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「シティポップ」にまつわる言説はとても複雑だ。そもそも音楽的な定義が曖昧で、その反面なんとなくの風景やビジュアル、イメージを想起させてしまう言葉の魔力も理由としてあるだろう。だがもちろんそれだけではない。 たとえば、1970~1980年代のリアルタイム世代の感覚、1990~2000年代にクラブシーンで「和モノ」としてリバイバルされたときの感覚、2010年代初頭に「ネオシティポップ」としてリアルタイムではない世代による実践が盛んに行われていたときの感覚が、そのときどきの社会的状況やメディア環境を反映して微妙に異なっていることもひとつの背景にある(もちろん共通している部分も大いにあるのだが)。 そこに海外からの目線が加わると一層ややこしくなる。ちょうど「ネオシティポップ」という言葉が用いられはじめたころ、インターネット上ではヴェイパーウェイヴと呼ばれる新たなジャンルが勃興し、日本のシティポップ
今年デビュー45周年を迎えたサザンオールスターズ。7月にリリースされた、エキゾティックな昭和歌謡“盆ギリ恋歌”からスタートした3か月連続の新曲配信リリースに加え、10年ぶりに故郷である神奈川県・茅ヶ崎でのライブイベント『茅ヶ崎ライブ2023』の開催も控えている。 そんな節目を祝し、桑田佳祐をアマチュア時代から知る音楽評論家、萩原健太と高橋健太郎の対談を実施。当時のエピソードはもちろん、その類稀なる音楽的才能について語り尽くしてもらった。萩原と高橋が、サザンオールスターズについて初めて語り合う貴重な対談となった。
2020年12月、松原みき“真夜中のドア~stay with me”(1980年)がグローバルバイラル18日連続1位を獲得という、異例の事態を巻き起こしていたときのこと。 12月4日にSpotifyが発表した「海外で最も再生された日本のアーティストおよび楽曲ランキング」のなかに興味深い結果があった。『鬼滅の刃』や『NARUTO -ナルト-』をはじめ、『東京喰種トーキョーグール』『僕のヒーローアカデミア』といった超人気アニメへの起用楽曲が立ち並ぶなか、2018年にリリースされたcinnamons × evening cinema“summertime”というシティポップテイストの楽曲がランクインしていたのだ(註1)。 インディペンデントに活動するアーティストの楽曲が、長い時間をかけてその映像とともに海外のファンベースを築いてきたアニメソングと肩を並べて聴かれているのは、異例のことだ。Spot
既報の通りスチャダラパーとライムスターのコラボレーションが満を持して実現する。あらためて説明するのもはばかられるが、互いに日本のヒップホップシーンの黎明期からキャリアをスタートさせ、音楽的にも立ち位置的にも独立独歩の道を進んできた同世代の3人組グループである。 しかし、シーンがまだ発展していない時代に登場した2組だからこそ、その関係性はバックグラウンドやコネクションの微妙な相違もあいまって、どこか緊張感を帯びた距離があったと認識しているリスナーは少なくないだろう。それは本人たちも部分的には認めている。 そして、時は経ち2020年。TOKYO FMの50周年アニバーサリー、今年デビュー30周年を迎えるスチャダラパー、昨年結成30周年を迎えたライムスターという3つの要素が絡み合い、待望のコラボレーションが実現した。 楽曲のタイトルはズバリ、“Forever Young”。プロデューサーは、2組
ビジュアル・アートに革命をもたらした英国出身の音楽プロデューサーであるブライアン・イーノ。彼の主要3作品と世界初公開作品が一堂に会する展覧会『BRIAN ENO AMBIENT KYOTO』が、京都を舞台に開催中。音と映像、そして空間を融合させたインスタレーションによって大好評を博し、2週間の会期延長も決まった。 Roxy Musicのメンバーとしてはもちろん、デヴィッド・ボウイやTalking Heads、U2などのプロデューサーとして数々の名盤を残し、現在はアンビエントミュージックの先駆者として存在感を放ち続けるブライアン・イーノとはいったい何者なのか。その多彩な経歴について、シンコーミュージックの荒野政寿が解説。 また、ブライアン・イーノからクリエイティブなインスピレーションを受けてきた3名のアーティスト、小山田圭吾、岩井莉子(LAUSBUB)、小林祐介(THE NOVEMBERS
