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円安とは
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先週の金曜日に、東京・浜松町で開催された「ストラテジックSCMコース」の終了発表会に参加してきた。これは日本ロジスティクスシステム協会が主催する、社会人向け半年コースのセミナーで、今期からわたしも講師陣の一員としてお手伝いをしている。3月の卒業式シーズンにしては、雨が降る寒い天気だったが、3年ぶりにリアル発表会とのことで、発表する受講生の皆さんも熱がこもっていた。 このコースは今回で第26期になる。1期は半年制なので、13年前の2010年から開始したことになる。2010年と言えば、日本経済はまだ、リーマンショックの落ち込みから脱出しようと、もがいていた時期だ。受講者数は毎回約30人。それが26期だから、SCMに理解と見識のあるOBOGを、合計で650人以上育てたことになる。これはなかなかの成果だと思う。 コースは全体で20回の講義と、課題研究発表会の集合研修からなる。社会人向けなので、講義
今月の14日に、「計装制御技術会議」という催しで、『ディスクリート・ケミカル工場 ~ そのスマート化を考える』というテーマの講演を行った。『ディスクリート・ケミカル工場』とは、わたしが2019年に「化学工学」誌4月号の解説論文で提唱した概念で、このサイトでも少し紹介したことがある(お知らせ:『化学工学』誌に論文『ディスクリート・ケミカル工場の生産システムを考える』が掲載されました2019-03-30)。 実はこのコンセプト自体は、その前年に、同じ「計装制御技術会議」で披露したものだった。したがってある意味、今回の講演はその続編にあたるが、幸い、今回も比較的好評だった。ただ、この会議は文字通り計装制御系(とくにプラント分野)の専門技術者が集まる場のため、他分野の方にはあまり知る機会がなかったと思う。そこで、当サイトで紙上再現をすることにしたい。全体は50分程度と長いため、多少細部は省略してお
思考とモデリングの技術に関する解説を、当サイトでとりあげるべく、構成と切り口について考え続けている。そもそも、思考とはどういう営為なのか。その技術を学ぶには、どういうやり方がベストなのか。第一、わたし達は本当の意味で、「考える方法」を教わったことがあるのか。 わたし達は学びの姿勢を、自分が受けた教育の中で身に付けてきた。思考とモデリングのスキルを学ぶ際にも、それが無意識に影響する。そして、わたし達の社会における教育のあり方は、今ひとつ、考える力を育てる方向に向いていない。学ぶ側も、思考の方法を身に着けたいとは思っていないらしい。そのことを、この1年で何度か痛感することがあった。 というのも、どういうめぐり合わせか、昨年は人材教育カリキュラムの開発に、複数の場面で携わることになったからだ。相手は社会人で、テーマは主に「スマート工場」ないし「製造のデジタル化」であった。今、日本の製造業では『デ
好著である。まず、題名がうまい。「そうか、君は課長になったのか」というタイトルからは、課長というマネジメント職の仕事の心得を書いた本、というメッセージが自然に伝わってくる。おまけに、この口ぶりは上から目線だから、書いた人は会社社長か、少なくとも経営層の一員であることが分かる。それも、大企業のだ。 なぜ、大企業か。それは、君(たぶんかつての部下)が課長になったことを、著者が知らずにいて、気付かされたことを示すからだ。それは大きな会社でないと起こり得ない。経営者が部課長の顔と名前まで、すべてそらんじているような会社は、(売上や上場にかかわらず)中小企業と呼ぶべきなのである。著者は、大企業の経営層にいる。これが、読者に無意識な信頼度を与える。 本書は、「石田君」という架空の相手に向かって、アドバイスを送る形式になっている。文体は、「ですます調」だ。これも好ましい。ていねいな文体、漢字とかなの比率
