頑固だったり、意地悪をしてすぐ怒鳴ったりする高齢者、ときどき見かけませんか。僕と同じくらいの世代の人たちなら、テレビドラマ「寺内貫太郎一家」(1974年)で小林亜星さん演じる頑固おやじの寺内貫太郎や、「意地悪ばあさん」(81~82年)で青島幸男さん演じる波多野たつを思い出すことでしょう。僕のクリニックでも、そんな親の姿を目の当たりにして、「昔は違った」と嘆く子どもの声をよく聞きます。それにしても、人はなぜ高齢になると、この2人のように頑固や意地悪になったりするのでしょうか。今回は、脳がもたらす秘密の一端をお話しします。 人間らしさを規定する前頭前野 「父はすぐ怒鳴るし、母は孫にいたずらばかりしています。私が子どもの頃はやさしかった父と母なのに……。認知症ですかね」。最近も、僕のクリニックに通う女性からこんな相談を受けました。 この女性の父親は85歳、母親は82歳といずれも高齢です。そこで、