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ブックマーク / k-houmu-sensi2005.hatenablog.com (44)

  • 産業界の「方針大転換」の行く末〜職務発明制度見直しはどこに向かうのか。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    かねてから、当ブログで、「そもそも、なぜ法改正が必要なのか?」ということを問いかけてきた、特許法35条(職務発明に関する規定)の改正をめぐる問題が、いよいよ議論の最終章に突入しようとしているようである。 「特許庁は企業の従業員が発明した特許について、条件付きで企業に帰属させる方向で検討に入った。いまは発明した従業員が特許を持つが、企業の設備や同僚の協力なしに発明するのは難しいためだ。ただ従業員に報酬を支払う新ルールを整備し、企業が発明者に報いることを条件とする。」 「特許庁が3日に開いた有識者会議では、経団連の和田映一氏ら産業界の委員が『法律で発明者に報奨することを定めるのは、企業と従業員の双方に有意義』と表明した。」 (日経済新聞2014年9月4日付け朝刊・第5面) この議論が始まって以来、明らかに不正確だったり、単なる観測気球としか思えないような記事が、あちこちで紙面を飾っていること

    産業界の「方針大転換」の行く末〜職務発明制度見直しはどこに向かうのか。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
    shiranui
    shiranui 2014/09/17
    私のtwitterでfollowしている弁護士は法人帰属に賛成な人が多い。私は既存状態を変えて帰属を変更することに必ずしも賛成しない。このエントリーは経緯を説明していただいて分かりやすい
  • 著作権の世界に見えた希望の光〜『BLJ』2012年6月号より。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    日経新聞の広告で、特集のタイトルが「著作権法はビジネスの足かせか」となっているのを見て、是非とも買わねば・・・と思っていた、『Business Law Journal』の最新号。 いつもなら、Amazonでクリックして週末にじっくり、というところだったのだが、今回は待ちきれなくて屋まで買いに行ってしまった。 BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2012年 06月号 [雑誌] 出版社/メーカー: レクシスネクシス・ジャパン発売日: 2012/04/21メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る ・・・で、この特集が、また想像していた以上のクオリティ、である。 何が凄いって、先月末に公表されたばかりの著作権法改正案の解説が入っている上に、それを福井健策弁護士が執筆し、さらに上野達弘教授や業界関係者のコメントまできっちり収められているところ。 今

    著作権の世界に見えた希望の光〜『BLJ』2012年6月号より。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
    shiranui
    shiranui 2012/04/29
    あとで買う
  • “読まず嫌い”になるなかれ。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    新司法試験を目前に控えたこの時期に、ちょっとした話題になっている一冊がある。 知財研究者として第一線で御活躍されている田村善之教授が執筆者として名を連ねていて、しかも出版元が信山社、となれば、どれだけ格的な学術書なのだろう・・・? と誰もが思うはず。 だが、「はしがき」によれば、これは明確に新司法試験の知的財産法選択者をターゲットにした「受験対策書」。 さらに、そこに記された「論証ブロック」という、今や懐かしい(?)フレーズのインパクトゆえ、「法科大学院の教授がこんなを出すなんて!」、「司法制度改革っていったい何だったんだ!」的なトーンで、あちこちで物議を醸しているようだ。 ロジスティクス知的財産法?〈特許法〉 作者: 田村善之,時井真出版社/メーカー: 信山社発売日: 2012/03/30メディア: 単行 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 自分は、新試験には最

    “読まず嫌い”になるなかれ。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 「メーリングリスト問題」の顛末 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    年明け早々、新聞等で報道されて一部で大騒ぎになり、おかげで、多くの会員が何度も何度も日弁連からの「同じようなFAX」攻撃に晒されることになった「某弁護士法人の個人情報誤掲載事件」。 事件発覚から1ヶ月経って、ようやく「報告書」が出されたようである。 「開示が禁じられている裁判員裁判に関する個人情報などを弁護士が誤ってネット上に掲載した問題で、弁護士の所属事務所は6日までに、誤掲載された個人情報は577件だったとの報告をまとめた。」(日経済新聞2012年2月7日付け朝刊・第34面) 残念ながら、肝心の事務所のHPの方に何も掲載されていないというのは、説明責任の観点からどうなんだろう・・・という気もするのだが、報告を受けて、厳格な処分と、きちんとした再発防止策がなされ、かつ漏洩した個人情報の当事者に対して真摯な対応がなされているのであれば、一応は一段落、ということにはなるのだろう*1。 ちな

