民主主義が重症である。21世紀の政治は、インターネットを通じた草の根グローバル民主主義の甘い夢を見ながら始まった。だが現実は残酷だった。中東民主化運動「アラブの春」は一瞬だけ火花を散らして挫折した。むしろネットが拡散するフェイクニュースや陰謀論、二極化が選挙を侵食し、強烈なポピュリスト政治家が増殖した。民主主義の敗北に次ぐ敗北。21世紀の21年間が与える第一印象だ。今や民主主義は世界のお荷物な
「断じて許してはなりません」。日本学術会議の新会員候補6人が菅義偉首相から任命されなかった問題に対し、法政大の田中優子総長は学問の自由を侵す行為として強い警鐘を鳴らす異例のメッセージを発表した。その発表前に取材に応じた田中氏は「安倍政権の時代から国会議員による本学の研究者に対する恫喝(どうかつ)や圧力と受け取れる言動があった」と明かし、大きな社会変動の時代、その役割が一層増している人文・社会科学分野の研究者に、今回の任命拒否が集中していることも問題視する。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】 首相が任命可否を判断するのは不可能 ――任命拒否の問題点はどこにあると考えますか。 ◆全国の大学や研究機関にとって、見過ごすことのできない、非常に大きな問題です。問題点は二つあります。一つは、日本学術会議が戦後、「わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する」
ウェンディ・ブラウンの『いかにして民主主義は失われていくのか 新自由主義の見えざる攻撃』を読むことに決めたのは、ブラウンのLSEでの講義に関連するツイートを見たからだ。私は新自由主義なる概念について確固たる見解を持っていない。「新自由主義」が何を意味するのか分かっていないのだ。ラディカルな著述家たちは、「経済学のほとんど」を指してこの言葉をよく使う(フィリップ・ミロウスキの“Never Let A Serious Crisis Go to Waste”が好例だ)。そして、マルクス主義者や、間違いなく異端派と言える経済学者だけが例外とされる。私は、ヤニス・ヴァルファキスが新自由主義者ではないと分かる程度にはこの言葉を理解している。しかし、そうした例外を除く経済学の大部分を新自由主義だと切り捨ててしまうなら、私見では、この概念は全く役立たずなものになる。もちろん、イデオロギー的に右翼の経済学者
世界1位の経済大国であるアメリカでは、人種差別やLGBTQ+の権利を巡る対立や経済格差の深刻化などが問題となっており、2024年の大統領選挙の行方に注目が集まっています。そんな中、メリーランド大学の政治学教授を務めるトーマス・シャーラー氏が、「アメリカの田舎に住む白人」が民主主義の脅威になり得ると指摘しました。 Why rural white Americans’ resentment is a threat to democracy https://theconversation.com/why-rural-white-americans-resentment-is-a-threat-to-democracy-224346 シャーラー氏は、アメリカでは都市部の人口の方が農村部の人口よりも多いにもかかわらず、選挙区の区割りによって農村人口が選挙に占める権力が不釣り合いに大きくなっていると指
NHK党(当時)から参院選に立候補したガーシー氏の選挙カー。本人はおらず、録音した音声を繰り返し流していた=東京都渋谷区で2022年6月24日午後2時49分、三浦研吾撮影 政治家女子48党(旧NHK党)のガーシー(東谷義和)元参院議員が国会に一度も出席せず、参院で除名処分となった。騒動は一件落着と思いきや、民主主義を研究している駒沢大の山崎望教授(政治学)は「民主主義が挑戦を受けた」とまで言う。何がそんなに問題なのか、話を聞いた。【山下智恵】 除名やむなしだが、賛成もしかねる 「民主主義を形骸化させたガーシー氏の除名は妥当ですが、除名という手段もまた、民主主義を傷つける行為。返り血を浴びたような、後味の悪い出来事でした」 山崎教授は、国会に出席しなかったガーシー元議員を厳しく批判した。ただ、「除名はやむなし」と考えつつも、除名処分にもろ手を挙げて賛成とは言えないという。その理由は後段で詳述
