要旨 オルタナティブデータを用いて、足元の都道府県別募集賃金の上昇率を確認したところ、九州地方・東北地方の伸びが目立っている。外資の進出や半導体投資の活況が地方の賃金上昇を促しているようだ。一方で、円安や半導体ブームに一服感が生じれば国内賃金にも影響する可能性が高い。2024年度の春闘賃上げ率は歴史的な高さとなりそうだが、そのすべてを中長期のトレンドと見做すのは時期尚早と考える。 目次 賃金は「どこで」上がっているのか? 外資進出・半導体投資の活況が地方の賃金上昇を支えている模様 賃金は「どこで」上がっているのか? 来年度の更なる賃金上昇に向けた期待が高まっている。2023年度の春闘から、国内の賃金上昇率のトレンドには明確に変化がみられるようになってきている一方で、地域別の賃金状況の分析は多くはない。この背景の一つはデータの制約にあると考えられる。政府の賃金統計である厚生労働省公表の毎月勤