    「メーリングリスト問題」の顛末 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
    shiranui
    shiranui 2012/02/16
    Yahoo!のメーリングリストだったんですか
  • これぞ契約の「教科書」 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    最近、少し時間が取れたこともあり、久しぶりに新書等をいくつか読み終えることができたので、何回かに分けて、感想などを書き残しておくことにしたい。 まず一冊目は、あちこちで評判になっている福井健策弁護士の新刊である。 ビジネスパーソンのための契約の教科書 (文春新書 834) 作者: 福井健策出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/11/18メディア: 新書購入: 13人 クリック: 117回この商品を含むブログ (14件) を見る 弁護士として第一線でご活躍されながら、ここのところ、毎年のように話題作を世に送り出されている福井先生だが、この作品も間違いなく「読まねばならぬ一冊」といえるだろう。 しかも、法務業界の人間だけでなく、より広い範囲の方々に読まれるべき、ということで、まさに「新書」という媒体にふさわしい一冊だと思う*1。 法務業界人の視点からのコメントは、既に様々な方が書か

    shiranui
    shiranui 2011/12/08
    amazon在庫切れみたいなので後で買う
  • 「アンフェア」なのはどっちだ?<後編> - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    前編(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20111125/1322963012)から続く。 知財高判平成23年9月7日(中間判決)(H23(ネ)第10002号)*1 原審とは打って変わって、被控訴人(被告)製品について、控訴人(原告)特許の構成要件充足性を認めた知財高裁だが、被控訴人側は当然ながら無効論の主張を行ってきた。 被告が主張した無効理由は、 「構成要件D」に関する (1)特許法36条6項2号違反、(2)特許法36条6項1号違反、(3)特許法36条4項1号違反 「構成要件B、C」に関する (4)特許法36条4項1号違反 という明細書への記載不備の主張と、 (5)新規性なし、(6)容易想到性 という主張である。 そして、特に被告側は、被告が件特許出願前に原告特許と同一の構成を有する「こんがりうまカット」を販売していた、として、公証人を使った「事実実験公

    「アンフェア」なのはどっちだ?<後編> - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
    shiranui
    shiranui 2011/12/08
    興味深い背景
  • 今さらだけど、鑑定証書縮小カラーコピー問題。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    今日の日経紙の法務面に、「鑑定目的の縮小カラーコピー」をめぐる東京地裁の判決が「絵画の流通業界に激震」を与えている、という記事が載っていた。 「絵画が真作であることを示す鑑定証書に作品の縮小カラーコピーを添付することは著作権侵害なのか‐。この点が争われた裁判で、東京地裁はこのほど画家の遺族の訴えを認め、違法との判断を示した。これに対し、鑑定証書を発行してきた東京美術倶楽部(東京・港)は敗訴を不服として控訴した。絵画の流通業界に激震が走った司法判断や紛争の背景を探った。」(日経済新聞2010年7月5日付朝刊・第16面) 最近、とんと知財系の判決をウォッチしていなかったこともあって、今さらこの判決の存在を知ったのだが、記事からだけでは伝わって来ないところも多いし、せっかくの機会なので、判決に直接あたってみることにしたい。 東京地判平成22年5月19日(H20(ワ)31609号)*1 原告:B

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  • 知財高裁の変節? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    今週月曜日の日経法務面に、「知財高裁5年」というタイトルの記事が掲載されている。 そして、そこで書かれていることの多くは、最近の知財高裁の特許の進歩性判断の“変化”に関するものだ。 「今年4月に発足から満5年を迎えた知的財産高等裁判所。当初は特許権者に厳しい判決が多かったが、この1〜2年は逆に権利者寄りの判断が増えてきた。知財高裁がひょう変した背景には、閉塞(へいそく)感が強まる日市場での企業活動を、知財保護の面から何とか後押ししたいという意図があるようだ。」(日経済新聞2010年5月17日付朝刊・第16面) 「ひょう変」という表現が適切かどうかはともかく、前記リード文で指摘されたような状況が生じてきているのは間違いないところだろう。 査定系、審判系事件では、特許庁の拒絶審決(拒絶査定不服審判不成立審決)や無効審決を知財高裁がひっくり返すパターンが以前に比べて増えている*1ように見受け