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人口500万人のノルウェーと3億人のアメリカでは前提も違い過ぎる(ノルウェーの首都オスロ) DAMIEN VERRIER/ISTOCKPHOTO <世界のリベラル派が理想とするノルウェーがリッチな福祉国家になれた泥くさい理由は別にある> トランプ米大統領の正式な出馬宣言で、来年の大統領選に向けた戦いが本格化している。20人以上の候補者が乱立する民主党では、支持率トップを争うバーニー・サンダース上院議員が、北欧型の社会民主主義を目指すと主張している。 無理もない。ノルウェー緑の党のアーレン・クビトルドは6月、フォーリン・ポリシー誌ウェブ版への寄稿で、社会民主主義的な経済政策が北欧諸国を豊かにしたと主張している。「世界銀行によると、ノルウェーとアメリカの1人当たりGDPはほぼ同じだ」 クビトルドによれば、それは政府が経済に大きく介入する政策が、実現可能であるだけでなく好ましいことの証拠だ。サン
中国・北京(Beijing)で、天安門(Tiananmen)事件から25年となる4日、厳戒態勢が敷かれている天安門広場(Tiananmen Square)周辺に動員された警察官(2014年6月4日撮影)。(c)AFP/GOH CHAI HIN〔AFPBB News〕 日本列島がバブル景気に沸いていた1989年4月。中華人民共和国では学生たちが「変革の夢」を胸に、天安門広場へと集まっていた。およそ1カ月半後、世界を震撼させる大弾圧の舞台になるとも知らずに――。事件から30年目の今年(2019年)、天安門事件に関わった60人以上を取材した大型ルポルタージュが話題を呼んでいる。この度、大宅壮一賞を受賞したノンフィクションライターの安田峰俊氏が、2011年より足かけ8年を費やし完成させた『八九六四』。同書から、事件の当事者の生々しい証言を2回に分けてお届けする。前回に続き登場するのは、当時、天安門
愛知知事「民主主義壊す暴挙」 名古屋市長「気づけず申し訳ない」―不正署名 2021年05月19日11時38分 愛知県の大村秀章知事=1月7日 愛知県の大村秀章知事は19日、自身への解職請求(リコール)をめぐる不正署名事件でリコール団体事務局長が逮捕されたことを受け、記者団の取材に応じ、「日本の民主主義を壊す暴挙だと言わざるを得ない」と憤りをあらわにした。その上で「事件の全容を一日も早く明らかにしてほしい。関係者の厳正な処断をお願いしたい」と求めた。 <まとめ 愛知県知事リコール不正署名事件> リコールでは、名古屋市の河村たかし市長が運動を支援した。大村知事は「河村氏の発案で始まった。その成れの果てが偽造、捏造(ねつぞう)、犯罪行為だ」と指摘。「全てを明らかにし、責任を取るべきだ。トカゲのしっぽ切りは許されない」と強調した。 河村市長も取材に応じ「関係者として責任を感じる。応援していた立場と
中国との関係を「民主主義と専制主義の闘い」と位置づけるアメリカのバイデン政権は、12月初めて開催する「民主主義サミット」に参加するおよそ110の国や地域のリストを公表しました。リストには日本やヨーロッパの各国とならび台湾も含まれていて、中国からの反発も予想されます。 アメリカのバイデン大統領は12月9日と10日の2日間、民主主義国の首脳などが参加する「民主主義サミット」をオンライン形式で初めて開催する予定で ▽権威主義からの防衛や ▽汚職との闘い ▽人権尊重の促進を主なテーマに 意見を交わすことにしています。 バイデン政権が23日公表した参加リストによりますと、日本やヨーロッパの各国などおよそ110の国や地域が招待された一方、アメリカが専制主義国家と位置づける中国やロシアは含まれていません。 中国との関係を「民主主義と専制主義の闘い」と位置づけるバイデン政権としては、民主主義の価値観を共有
イギリスでのG7サミット出席など初めての外遊を前にした6月初め、アメリカのバイデン大統領がワシントンポスト紙に寄稿した。それほど長くない記事の中でバイデン氏は中国への対抗心をあらわにしつつ、「民主主義の価値」「民主主義の可能性」「主要民主主義国の結束」など、民主主義という言葉を14回も使った。 こうしたバイデン大統領の意向が反映されたのであろう、G7サミットの共同宣言では民主主義や自由、平等、法の支配、人権の尊重など、民主主義国が共有する抽象的な理念や価値が繰り返し強調された。そして、「強靭な国際秩序は我々市民の安全と繁栄の最良の保証人である」とうたわれた。 それはあたかも7つの先進民主主義国の首脳が結束し、台頭著しい中国の権威主義や専制主義に立ち向かっていく決意表明でもあるかのようだった。 民主主義に対するバイデン氏の危機感 前任のトランプ大統領は自国中心主義を前面に打ち出し、ヨーロッパ
