国によって相続税の水準がどう異なるかを理解するために、各国における相続税収額の税金総額に対する比率をグラフにした。 相続税の機能としては、以下の2つがあるとされる(国税庁資料)。 ・所得税の補完機能 被相続人が生前において受けた社会及び経済上の要請に基づく税制上の特典、その他による負担の軽減などにより蓄積した財産を相続開始の時点で清算する、いわば所得税を補完する機能である。 ・富の集中抑制機能 相続により相続人等が得た偶然の富の増加に対し、その一部を税として徴収することで、相続した者としなかった者との間の財産保有状況の均衡を図り、併せて富の過度の集中を抑制する。 かつて、贈与税がなかった時代には、財産を生前贈与によって移転することで、容易に相続税課税の回避を行うことができた。特に英国では1974年まで、贈与税がなかったことから、世襲貴族などの資産家の富の承継が可能で、貧富の差の拡大を招いた
国の要職につく日本の政治家は高齢の場合が多いことを感じている人は多かろう。それを端的に示すOECDのデータを掲げた。すなわち閣僚(大臣)の平均年齢の国際比較データである。当図録を元にした記事をプレジデント・オンラインに掲載したので合わせてお読みいただきたい(ここ)。 OECD諸国平均で53.1歳のところ、日本の場合は62.4歳で35か国中最も高い平均年齢となっている。 日本に次いで高いのは、韓国、米国、ギリシャ、ドイツ、チリの順である。 米国が平均年齢が61.3歳で第3位と高いのは案外と感じられるだろう。ドイツのほか、フランス、イタリアといった主要国も50代半ばと結構高くなっている。 欧米主要国で閣僚の年齢が高いのは、政治制度にそれなりの歴史がある国では、政治家としてのそれなりのキャリア、年功序列が国の要職に就くためには必要だからとも言えよう。 他方、若くして閣僚になる国としては、平均年齢
主要死因の月別死亡率推移をたどった統計グラフを掲げた。 推移の折れ線グラフは、長期の傾向的変化と月別の季節変動が合成されたものと見ることができる。 季節変動に着目するとがんや自殺のように季節性が余りない死因と虚血性心疾患(心筋梗塞)、脳卒中(脳梗塞や脳内出血)、肺炎、老衰などの季節性の大きな死因とがある。 老衰死は傾向的増加と季節変動が合成した動きとなっている点が目立っている。 季節性は基本的に寒い冬の死亡率増加と暑い夏の死亡率低下である。季節性の大きな死因では「1月がピーク、6月か7月がボトム」である場合が多い。ただし、2022年は1月ではなく2月がピークとなっているなど若干の変動はある。 寒暖が影響しているとすれば、冬でも年次ごとの死亡率の高低は、長期傾向(図録2080)の影響に加えて、やはり、その冬の寒さの厳しさの程度が影響していると考えられる。 また、季節性が大きい死因の中でも虚血
日本学術会議の任命拒否問題などで「お答えは差し控える」というフレーズを菅義偉首相らが繰り返しているが、このところこのセリフを聞くことが多くなったと感じている人は多かろう。 同じことを感じた立命館大の桜井准教授が国会会議録から回答拒否発言の回数を調べた結果を上に掲げた。 図を見ると、2012年12月に発足し翌年1月から本格稼働した第2次安倍政権以降に回答拒否の件数が格段に増加していることが分かる。 桜井氏によれば、以前は、回答拒否発言は、外交や安全保障関連で使うぐらいで、ロッキード事件や東京佐川急便事件など「政治とカネ」問題が起きた年以外はそう多くなかったという(東京新聞、2020年11月21日)。 第2次安倍政権下で多かった政治家の「回答控え」発言は以下の通りである。 安倍前首相 165件 「モリカケ問題」や桜を見る会などの疑惑 森雅子法相(当時) 94件 検察官の定年を引き上げる検察庁法
「為政者への従順さ」と「民主主義」との関係は微妙だ。 自分たちで選んだ為政者が行う政策を気に入らないからといって、その政策に従わないとしたら、安定的な民主政治は成り立たないであろう。また従順でない選挙民に対して、政治家が人気取り政策ばかりを行うようでは、民主国家は脆弱なものとなろう。 一方で、当選したからと言って、公約や選挙民の利益を無視して、勝手な思い込みで政策を展開する為政者に対して、国民が抗議の声をあげず従順なままでは民主主義は機能しないであろう。ましてや、公正な選挙が行われていない場合や憲法に違反する統治者の正統性を問う司法や議会の機能、あるいは国民のリコールなどの対抗手段がないようでは民主国家とはいえない。 こうした2つの見方のうち、どちらを重視するかで、「為政者への従順さ」と「民主主義」との関係についての国民意識は大きく変わって来るであろう。 民主国でも政争が激しく政情の安定し