2013年の連載開始以来、シリーズ累計920万部超の人気を誇るジャズ漫画『BLUE GIANT』がついにアニメ映画化され、2月17日より全国公開がスタートした。「音が聞こえてくる漫画」と呼ばれてきた原作を映画化するにあたって、音楽はピアニストの上原ひろみが担当。挾間美帆らも参加したオリジナルサウンドトラックも大きな話題を呼んでいる。 世界一のジャズプレーヤーを目指す主人公・宮本大たちが結成するトリオ「JASS」の演奏を上原とともに担当したのが、オーディションで選ばれたサックス奏者の馬場智章と、上原のラブコールにより参加が決まったドラマーの石若駿。ともに北海道出身の同い年で、小学生からの知り合いであり、ともに若くして東京やニューヨークで活躍してきた2人は、まさに『BLUE GIANT』の物語を実際に体現してきたかのようだ。 そんな馬場と石若の2人に、アニメのキャラクターの演奏を演じるという稀
1960年代にロックが世界に広がったように、2010年代はラップミュージックが世界を席巻した10年といっていいだろう。事実、アメリカの調査会社による2017年上半期の調査では、ヒップホップが初めてロックの売上を超え、最も売れたジャンルとなった。 そんなヒップホップの変化は、なぜ起きたのか? Kompassでは、世界の音楽シーンに詳しいライター渡辺志保と、多彩なカルチャーに横断的な視点を向ける荏開津広による対談を連載形式で実施。その第1回として、まずはこの10年の流れを総括する。 ラッパーが「ポップスター」「ロックスター」みたいなポジションになってますね。(渡辺) ―今回は連載の第1回目ということで、2010年代のヒップホップシーンを振り返ってもらいます。この10年を象徴するラッパーをまず挙げていただけますでしょうか? 渡辺:もちろん、一概に誰と簡単にはいえないんですけど、すっと出てくるのは
さまざまな課題に直面するコミュニティーや社会的マイノリティーの人々の声をポッドキャストによって発信し、社会における「声の多様性」を推進する目的で2018年に始まったSpotifyの次世代ポッドキャストクリエイター育成プログラム『Sound Up』。これまで世界数か国で実施されてきたこのプログラムが、日本でもこの秋からのスタートに向けて受講生の募集を開始した。日本での公募対象は、ポッドキャストを始めたい女性。アメリカのアネンバーグ財団による調査の結果では、世界でポッドキャストを配信する女性の割合は全体の20%に満たないと言われている現状のなかで、女性たちが自分自身の考えやストーリーを音声によって自由に表現し、世の中に発信できるように、番組を企画・制作・配信するためのノウハウや機材を提供する。 そこで今回Kompassでは、『JAPAN PODCAST AWARDS2020』においてベストパー
1990年代にオアシスやPrimal Scream、My Bloody ValentineなどUKロックシーンを代表するバンドを次々と輩出し、「世界でもっとも成功したレーベル」とも言われたCreation Records。その設立者の一人であり、自らを「President of Pop(ポップの大統領)」と呼んだアラン・マッギーの波乱に満ちた半生を追う映画『クリエイション・ストーリーズ〜世界の音楽シーンを塗り替えた男~』が、10月21日より全国ロードショーとなる。 本作の制作総指揮を手掛けたのは、『トレインスポッティング』(1996年)や『スラムドッグ$ミリオネア』(2008年)『イエスタデイ』(2019年)など数々の話題作を監督した鬼才ダニー・ボイル。脚本は『トレインスポッティング』の原作 / 脚本のアーヴィン・ウェルシュで、監督は『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1
毎週月曜日から金曜日まで、夕方6時から3時間、TBSラジオで放送されている『アフター6ジャンクション』、通称『アトロク』。「聴くカルチャー・プログラム」と銘打たれている『アトロク』だが、Beastie Boys、10代前半の少女マンガ家、ASMR、日本のクイズカルチャー、中国の最新ファッションシーン、時代劇に登場するヒーロー……と、さまざまなジャンルに精通したゲストによって愛を持って発信される特集テーマを並べただけでも、番組内で取り上げられているカルチャーの幅広さが伝わるはずだ。 自身もゲームや銃といった偏愛する対象を持ち、映画に関しては『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(通称『タマフル』)時代から評論コーナーが看板コンテンツにもなっているメインパーソナリティーの宇多丸は、日々訪れるゲストたちが伝えようとする熱気を、どのように受け止めているのだろうか。 この春配信が始まった