久しぶりに(たぶん何十年ぶりかに)、ロバート・A・ハインラインの『月を売った男』を読み直した。1953に書かれた本作は、20世紀米国を代表するこのSF作家の、初期の代表作である。 そして、『月を売った男』こそ、ビジネスとマネジメントの本質を理解したい人にとって、いや、少なくとも米国のビジネスを知りたい人にとって、必読の書だと、あらためて感じた。もしあなたが米国企業と一緒に仕事をしようとしている立場の人なら、世のビジネス書を差し置いて、真っ先に読むべき本である。 ハインラインは「未来史」と呼ばれる独自の史観に沿って、多数の作品を発表している。日本ではおそらく『夏への扉』が、一番人気の高い作品だろうと思う。わたし自身は『月は無慈悲な夜の女王』がもっとも好きだ。主人公が自らの才覚を駆使して、世の荒波を乗り切っていく、というのが米国好みのストーリーだ(これに対し、身分制社会を経験した欧州は、人生を
今年も節分が近づいてきた。何だか年を経る毎に、1月の過ぎるのがあっという間に感じられるようになってくる。 ところで、もう10年以上前から、節分になると「恵方巻き」を方々の店で売るようになった。しかも、この宣伝を始めるタイミングが、毎年だんだん早くなっている。最近では、まだ年が明けて松の内なのに、コンビニでは恵方巻のポスターが、「年賀状あります」の張り紙の横に並ぶようになった。 わたしはこの、松の内の恵方巻の広告を見るたびに、なんだかせわしなく感じて、疲れるのである。そして、B2Cビジネスで働かなくてよかった、とつくづく思ってしまう。お節料理と年賀状の次は、恵方巻と節分豆。その次はバレンタインデーのプレゼント。さらにその次は桃の節句。そして卒業式と入学祝い・・。こうして、季節ごとに次々とイベントを打ち、新しくヒットしそうな商品を並べ、その売れ行きに一喜一憂する。そういうビジネスに、自分はとて
プロジェクト・マネージャーの教育について、ときどき社外の方から相談を受けることがある。こうしてプロジェクト・マネジメントについてBlogで書いたり、あるいはPMをテーマとした研究部会を主催したりしているからだろう。「社内のプロマネをどう育成したら良いか」だとか、「ちゃんとPMの方法論を勉強したいのだが、PMBOK Guideを読むだけで良いのだろうか」といったご相談である。前者は主に、社内のPMO的な立場の方が多く、後者は個人単位の自己啓発を考えておられる方だ。 前者のような問いに対するお応えの仕方は、様々なパターンがあり、ときには先方の社内研修などを引き受けることもある。後者のような問いだったら、たとえば「基礎知識として、PMBOK Guideくらいは一応お読みになってもいいと思いますが」とは申し上げている。 だが、PMの勉強としてPMBOKで十分かというと、答えはNOだろう。PMBOK
エンジニアとは、考える仕事である。わたし達にとって、思考は仕事の中心プロセスであり、一番大事な商売道具である。である以上、自分の思考は有用で、正確で、かつ効率的であることが望ましい。知識労働者たるべきエンジニアが、肉体労働だとか、果ては感情労働(上司や顧客や仲間との感情的なフォロー等)について忙殺されているとしたら、嘆かわしいことだ。
今年の正月は、5日と6日も休んで、比較的長く休暇をとった。昨年、比較的多忙だったので、少しは休養を取りたいと思ったからだ。しかし残念ながら、やるべき宿題を抱えていて、あまり十分に休めなかった。いや、もっと正直に言おう。わたしはじっくり考える時間を取りたかったのだ。だが年末年始の間も、やるべきことに追われて、あまり考える時間を取れなかった。 忙しさに追われて、考える時間がない。これはわたし達の社会の、共通の病気かもしれない。忙しいから、深く考える暇がない。深く考えないから、その場しのぎの仕事が増えていく。結果としてあまり大きな成果が上がらず、瑣末な問題ばかりが増えて、その解決に時間が取られる。おかげで深く考えることができないから…