(資料)Yinon M. Bar-On, Rob Phillips, and Ron Miloa(2018), The biomass distribution on Earth, appendix イスラエルのワイツマン科学研究所の研究者Bar-Onらが、2018年5月に、地球上の生命体(バイオマス)の炭素量に関する包括的な推計を発表した。その結果概要を図録として収録した。データは2桁以下で丸めた数字なので合計が必ずしも一致しない。 バイオマスの炭素総量は550ギガトン(5,500億トン)である。そのうち、最大なのは植物であり、450ギガトンと82%を占めている。次に多いのは細菌(バクテリア)であり、70ギガトンと13%を占めている。 これほど多い細菌のバイオマスは、少しイメージしにくいが、ほとんど(67ギガトン)が陸海の深部地下に賦存しているようだ(表参照)。 動物のバイオマス量は全部
国際的な学力調査として関心が集まるOECDのPISA調査では、学力テストに合わせて、就学上の状況の調査として、学校生活や生徒の意識について、直接、生徒に聞く調査を実施している(調査の概要や学力調査の結果は図録3940参照)。 ここでは、2015年PISA調査で取り上げられた「いじめ」についての調査結果を見てみよう。 「いじめ」調査はOECD33カ国、パートナー国21カ国、合計54カ国の結果を得られるが、まず、日本と主要先進国とを抜き出して比較してみよう。 「何らかのいじめ」を受けている日本の生徒の割合は21.9%と主要7カ国の中では英国に次いで多くなっており、いじめが多い国といわざるを得ない。 いじめの種類については、いずれの国も「からかい」が最も多いという共通点もあるが、何が多いかは、国により、やや異なっている。 例えば、主要7カ国における日本の順位は、「からかい」と「こづきまわし」は1
米国が世界の中でも小火器保有率の格段に高い銃社会となっている点については図録9365でふれた。米国人の銃保有率の推移と属性別の差異については図録8811dに示した。銃社会の米国では自殺も銃によるものが半数を占めている(自殺手段に関する図録2747)。 ここでは、米国の州ごとの銃保有率と自殺率との相関図を掲げた。これは、自殺率の国際比較に関する図録2770の中で米国の自殺事情にふれた際にも参照したものである。 図には、銃の保有率の高い州ほど自殺率が高くなっている状況が明確に示されている。 この図から、米国の中でも地域によって銃保有率がかなり異なることも分かる。モンタナ、アラスカ、ワイオミングといった州では自殺率が非常に高いが、銃保有率も60%以上と非常に高くなっている。これに対して、ハワイ州や首都ワシントンDCでは10%未満とかなり低くなっている。 こうした地域分布は、地域の政治的な状況とも
所得格差、所得の不平等を示すジニ係数に代わる指標として、近年、パルマ比率が注目されている。ここでは、世界の主要地域、主要国のパルマ比率をグラフにした。ジニ係数による所得格差の国際比較については図録4652参照。 南米チリ出身の経済学者パルマの研究から生まれたこの比率の算出法とその意義についてはコラムを参照。パルマ比率は、所得分布の片寄りを科学的に示す精度をジニ係数とほぼ同様に保ちながら、ジニ係数より、説明の容易さ、分布状況の変化への反応性、地域ごとの違いの反映度において優位性が高い、有用な指標とされている。 世界のパルマ比率は2005年に1.8(倍)であり、アフリカ南部、ラテンアメリカが、それぞれ、5.2、4.0と非常に高い一方、北欧は1.0と低くなっている。中国は1990年の1.25から2005年の2.15へと72%も上昇し、同じく大きく1.59から2.1へと上昇した米国を上回るに至って
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