「音が聞こえる」と話題のジャズ漫画『BLUE GIANT』がついに映画化された。 原作はシリーズ累計1,100万部を突破する人気コミックで、ジャズに心を打たれてサックスを始めた宮本大が、「世界一のジャズプレーヤー」を志して仙台から上京。同世代の仲間たちと出会い、切磋琢磨しながら演奏に打ち込んでいく日々を描く。監督は、『モブサイコ100』や『劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人』を手がけた立川譲。「ハードルが高いとされるジャズの魅力を、より多くの人に届けたい」という原作者・石塚真一の思いを引き継ぎながら、サントラを手がけた上原ひろみとともにこの人気コミックに「動き」と「音」を与えている。 28歳で漫画家デビューを果たし、山岳救助を主題とした『岳 みんなの山』でブレイクした原作者の石塚は、なぜ「音」のないコミックでジャズを取り上げようと思ったのか。ジャズを通して何を人生で学び、何を伝えたかったの
2023年はヒップホップ誕生から50周年という記念すべき年だ。その歴史の節目に「日本におけるヒップホップ」に焦点をあてて、その歴史を振り返りたい。 黎明期に日本でどう受容されていたか、日本人の手でどうヒップホップを具体化しようと試みられていたのか。そこで生きたのはどんな人々だったのか。 もちろん一人の視点だけでそれら全てを語ることは難しいだろう。この記事では当時、実際にクラブに出入りし、レコードを聴き、1人の「ヘッズ」だった人物の目を通じた体験を振り返りたい。今回は1980年代からヒップホップを愛聴してきたDJ、ライターの荏開津広さんに話をうかがった。 ー荏開津さんが日本語でのラップを意識されたのはどの時点でしたか? 荏開津:私は映画『ワイルドスタイル』(1983年)に衝撃を受けた世代です。リアルタイム時に映画館で観たわけではなかったですが、それでヒップホップの魅力にのめり込みました。日本
ついに、世界は2020年代に突入。2010年代最後の年となった2019年も、トップアーティストの新譜やニュースターの誕生など、ラップミュージックは話題に事欠かないシーンを形成していた。 世界の音楽シーンに精通するライター渡辺志保と、多彩なカルチャーに横断的な視点を向ける荏開津広による対談の第2回。今回は、2019年に話題となったトピックを振り返るとともに、最後には日本のヒップホップビジネスにまつわる問題点にも言及する。これからの10年を、ここから始めよう。 リル・ナズ・Xが象徴する、「思いがけない特大ヒット」の可能性を感じさせた1年 ―今回は、2019年を振り返ってもらいたいと思います。どんなことが印象に残っていますか? 渡辺:斬新な年だったと思います。マスな目線でいうと、2019年にアメリカで一番売れたシングルって、リル・ナズ・X(Lil Nas X)の“Old Town Road”にな
今年1月16日、アメリカの音楽プロデューサーであるフィル・スペクターが、新型コロナウイルスの感染に伴う合併症により、刑務所から移送された先の病院で死亡した。 スペクターといえば、多人数のスタジオ・ミュージシャンを起用し、深いエコーとモノラルミックスによって「ウォール・オブ・サウンド」、要するに音の壁のようなサウンドスケープを生み出し、ブライアン・ウィルソン(The Beach Boys)や大瀧詠一をはじめ、数多くのミュージシャンに多大なる影響を与えたポピュラーミュージック界の最重要人物の1人である。The Beatlesのラストアルバム『Let It Be』をはじめ、ジョン・レノンやジョージ・ハリスンのソロ作にも深く関わり、Ramonesの名盤『End of the Century』のプロデュースを手掛けたことでも知られている。 しかしその一方で、スタジオで発砲したりマスターテープを持ち逃
サンダーキャット、フライング・ロータス、ソランジュやジェイコブ・コリアー、果てはロックバンド、Alabama Shakesのフロントマン、ブリタニー・ハワードまでもが、ジャズのネットワークの中で音を鳴らしている――音楽評論家の柳樂光隆が監修したムック『Jazz The New Chapter 6』は、そう語っている。上記したミュージシャンの多くが近年の『グラミー賞』受賞者であること(しかも多部門にまたがっていること)を踏まえれば、ジャズをとりまく宇宙を考えることは、そのまま今の音楽を考えることにつながるだろう。 「ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平」を謳った、2014年の衝撃的な『Jazz The New Chapter』シリーズ開始から早6年。本シリーズを世に送り出してきた柳樂に、話を聞いた。もう一度、耳を世界に開くために。 音楽に関するテキストで、最も多く触れてきたのはライ