東京都渋谷区の男性副区長(64)=辞職=から区の公用チャットシステムで誹謗(ひぼう)中傷された桑水流(くわずる)弓紀子(ゆきこ)区議が本紙のインタビューに応じた。区は問題の経緯を調査中だが、職員による自己申告にとどまっており、実態解明や再発防止につながるかは不透明だ。桑水流氏は「区は問題と真摯(しんし)に向き合ってほしい」と訴える。(中村真暁) いずれも区立神南小学校周辺の再開発を議論した区議会区民環境委員会の後、チャットシステムに投稿された。私は区民からの疑問や計画の不明点を指摘していて、それが投稿につながったと思う。選挙期間中に見知らぬ男性から脅迫されて身の危険を感じたことがあり、住所は非公表にしていたが、副区長は私の住所を示した上で「封じておかないとね」と書き込んだ。
現在の有権者は、日本の未来に責任をもった意思表明ができているだろうか (CARL COURT/GETTYIMAGES) 「政治家の皆さんはそれぞれに日本のことを考えて、社会を良くしようとしているはずなのに、貶め合うような論争ばかりが目について〝怖い〟イメージです」 小誌の取材に応じた早稲田大学の女子学生は日本の「政治」に対する印象をこう話す。彼女の言葉は現代の若者の声を代弁しているとも言える。 55.93%と戦後3番目に低い投票率を記録した昨年10月の衆院選。この選挙における10代~30代の投票率はいずれも全体平均を10%~20%近く下回り、実際に投票した人の割合は10代~30代を合わせても全体の2割に満たない(下図)。政治に〝怖さ〟を感じているとすれば、若い世代が距離を置くのも不思議ではない。 30代以下の投票者は20%にも満たない 「若者の投票率低下」や「若者の政治離れ」は何をもたらす
「野党のいうことは何一つ聞かない」「政治に関心がなくても生きていけるというのは良い国だ」―。自民党の国会議員や閣僚から国民の声を軽視する発言が相次いでいます。 山際大志郎経済再生担当相は3日、青森県八戸市で自民党候補の応援をした際、「野党の人から来る話はわれわれ政府は何一つ聞かない。生活を本当に良くしようと思うなら、自民党、与党の政治家を議員にしなくてはいけない」などと発言。選挙や議会制民主主義の根本を否定する発言に批判が広がっています。 ところが、山際氏は5日の記者会見でも「誤解を招く発言になった」「丁寧に発信していく」などと述べ、発言の撤回を拒否しています。 一方、麻生太郎副総裁は、1日の三重県桑名市内での講演で「『政治に関心がないのはけしからん』とえらそうに言う人もいる。しかし政治に関心を持たなくても生きていけるというのは良い国だ」などと発言したことが報じられました。 SNSでは「こ
世界的なコロナ危機の状況下にあって、コロナ対応においては、私権制限をできる権威主義国家の方が民主主義国家より「優れている」という言説が、データを論拠に散見される。果たしてそうなのか? 早稲田大学高等研究所の安中進講師が、改めてデータを分析し、コロナ下の政治体制を検討する。 (『中央公論』2021年9月号より) 新型コロナウイルス(以下、コロナウイルス)が世界中で猛威をふるっている。ワクチンの開発と普及にともない、予防接種の進んだ国々では収束の傾向も若干見られるが、完全な出口の展望はいまだに開かれていない。 この未曽有の危機に際し、民主主義という政治体制のもとでは、大規模なパンデミックに機動的、能動的に対応できず、多くの死者が出ることが避けられないと悲観的に考える向きもある。実際、少なからぬ有識者が、コロナウイルスへの対応では、私権を強制的に制限できる権威主義国家の方が民主主義国家より優れて