    知財高裁の変節? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 考えさせられるところが多い一冊。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    連休中に暇を見ていくつか書を読んでいたのだが、中でも印象に残ったのが、↓である。 俺たち訴えられました!---SLAPP裁判との闘い 作者: 烏賀陽弘道,西岡研介出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/03/10メディア: 単行購入: 2人 クリック: 113回この商品を含むブログ (13件) を見る 4部構成だが、いずれも週刊誌等を活躍の場としているフリーライター2氏(+α)の対談形式、という体裁になっていることもあり、全編を通じて読み物風の柔らかさがある。 だが、そこで語られている中身は、かなり深い。 書には、「訴えられる側」の当事者として「名誉棄損訴訟」に直面した方にしか書けない、ルポルタージュ的要素がぎっしり詰まっている*1。 特に“60件訴えられた”という西岡研介氏の“裁判に向けた周到な準備”の有り様(特に弁護士とのやり取りや、火種となった雑誌編集者等とのやり取り

    考えさせられるところが多い一冊。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 大学図書館危機一髪。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    そうでなくても、近年著作権者との関係で、シビアな対応を迫られている図書館。 特に、文献資料の複製依頼が頻繁に来るであろう大学図書館では、「国公私立大学図書館協力委員会/大学図書館著作権検討委員会」が、平成14年以降「大学図書館における著作権問題Q&A」というものを作成し、「著作権」との付き合い方について、関係者に注意を促し続けているようだ*1。 そんな中、関係者をヒヤリとさせるような事件の判決が、最高裁HPにアップされている。 「もし、所蔵している文献資料の中に著作権侵害図書があったら・・・?」という、関係者であれば一度は考えてみるであろう設例について、貴重な先例となるかもしれない、この事件の判決をちょっと取り上げてみることにしたい。 東京地判平成22年2月26日(H20(ワ)32593号)*2 原告:A 被告:国立大学法人東京大学、東京学芸大学、大阪大学、筑波大学、九州大学 学校法人青山

    大学図書館危機一髪。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • これは必要な法改正なのか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    連休中の空いた紙面の埋め合わせの必要に迫られたのか(笑)、日経紙にこんな当たり障りのない記事が載っていた。 「特許庁は商標法を見直し、使われていないブランド名やロゴなどをほかの企業が使いやすいようにする。企業が他社の休眠特許(ママ)*1を審判などで取り消した場合、取り消しから1年以上経たなくても、すぐに自社の商標として登録できるようにする。商品寿命の短い品などの事業展開がしやすくなりそうだ。早ければ来年の通常国会に商標法改正案を提出する。」(日経済新聞2010年3月22日付朝刊・第3面) 一見すると、なるほど、と思いたくなるような記事。 だが現在の条文と見比べると、何だか不思議な気分になる。 「商標権消滅後1年経過していない商標」を登録阻却事由とした商標法4条1項13号は、 「商標権が消滅した日(商標登録を取り消すべき旨の決定又は無効にすべき旨の審決があったときは、その確定の日。以下同

    これは必要な法改正なのか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 「権利制限一般規定ワーキングチーム報告書」に思うこと。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    先週、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会に提出された「権利制限一般規定ワーキングチーム報告書」。 (http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h21_shiho_07/pdf/shiryo_3_2.pdf) 報告書の冒頭でも書かれているように、これはあくまで「議論のためのたたき台」に過ぎず、今後、行われるであろう小委員会での白熱した議論の、いわば“前振り”に過ぎないのではないかと自分は思っている。 だが、それでも、著作権法改正に直結する委員会のWTにおいて、このようなまとまった形の報告書が出された意味は大きいわけで、今後、“フェアユース”をめぐる議論の出発点として、この報告書が随所で活用されることは間違いないだろう*1。 そこで、現時点で、自分が気になっている点を以下でいくつか挙げるとともに、今後の“フェアユース”をめぐる議論の

