この春、高校を卒業した愛(18)=仮名=が福岡県内の里親の家に来たのは中学1年の夏。身長128センチ、体重26キロ。小学校低学年ほどの大きさしかなかった。 <いま、学校で>貧困が招く「10歳の壁」 両親が離婚、家庭の経済状況悪化… 持参した服はいずれも6~7歳児のサイズで、多くに血痕が付いていた。 「骨が浮き出るほど痩せているのに、おなかだけぷくっとふくれていた」と、里親の山本直子(58)=同=は振り返る。 愛を診察した大学病院の医師は紙に0~10の数字を書き、「0が死、1がアフリカの飢餓状態の子ども。彼女は1に限りなく近い2だ」と説明し、深いため息をついた。「本当によく生きていましたね」 愛は九州北部で生まれ育った。幼いころから母と、母の交際相手の男、兄2人の5人でアパート暮らし。 男はいつも子どもたちに暴力を振るい、一番の標的が愛だった。気にくわないことがあると馬乗りになって殴