「戦友会」と聞いてピンとくる人は、どれだけいるだろう? 慰霊や親睦のために作られた元将兵の集まりだが、その「お世話係」として参加し、戦場体験の聞きとりをつづけてきたビルマ戦研究者がいる。それが遠藤美幸さんだ。 家族でないから話せること、普段は見せない元兵士たちの顔がそこにある。『悼むひと 元兵士と家族をめぐるオーラル・ヒストリー』(生きのびるブックス)から、その一端をご紹介したい。世界中がキナ臭い今、戦争に翻弄された彼らの体験は何を教えてくれるのか。 戦争を知らない人たち 水足さんは、戦友以外の戦後世代の会員にも問いかけた。 「愛国主義者の皆さん、戦後70年にどう思われますか」 《60代の男性の場合》60代男性は「海軍の父からは何も聞きませんでした。若い時、海軍関係の本を読んだが、陸軍の人たちの話は思っていた以上にリベラルでした。皆さんの戦争体験の証言はリアルで本とは違いました」と話した。