義」とか紹介されているので、農地改革のすすめかなんかだろうと思って読みはじめたら、ぜんぜんちがいました。 なんと1795年の段階で、ベーシックインカムの必要性を実に明解に訴えた先駆的なパンフレット。そして、その論理はきわめて明解。創ったり相続したり買ったりしたものが私有財産というのは認めよう。でも、土地ってだれも作ったものじゃないよね。だから土地私有っておかしいよね。土地に対して、耕作して付加価値つけたら、その分は当然ながら、あんたの働きによるものだから私有できる。でも、いまの土地私有って、その改良を土地そのものと分離できないからって、本来あんたのものじゃない土地自体まで私有してるよね? だったらその部分、相続税の形で社会に還元して、それを土地という共有財産を奪われた人たちに、ベーシックインカムとしてあげようぜ、

                                                                                トマス・ペイン『土地をめぐる公正』Agrarian Justice 元祖ベーシックインカム! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                                              • スノーデン関連書紹介 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                                                                                このたび拙訳で、エドワード・スノーデンの自伝が出ることになった。我ながらものすごい勢いで訳したので、やろうと思えば9月の原書発売と同時発売も可能だったと思うけれど、なんだかんだで11月末になりました。 スノーデン 独白: 消せない記録 作者: エドワード・スノーデン,山形浩生出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/11/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 自伝は自伝としておもしろいのだけれど、そもそものリークした文書の中身についてはあまり記述がない。また当人の目からの話なので、周辺の状況は必ずしもはっきりしないし、それに当人の話を鵜呑みにする必要もないだろう。ということで、日本語で読める関連本に一通り目を通して観ました。 グリーンウォルド『暴露』 暴露:スノーデンが私に託したファイル 作者: グレン・グリーンウォルド,田口俊樹,濱野大道,武藤陽生出版社/メーカー:

                                                                                  スノーデン関連書紹介 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                                                                                • cakes(ケイクス)

                                                                                  cakesは2022年8月31日に終了いたしました。 10年間の長きにわたり、ご愛読ありがとうございました。 2022年9月1日

                                                                                    cakes(ケイクス)

                                                                                  新着記事