民主主義が機能不全に陥ってしまったとき、私たちはどうすればよいのか。民主主義のみならず、それを抑制・補完する原理としての自由主義、共和主義、社会主義といった重要思想を取り上げ、それぞれの歴史的展開や要点を手際よく紹介した梅澤佑介著『民主主義を疑ってみる――自分で考えるための政治思想講義』。同書より「まえがき」を公開します。 †空前の「民主主義」ブーム? ここ数年、「民主主義」という言葉を冠した本が数多く出版されています。その内容は民主主義を擁護するものから批判するものまでヴァラエティに富んでいます。同じ立場に立つものであっても、切り口やアプローチはさまざまです。しかも著者を見ると、狭義の政治学者だけでなく、いわゆる文化人と呼ばれるような人たちも民主主義について一家言があるようです。出版業界ではいま民主主義がブームになっているように見えます。 また、民主主義ブームは本の世界にとどまりません。
何かを議論するとき、何を原理原則とするかが重要です。何が目的で、何が手段なのか。例えば、日本は衆議院と参議院の二院制をとっています。何を目的として衆議院と参議院が分かれているのでしょうか。衆議院は何を代表して、参議院は何を代表しているのでしょうか。 ローレンス・レッシグの最も新しい著書"They Don't Represent Us"では政治を議論するときは「政治は人々を代表しているか」を原理原則とすべきだとしています。アメリカ合衆国下院は人々を代表しているのか。アメリカ合衆国上院は人々を代表しているのか。アメリカ大統領は人々を代表しているのか。ローレンス・レッシグの答えは「ノー」で、本書ではその問題点と解決策を提案しています。 They Don't Represent Us: Reclaiming Our Democracy 作者:Lawrence Lessig 出版社/メーカー: De
8年9カ月続いた「安倍・菅政権」。国会の議論の前提となる資料の隠蔽や改ざんが相次ぎ、異論に耳を傾けない姿勢も相まって、少数意見を尊重しながら熟議する民主主義の根幹が揺らいだ。憲法で国権の最高機関と定められた国会の責任者は、議会や政治のありようをどう見ていたのか。次の衆院選に立候補せず、政界を引退する衆院の大島理森議長(75)に聞いた。 「(1990年の)第2次海部内閣で官房副長官を務め、イラクのクウェート侵攻や(貿易不均衡の是正を目指した)日米構造協議などの課題の中で政治のダイナミズム、権力の怖さと維持する難しさを経験したことだ。(2009年からの)野党時代に自民党の幹事長や副総裁として政権奪還に努力したことや、上皇さまの退位を巡り、衆参両院の正副議長で国会としての見解を取りまとめる作業をしたことも思い出深い」
群馬県草津町に爆破予告、女性町議解職でメール、滋賀県草津市にも 群馬県草津町は8日、町内で爆破や殺害を予告する内容のメールが届いたと明らかにした。同町では6日の住民投票で新井祥子町議(51)の解職(リコール)が成立しており、メールには「リコール投票に賛成した者を射殺する」などと書かれていた。 (略) 住民に対し、「不審な人物やモノを見かけた場合は草津町役場総務課または長野原署に連絡をしてほしい」と呼びかけている。 町によると、7日から「草津温泉には行きたくない」「リコールは正当ではないのではないか」などの問い合わせの電話が数十件相次いでいる。 一方、滋賀県草津市にも「『草津町の女性議員リコール』に加担している者達へ」と題したメールが8日に届いた。市は同日、「メールの内容だけでは草津市と草津町を混同しているかは断定できない」として、市民の安全を最優先するため、9日に県警とともに、役所や小中学
会話も校内掲示も、「政治の話」を禁止された小学校時代 ――川中さんが「日本中学生新聞」を立ち上げたきっかけを教えてください。 いちばん大きかったのは、小学4年生のときに「政治の話をするな」と学校で叱られたことです。 2020年に大阪都構想が持ち上がり、僕の地元である大阪市内でも議論が活発になっていました。あちこちでチラシが配られていたし、テレビで討論会の特集が組まれていたのを覚えています。自分の住む街に直接関係があることなので、僕もとても興味を引かれました。そこで調べてみたら、2015年にも都構想をめぐって住民投票があったこと、そのときは自民党と共産党が「共闘」して反対していたことなどがわかりました。僕は、この2つの党は仲がよくないと思っていたので、意外でしたがいいことだと思いました。 ほかにも、前回は反対派だった公明党が2020年は賛成に転じていること、公職選挙法に縛られる普通の選挙とは