受注ビジネスに従事しているので、入札に応じる経験を何度もしてきた。公的な本式の入札もあるし、私企業を相手とする略式の競争もあった。提案書を作り、値段を決めて、期限の日までに客先に提出する。客先はその日になると、各社から出てきた提案書を開封して比較し、一番良いと考える候補者を選ぶ。 本格的な国際入札になると、「技術提案書」と「商業提案書」を別々に出すことが求められる。客先は、最初に技術提案書を開封して、内容を比較吟味する。この時点で技術審査に通らないと、商業提案書は開封してもらえない。かりに1円入札、いや1ドル入札をしたとしても、技術点で落第したら仕事は取れない訳だ。 入札のことを英語でBidという(Tenderというときもある)。入札への参加要請を、Invitation to Bid、略して「ITB」という。ITBには普通、入札提案書に記載すべき要件、契約書のドラフト、そしてプロジェクトの
「プロジェクト・マネージャー」という職種のイメージは、人によってまちまちだ。ある時、職場で専門誌の記者に取材を受けていた。会社の総合受付を見下ろす場所の会議室で、沢山の人が出入りするのが見える。しばらく話した後、帰りがけに、その記者はいった。「あんまり、プロマネ的なタイプの人を見かけないですね。」
——ほほう、お煎餅ですか。じゃあ、いただきます。(ぱりっ)ふむ、歯ごたえがありますが、美味しいですな。・・うっ・・むむっ、こ、こりゃ辛い!
あなたは中堅ハウスメーカーの主任エンジニアだ。新しい「スマートなキッチン」の開発を指示されて、悩んでいる。最新式のスマートな調理器具を揃えたって、センサやIoT・AIでデータを集めたって、それだけで真にスマートなキッチンが実現しそうに思えないのだ。気分転換のためにカフェテリアにきて、厨房の中のトラブルを見ながら、あなたには急に気づいたことがあった。 そもそも炊飯器にマイコンがついていようがいまいが、一番大事な判断は、料理する人間がしているのだ。つまり、人間という、感覚も記憶も判断もそなえた、高度な情報処理機能をもつ存在が、システムの中心に居るのだ。マイコンのない単純な機械では、人間が情報処理の全ての役割を負っていた。センサとPLCを抱いた機械は、そのある部分を、機械側が代替してくれる。だが、それでも「スマートさ」の主要な部分は、まだ人間にあるのだ。 そして、そのスマートな人間が、様々な機械
あなたは、ハウスメーカーの主任エンジニアだ。会社は今度、新しく中部地方にできる『スマートシティ』に参入するべく、新製品の開発に取り組んでいる。そのあなたに与えられた命題は、「スマート・キッチン」の開発だった。我が社が生み出す次世代住宅の目玉になるはずだ、ライバル企業が考えもしないような、斬新かつ有用な台所を開発しろ。プロジェクトを取り仕切る専務に、あなたはそう厳命された。 しかし、スマートなキッチン、って一体何だ。あなたは席に戻って、いささか途方に暮れる。建築学科出身で、建築設備については空調も給排水も熟知しているつもりだ。チェーン店のセントラル・キッチン設備だって、設計を手伝ったことはある。排気や消毒清掃に、独自の工夫が必要だった。しかしスマート化なんて掛け声は、当時なかった。ましてあなたが取り組むのは、普通の家庭向け住宅なのだ。 たとえばそれは、ロボットの働くキッチンだろうか。ロボット
一昨年のことだが、ある方のご紹介で、東京・本郷にあるT大学(特に名は秘す)発のAI系ベンチャー企業数社の方々と、Webで面談した。先方から保有技術や事例の紹介を、まず受けた。当方がプラント系企業だからか、異常予兆やロボット系の事例が中心だった。異常予兆は自社内にも開発実績があるし、実はそれほど注目していなかった。こちらとしては、エンジ会社として設計問題の自動化(先月書いた開発プロジェクトの件)についてアイデアを求めたのだが、議論はすれ違いだった。 相手はみな、AI=深層学習こそ万能の道具と信じていて、実績データを分析すれば答えが見つかるからやらせてくれ、という。機械学習なんてパターン認識に過ぎないんだから、科学法則の支配する設計問題には向かない、と説明したが理解できない風だった。探索的な強化学習なら可能性があるので水を向けてみたが、それは制御問題のツールだろう、という理解しかなかった。本当