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  • 8年ぶりに出た百選。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    待望の『著作権判例百選[第4版]』が遂に店頭に並んだ。 著作権判例百選 第4版 (別冊ジュリスト) 作者: 中山信弘,大渕哲也,小泉直樹,田村善之出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2009/12/17メディア: ムック購入: 2人 クリック: 55回この商品を含むブログ (18件) を見る 一時は、年内には間に合わないんじゃないか、と心配したものだが、杞憂で何より。 「第3版」が世に出てからはや8年。 まだ、第3版が世に出てから間もない、7年前の夏にこの百選を文字通り“熟読”したところから、自分の(半分)知財人生が始まった、といっても過言ではない。 著作権、というか知財のイロハすら理解していなかったあの頃。現場思考に染まった頭に、かの世界の独特な理論をたたき込むには、「百選」が格好の素材であった。 「裁判例の集積が乏しい」と言われていたのも今は昔。 第3版公刊以降に出た最高裁判決は、この

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    shiranui
    shiranui 2009/12/19
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  • 営業秘密・新管理指針策定へ - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    改正不正競争防止法が成立した以上、当然出てくるとは思っていたが、経産省はやはり来年の施行に合わせて管理指針を策定するようである。 「経済産業省は企業の内部情報の管理指針を作成する。来年に施行される改正不正競争防止法は利益を得る目的などで営業上の秘密を外部に持ち出せば、それだけで刑事罰の対象となるよう情報管理の強化を盛った。産業界の管理負担も重くなることから、経産省は具体的な目安を示し、企業に過剰な負担を強いたり、従業員が萎縮したりしないようにする。」(日経済新聞2009年8月4日付朝刊・第4面) この改正法は、以前にも紹介したように*1、営業秘密侵害罪の刑事処罰の範囲を大幅に広げるもので、随所で懸念する声も上がっているところだけに、経産省としては早めに指針を出して、批判を打ち消しておきたいところなのだろう。 もっとも、この手の指針というのは、概して役に立ちそうで役に立たない代物になってし

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  • 腑に落ちない結論 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    ライブドア事件堀江貴文被告の公判「傍聴記」無断転載をめぐる訴訟で、被控訴人(被告)ヤフー株式会社に対して発信者情報開示とブログ記事削除を求めていた控訴人(原告)が、東京地裁に引き続き、知財高裁でも全面敗訴した。 件の判決に関してはいろいろと差し引いて読まないといけない部分もあるし、判決が出たからといって、諸々の記録系サイトからの記事転載が全てフリーになる、などということには決してならないと思うが、実際の原告サイト記事の使われ方を見た時、この結論で果たしてよかったのか、と複雑な思いを抱いてしまうのも事実である。 以下、追って見ていくことにしたい。 知財高判平成20年7月17日(H20(ネ)第10009号)*1 原告:X(個人) 被告:ヤフー株式会社 原告は、平成18年9月12日、東京地裁刑事第1部で開かれた被告人堀江貴文に対する証券取引法違反被告事件の第4回公判期日において行われた証人

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    shiranui
    shiranui 2009/05/18
    裁判傍聴記の著作物性について。記したのが証言であって事実の羅列だったから著作物性が否定されたんじゃないかと私は思う
  • 「包括的利用許諾契約」は悪か? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    ちょうど1年ほど前にも話題にしていたネタだが*1、ついに公取委が強権発動に向けて動き出したようだ。 「テレビ局など放送事業者向け音楽の著作権管理事業を巡り、同業他社の新規参入を阻害しているとして、公正取引委員会は24日、日音楽著作権協会(JASRAC)に対し、独占禁止法違反(私的独占)で近く排除措置命令を出す方針を固めた。」(日経済新聞2009年2月25日付朝刊・第38面) 「別にうちは曲を使うな、なんて言ってないですよ。契約してカネさえ払ってくれればいいんですよ」 的なJASRACのスタンスを筆者が好いていないのは、ブログの読者の方であれば元よりご承知のことと思うが、それでも件に関しては公取委の強硬姿勢に首を傾げたくなるところが多々あるわけで・・・。 何でもかんでも競争させれば良い、ってものではない、というのは以前にも書いたとおり。 JASRACのような団体は、あくまで「管理事業