ダニエル・チャンドラーは新著『自由と平等』で、格差のない社会を実現するために、企業内のヒエラルキーを見直し、従業員により多くの権限を与えるべきだと訴える。『21世紀の資本』で知られるトマ・ピケティや、ノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・センらに高く評価された気鋭の経済学者を、英紙が取材した。 企業を動かしているのは、誰か? コロナ禍が落ち着いた後、「柔軟な働き方を求める従業員の声に応え、自由主義的な価値観を擁護しなければならない。従業員のメンタルヘルスや、個人的な事情に配慮する必要もある」と嘆く経営者は多い。ミレニアル世代やZ世代はこうしたことを企業に期待するからだ。 だが、経済学者のダニエル・チャンドラー(37)に言わせれば、このような要求を聞き入れてもらえるのはホワイトカラーの高給取りのみだという。 英国企業の場合、権限を握っているのはたいてい経営のトップだ。ドイツやフランスでは、企
民主主義を装う権威主義 世界化する選挙独裁とその論理 (叢書21世紀の国際環境と日本) 著者:東島 雅昌 出版社:千倉書房 ジャンル:政治・行政 「民主主義を装う権威主義」 [著]東島雅昌 民主主義とは競争的な選挙を行う政治体制を指す。この定義が政治学の世界で定着したのは、米ソ冷戦の時代だった。野党の参入の有無という基準には、ソ連を明確に独裁体制として分類できる利点があった。 だが、本書によれば、この定義で民主主義と独裁体制を区別できた時代は過去のものだ。米ソ冷戦が終結して30年、今日では独裁体制の8割が選挙を実施し、野党の参加を認めている。 こうした独裁体制は、暴力的な威嚇や選挙制度の操作によって、最初から与党が選挙で圧勝するように仕組む場合も多い。しかし、一部の独裁体制は、あからさまな選挙不正からは距離を取り、大衆的な支持基盤を固めることを重視する。 では、なぜ独裁者が選挙を操作しない
民主主義が重症である。21世紀の政治は、インターネットを通じた草の根グローバル民主主義の甘い夢を見ながら始まった。だが現実は残酷だった。中東民主化運動「アラブの春」は一瞬だけ火花を散らして挫折した。むしろネットが拡散するフェイクニュースや陰謀論、二極化が選挙を侵食し、強烈なポピュリスト政治家が増殖した。 民主主義の敗北に次ぐ敗北。21世紀の21年間が与える第一印象だ。今や民主主義は世界のお荷物なのだろうか。それとも何かの偶然や民主主義とは別の要因の責任を、民主主義に負わせているだけなのだろうか。 ◆◆◆ この問いに答えるデータ分析を筆者と米エール大学生の須藤亜佑美氏で実施した。世論に耳を傾ける民主的な国ほど、21世紀に入ってから経済成長が低迷している(図1参照)。低迷のリーダー日本のほか、欧米や南米の民主国もくすぶっている。逆に非民主陣営は急成長が目覚ましい。中国に限らずアフリカ・中東もだ
米首都ワシントンの連邦議会議事堂(2021年3月5日撮影)。(c)OLIVIER DOULIERY / AFP 【1月13日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領の支持者が連邦議会議事堂を襲撃した事件から1年の節目に合わせて実施された世論調査で、米国人の58%が、自国の民主主義が崩壊の危機にあると考えていることが明らかになった。 米キニピアック大学(Quinnipiac University)が12日に公表した調査によると、76%が外患よりも内憂の方が危険だと思うと回答。米国の民主主義が崩壊の危機にあるかとの質問には58%が「そう思う」と回答し、「そうは思わない」は37%だった。 米国の政治的分断が今後も広がるかとの質問には、53%が「そう思う」と回答。連邦議会襲撃のような事件が再発する可能性に関しては、53%が「非常に高いと思う」または「どちらかといえば高い」
<大統領選でアメリカが混乱するなか、中国は選挙で選ばれた代表を議会から追放し、香港における唯一の平和的変革の手段を封じてしまった。これを放置すれば、アメリカの民主主義への攻撃に発展しかねない> 香港の議会に当たる立法会で11月12日、民主派議員15人が辞表を提出した。香港政府が前日の11日、反中国的姿勢を理由に同僚議員4人の議員資格剝奪を決めたことへの抗議行動だ。 これに先立ち、中国政府の立法機関である全国人民代表大会常務委員会は、香港の議員たちに中国への忠誠を求める次のような決定を行っていた。「香港独立」を主張・支持する、香港に対する中国の主権を認めない、外国や外部勢力による干渉を求める、その他国家安全保障を脅かす行為を行った場合、議員資格を失うというものだ。 中国は事実上、代議制民主主義による香港の統治を11日に終了させたのである。フィナンシャル・タイムズ紙のジャミル・アンダリーニは同