故・今北純一氏は、日欧をまたにかけて活躍する経営コンサルタントとして著名な方だったが、わたしの研究室の大先輩でもあった。年齢差があったため、大学時代はお会いする機会が無く、ただ、ずば抜けて頭の良い人との噂を聞いていた。それが、たまたま20年ほど前からご縁があり、謦咳に接するようになった。 お目にかかる度にいつも非常に刺激を受け、勉強になったが、残念なことに2018年の暮れに急逝された。72歳だったという。あいにく訃報に触れたのが遅く、せめてお線香をと思いつつも、なかなか果たせずにいた。しかしようやく今月、以前からの知人のGさんの導きで、東京・本郷にあるお寺にお参りすることができ、ほっとした思いでいる。 今北さんにはじめてお目にかかったときのことは、今でもよく覚えている。パリ16区、トロカデロにある今北さんのオフィスを訪ねた。2001年だったと思う。ちょうどその頃、わたしはプロジェクトの仕事
「システム・インテグレーター(SIer)というビジネスは、本当に今後も存続できると思いますか?」——この問いを、わたしはときどき、IT業界の人に聞いてみている。 ご存じとは思うが、SIer(エスアイヤーと読む)は、ITシステムを受託開発する企業のことだ。分野は業務系システムが多いが、ECサイトや組込系のこともある。運用もときには受託するが、Integration(=まとめあげる)の語が指すように、構築が主な仕事である。そういう点で、同じIT業界でも、パッケージソフトを販売したりSaaS提供したりするビジネスとは区別される。 SIer企業は、デジタルに関わる高度な知識や技術を有しているし、今のDXブーム時代に、ユーザ企業から受託してシステム開発を行う、花形的産業であるはずだ。そのビジネスの将来性を問うているのだが、誰に聞いても答えは今ひとつ、かんばしくない。理由は、なかなか儲からないからであ
(先週9月17日に開催されたスケジューリング学会の年次大会「スケジューリング・シンポジウム2022」で、首記のタイトルの講演発表を行った。発表の共著者は、小生の他に、日揮グローバル(株)の山田祥徳・小糸弘之・嘉山陽一殿、そして香川大学の荒川雅生教授である。 本テーマはプラントのレイアウト設計であって、スケジューリングとは直接関係が無いが、最適化手法の専門家が多く集まる学会のため、あえてこの主題で発表させていただき、おかげで発表後も会場で有益なディスカッションができた。ただ、学会の場はどうしてもアカデミアの方が中心となり、実務者の参加は多くないため、本サイトでも、紙上講演の形で再現させていただくことにした。なお、ご興味がある方は、末尾の学会予稿集論文を参照されたい)
『コストセンター』論について、このところ2回続けて考えている。「価値を生まないコストセンターは企業にとって重荷である。できれば外注化し、せめて子会社化してコストカットをはかるのが、正しい経営のあり方である」という信憑が、わたし達の社会の通念となってきた。 そしてこの通念こそが、実はさまざまなあり方で日本の産業界を歪め、その競争力を低下させる結果を生んできたのではないか?——これがわたしの問題意識である。これについてはずっと以前から考えており、9年半前にも「コストセンターとは何か」 (2013-03-13)を書いて、小さな警鐘を鳴らしたつもりであった。記事の中で、わたしは次のように書いた:
前回の記事「工場はコストセンターか? そしてIT部門はコストセンターか?」 (2022-09-04)では、『コストセンター』という会計概念が、『プロフィットセンター』と対比されるうちに、いつのまにか組織と経営戦略を歪めていった経緯について説明した。その根底には、「コストセンターは価値を生まない」という信憑があった訳だ、だが、はたして、この考え方は正しいのか? まず、そこから検討していこう。 最初に、ごく簡単な例を考えてみる。あるところに、発明家(技術者)と実際家(セールスマン)がいた。二人は以前からの知り合いだが、発明家の方は最近、画期的なアイデアを思いついた。わずか20万円ほどの部品を使って、すばらしい価値を持つ新製品を作れるという。 セールスマンの方は、もしそんな製品が本当にできるのたら、自分が買い手を捜してやろう、ともちかける。そんな新製品だったら、100万円の値段をつけても、売れる