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  • ついに潮目が変わったか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    著作権法に携わる実務者にとっては驚くべき逆転判決が出た。 「日国内で録画したテレビ番組をインターネットを使って海外でも視聴できるようにするサービスは著作権法に違反するとして、NHKと民放9社が運営会社に事業差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決が27日、知的財産高裁であった。田中信義裁判長は差し止めと賠償を命じた一審判決を取り消し、テレビ局側の請求を棄却した。」 (日経済新聞2009年1月28日付朝刊・第34面) 結論がひっくり返ったのは、浜松の事業者が被告となっていた、いわゆる「ロクラク事件」であり、これまで仮処分、訴第1審、と東京地裁で放送事業者側が盤石の勝利を収めていた事例である。 典型的な「カラオケ法理によりサービス提供事業者の著作権侵害責任が肯定された事例」として、勇敢なチャレンジャーが三度屍を積み重ねる、という結末が控訴審でも予想されただけに、 「番組を録画、転送しているの

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  • もう少し時間がかかるかと思ったが・・・ - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    先日取り上げた「営業秘密」に関する不正競争防止法改正の動き*1の続報として、以下のような動きが伝えられている。 「経済産業省が企業の技術情報保護を目的に検討している刑事手続き上の特例措置が明らかになった。技術情報が公にならないよう裁判官が法廷で内容に言及しない秘匿措置や、公判廷外で証人を尋問する制度の導入などが柱。」 「経産省は法務省との間で調整を進めて、特例措置を盛り込んだ改正不正競争防止法案を今通常国会に提出する方針。」(日経済新聞2009年1月23日付朝刊・第5面) やろうとしていることは、 (1)裁判官らが法廷で技術情報の内容に言及しないようにする秘匿措置 (2)公判廷外で証人を尋問する期日外証人尋問 (3)公開停止 の3つの措置で、これは先日のペーパー*2の中でも言及されている。 「営業秘密侵害罪」だけを特別扱いするようなやり方に裁判所サイドが安易に賛同するとも思えなかったから

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    shiranui
    shiranui 2009/01/25
    id:shariaさん、インカメラは民事訴訟ではないでしょうか。このエントリーは刑事訴訟の話のようです
  • 営業秘密侵害罪の対象拡大(案)に思うこと - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    つい4ヶ月ほど前、性急な法改正の動きに苦言を呈したばかりだというのに*1、早くも、 「営業秘密に係る刑事的措置の見直しの方向性について(案)」 という産構審知的財産政策部会の小委員会がまとめたペーパーがパブコメにかかっている*2。 中身を見ると、処罰範囲の大幅拡大を図るものとなっていて、記事を見たときに感じた“嫌な予感”が見事なまでに的中してしまっている。 「営業秘密の保護の重要性」の項で、前提として、 (1)無形の技術・ノウハウ・アイデア等の保護の重要性 (2)IT時代への対応 (3)オープン・イノベーションの促進 といった項目を挙げられていることについては、取り立てて異議を唱える必要はないだろう。 「営業秘密」という無形情報の「不可逆性・回復困難性」なんて話も、昔から繰り返し言われていたことだ。 だが、次のくだりについてはどうだろうか。 「営業秘密侵害罪は、創設当時(注:平成15年)の

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  • 潮目が変わるとき - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    どんな制度にも良い面があれば、悪い面もある。 そして、ある課題を解決するために導入した制度が、別の副作用を引き起こした場合には、その副作用を改善するため、あたかも振り子の揺り戻しのように元の制度を復活させたり、あるいは、さらに新しい制度を導入したりすることも当然考えられて良い。 そんな当たり前のことを思い起こさせてくれたのが、特許紛争のダブル・トラック問題を取り上げた日経の法務面の記事。 「特許の侵害訴訟の件数が減っている。事業の生命線ともいえる発明や技術が侵害されても、「裁判での紛争解決は割に合わない」という企業の声なき声の表れとの指摘もある。政府が「知財立国」推進を宣言してから7年が経過しようとしている。迅速な訴訟の裏で、権利侵害の救済がうまく機能していないとしたら、知財立国の実現にはまだ課題山積といえるだろう。」(日経済新聞2009年1月12日付朝刊・第14面) という刺激的なリー

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