米国の次期副大統領に当選確実となったカマラ・ハリス氏(56)の演説が、SNS(ネット交流サービス)で「感動的」「言葉の力に勇気づけられた」などと反響を呼んでいる。アフリカ系アメリカ人の人権確立のために闘った公民権運動の指導者、ジョン・ルイス下院議員(今年7月死去)の言葉を引用して民主主義のために行動する大切さを指摘。女性初の副大統領となることに触れて「すべての小さな女の子たちはこの国が、可能性の国であることを知る」と強調した。ハリス氏が米東部時間7日夜(日本時間8日朝)、デラウェア州ウィルミントンで行った演説全文の日本語訳は以下の通り。【和田浩明/統合デジタル取材センター】 「我々の民主主義を守るには、闘い、犠牲を払わねばならない」 こんばんは、ありがとう。ジョン・ルイス下院議員は亡くなる前、こう書きました。「民主主義は状態ではなく、行動である」と。つまり、米国の民主主義は保障されたもので
# Vuex はなるべく避ける Vuex は、グローバル変数 state を使うために使います。 actions, mutations でグローバル変数 state を変更し、getters でグローバル変数 state を参照します。 たかだかグローバル変数 state を変更するだけで、こんなに大きな Vuex というライブラリがあるのか、疑問でした。 Vuex は、「いつ」、「どこで」、「だれが」、変更したのかを監視するためのライブラリです。 また Vue.js devtools を使えば、「いつ」、「どこで」、「だれが」 グローバル変数 state を変更 mutation したかを確認することができます。 Vue.js devtools - Chrome ウェブストア (opens new window) これら、いつ、どこで、だれが、変更したのかを監視したいという「気持ち」と、
民主主義を守るための国葬儀という岸田首相の詭弁が民主主義を毀損する 法令に基づかない特定個人の特別扱いは、主権者対等性の原則に反する 田中信一郎 千葉商科大学基盤教育機構准教授 閉会中審査で繰り返された「民主主義」 岸田文雄内閣総理大臣は、22年9月8日の衆議院議院運営委員会にて、安倍晋三元首相の「国葬儀」について説明を行った。 「国葬儀」の実施は、内閣府設置法4条3項「内閣府は、前条第二項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる」の33号「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」に基づき、7月22日に閣議決定された。 なお、同日、参議院議院運営委員会にても説明が行われたが、冒頭の首相説明は同じであり、本稿ではもっぱら衆議院の説明に基づいて論じる。 岸田首相は、安倍元首相の「国葬儀」の意義として「民主主義」を強調した。岸田首相は「国として葬儀を執り行うことで」
おはようございます、チェ・ブンブンです。 Netflixオリジナル映画は、劇映画こそなかなか自分に合うものが見つからないのですが、ドキュメンタリーは何を観ても面白い。先日、新鋭のドキュメンタリー作家ペトラ・コスタがNetflixと組みブラジルの腐敗した政治の変遷を描いた『ブラジル-消えゆく民主主義-』が公開されました。ペトラ・コスタは自殺した姉の痛みを乗り越えようとする『Elena』で注目された監督。女優の出産に迫った『Olmo & the Seagull』や老夫婦の人生に迫った『Olhos de Ressaca』でも力強くミニマムな世界を捉える作風でブラジルの映画賞を席巻しており、今ブラジル最重要なドキュメンタリー作家となっています。そんな彼女の新作『ブラジル-消えゆく民主主義-』はまさしく未来の、いや今の日本を投影しているような作品でした。 『ブラジル-消えゆく民主主義-』概要 政治ド
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