先週の9月1日(木)に開催したオンライン・シンポジウム『工場スマート化のための製造実行システム”MES” ― 広がる導入と実例に学ぶ活用方法』には、おかげさまで大勢の方にご参加いただけた。まずは深くお礼を申し上げたい。昨年10月に続き、MESをテーマとする2回目のシンポジウムで、ほぼ一日という長丁場だったにもかかわらず、たくさんの来聴者があったことは、この主題に対する関心の高さを示すと思われる。 わたしは(財)エンジニアリング協会「次世代スマート工場のエンジニアリング研究会」の幹事という立場で、今年の企画に関わった。昨年はどちらかというと、MESベンダーさんによる最新の製品情報提供が中心だった。そこで今年はよりユーザ側に立ち、具体的な先進事例を中心に、活用のベストプラクティスを紹介したいと考え、プログラムを組んだつもりだ。 幸い、どの講演も非常に中身の濃いもので、ねらいはある程度達したと思
まずはプロジェクト・チームの部屋に行き、前任者のプロマネの席に座ってみる。周囲のメンバーはあなたを、怪訝そうな、あるいは不安と好奇の混じった目で見ている。 とりあえずは皆を集めて、ミーティングを開く。席上であなたは、前任者が都合でプロジェクトを離れざるを得なくなったこと(それは皆も知っていたが)、自分がその役割を引き受けたこと、まだ様子が分からないから皆に教えてもらいながら前に進みたいこと、心配しないでこれまで通り職務に邁進してほしいこと、などを伝える。そしてあなたからはじめて、順に時計回りで自己紹介をしてもらう。だが、親しい人間は残念ながら一人も居なかった。 席に戻って、小さなため息をつく。ともあれ、プロジェクトの状況を知らなければならない。でないと、何についても決断は下せないのだ。でも、プロジェクトの状況を知るとは、具体的にはどこからどう、手をつけたら良いのだろう? 何が分かれば、「こ
このシンポジウムは製造業の実務に携わる方を、主な対象として想定して、講演プログラムを依頼してきた。ところで、いまさらだが、これは本当に正しかったのだろうか? というか、想定として十分だったのだろうか、という疑問が頭に浮かんできた。IT業界にいるエンジニア達も、MESシンポジウムの聴衆として考えるべきだったのではないか? というのも、この種のシステムを構築する仕事は、通常、製造業の中だけで内製することは難しいからだ(よほどの大企業は別として)。当然ながら、外部のITエンジニアの力を借りる必要がある。良く知られているように、わたし達の社会では、ITエンジニアの7割はIT業界にいて、ユーザ企業には3割しかいない。その3割の人員も、殆どは本社にいて、人事・財務・販売そしてITインフラ系などの業務に従事している。
「BOMのマネジメントでは、マテリアル・マスタを全社で共通に使うことが大事とのお話、確かにその通りだと思いました。自分の会社では、ERPのマテリアル・マスタに品目を登録するのは製品設計部門の仕事ですが、どうもいろいろと問題が起きています。マスタ登録の仕事は、どこの部門が担うべきだとお考えですか?」 ものづくりに関わるマスタ・データの登録保守は、製造業の組織で、一体どこが受け持つべきなのか。これは「データ・ドリブン経営」だとか「製造DX」などの活動を現実化していく上で、重要な問いだろう。さらに一般化していえば、『マテリアル・マネジメントの業務』は、どこが責任を引き受けるべきなのか。皆が悩んでいる問題だ。
と題する連載を開始します。わたしの勤務先の同僚で、ネクストファクトリー・ソリューション部の部長である丸山幸伸氏との共著で、全18回の予定です。雑誌は電子書籍でも購入可能です。 「工場管理」誌には、今年の3月・4月号にも、製造実行システム(MES)に関する記事を執筆しました。これは主に工場のデジタル化の側面について、自身の知見ならびに経産省からの受託調査の結果をもとにまとめたものです(こちらからもダウンロードできます)。幸いこの記事は好評だったようで、編集部から、より広い視野で工場づくりに関する連載記事を書いてくれないかと依頼を受けました。 もちろん、よろこんでお引き受けすることにしましたが、わたし自身は何年も前から経営企画部門におり、工場プロジェクトの現場業務からしばらく遠ざかっています。そこでこの分野に経験の深い、同僚の丸山幸伸氏と一緒に、執筆に取り組むことにした次第です。 ところで読者
次のスライドは、わたしが社内のエンジニア教育用に作った資料の一部である。質問は5問からなっており、いずれも3択問題だ。さて、皆さんなら何と答えるだろうか? エンジニアで、客先への対応に悩む人は数多い。要求が曖昧模糊としている、気難しい、あるいはすぐ気がが変わる、いや、それどころか、技術をよく知りもしないのに無茶な要求をしてくる・・。 「そういう難しい顧客への対応は、営業の仕事さ」と言い切れる会社や、営業が身を呈して技術を守ってくれる会社に働くエンジニアは、幸せだろうな、と思う。だが大抵の場合、技術的なことに関しては、技術屋がいって説得しなければならない。それどころか、技術リッチな業種では、そもそも売り込み段階からエンジニアが営業に同行して、あれこれと説明したり提案したりするのが普通である。 さて、上記の問いにあげた5つの文章は、いずれもシチュエーションが共通している。いうまでもなく、「お客
今月のはじめ、オランダに数日間、出張した。アムステルダムで開かれた石油ガス業界のデジタル化に関するカンファレンスに出席するためだ。オランダに行くのは、2度目である。いや、30年以上も前に、ベルギーのブリュッセルから日帰りで観光に行ったことがあったが、それを入れても3度目だ。 出張には、軽い本を持っていく。今回持っていったのは、司馬遼太郎の「オランダ紀行」 の文庫本である。わたしは司馬遼太郎の小説はほとんど読まないが、彼の外国に取材した文章は、案外面白いと思う。「愛蘭土(アイルランド)紀行」、イベリア半島紀行の「南蛮のみち」、そしてベトナム戦争終盤のルポ「人間の集団について」など、どれも感心した。 旅行先で、その国に関する本を読むのは、実地勉強の面もあって、有用だと思う。ただ一般に、紀行文というのは退屈だ。著者がたまたま経験したことが、断片的に感傷を込めて書かれている程度のものが多い。だから
最初に、お知らせです。日本の医薬品業製造に関する最大のカンファレンス・展示会である、「インターフェックス・ジャパン東京」(7月13日~15日)で、スマート工場について講演します。専門技術セミナーという枠組みで、初日に下記の通りお話する予定です。
『デジタル・ディバイド』という言葉は普通、個人や社会階層の比較に関連して使われる。総務省の情報通信白書によれば、「インターネットやパソコン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差」をいうのだそうだ。実際、インターネットの利用度は、高齢者および低所得世帯ほど低い、とのデータが示されている。また地域間や国の間にも、差がある。ちなみに日本語版Wikipediaは、デジタル・ディバイドを『情報格差』と訳して(リダイレクトして)いる。 ただしDivide(分断)という英語には、格差(difference)以上に強い響きがある。これは人間が2つのグループに分けられて、他のグループには簡単に移れない状態を示している。階級や人種のように、社会的に固定されてしまうのである。 ネットやPC・スマホを活用して、情報を瞬時に得られる者は、市場の取引などでも、うまく立ち回る。経済的に利益を得
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