日本のヒップホップ史を振り返る際に、非常に重要になってくる1990年代から2000年代初頭。日本では『さんぴんCAMP』などを軸に語られがちなこの年代。一方でアメリカでは、西海岸のDr.DreによるGファンクサウンドが勢いを増していた。1990年代後半〜2000年代前半、日本でもその影響を受けなかったとは考えにくいが、あまり多くが語られてこなかった印象を受ける。 そこで今回、1990年代から2000年代前半を中心に、どう日本で西海岸のサウンドが受容され、発展していったのかを考えたい。ライター・アボかど氏のテキストとともに、「Jウェッサイ」の歴史をクルーズしよう。 現在、日本でヒップホップが過去最高の盛り上がりを見せている。そう感じているリスナーは多いのではないだろうか。充実した作品が毎週のように届き、『POP YOURS』や『HOPE』などヒップホップ色の強い大型フェスも増加。ジャンルを問
「私以外私じゃないの」の精神で、やりたいことをやる。音楽家・川谷絵音の仕事を紐解く いま現在、川谷絵音ほど多作でワーカホリックな作家は他にいないと言ってもいいかもしれない。indigo la End(以下、インディゴ)とゲスの極み乙女。(以下、ゲス乙女)の活動を軸としつつ、DADARAYの楽曲をすべて手掛け、ジェニーハイとichikoroにもメンバーとして参加。ソロプロジェクト「美的計画」もスタートさせ、最近ではスピードワゴンの井戸田潤によるハンバーグ師匠の楽曲を手掛けたかと思えば、坂本真綾のアルバムにも参加と、そのふれ幅の広さも含め、尽きないクリエイティビティには改めて恐れ入る。 ただ、彼は決して「職業作家」ではなく、楽曲提供の際も「相手(人にしろ、作品にしろ)の良さを引き出す」というよりも、「私以外私じゃないの」の精神で、「やりたいことをやる」というスタンスを貫き、そこで起こる化学反応
『紅白歌合戦』初出場も決定。ストリーミングチャートの記録を塗り替え続ける「新時代の国民的バンド」 Official髭男dismが、2019年のヒットチャートを席巻している。 特にストリーミングサービスにおいては圧倒的な支持を集めている。「Billboard JAPANストリーミング・ソングス・チャート」(11月18日付)では“Pretender”“イエスタデイ”“宿命”がトップ3を独占。“Pretender”は25週連続で1位となり連続1位の記録を更新している。「オリコン週間ストリーミングランキング」(11月18日付)でも24週連続で1位の座を守り、累積再生回数においてもあいみょん“マリーゴールド”を上回る歴代1位となった。 Spotifyチャートからもその無類の人気が伺える。日本トップ50チャート(11月17日時点)においては、1位の“Pretender”を筆頭に、“宿命”“イエスタデイ
崎山蒼志の2ndアルバム『並む踊り』は、崎山の待望の新作というだけでなく、君島大空や長谷川白紙といった強烈な「個」を持つ音楽家たちがコラボレーターとして参加したことによって、今、この時代の音楽地図上においても、とても重要な作品となった。崎山を含め、この作品にクレジットされた顔ぶれを「シーン」として括ることは野暮すぎるが、文脈の路地裏から、「その人」固有の声を、眼差しを、感触を、フェチを、悲劇と喜劇を……その全てを、音楽に捉えようとする才能が今、この国に一挙に現れていることには、強い興奮を覚えるとともに、彼らの存在そのものが、とても具体的な手触りをもって、我々になにかを語りかけているような気もする。 そんな重要作『並む踊り』に参加したコラボレーターのひとりが、2003年生まれの音楽家・諭吉佳作/menだ。崎山と同じく10代という若さながら、既にその非凡なトラックメイクと世界観が注目を集め、で
テレビアニメ『呪術廻戦』の待望の第二期が7月6日からスタートした。その制作を担うアニメスタジオMAPPAは、ここ数年、「MAPPA SHOWCASE」や「MAPPA STAGE」といったイベントの開催、ライツ事業の強化、配給事業などアニメ制作にとどまらない活動を展開している。その活動には、アニメ業界の構造的な問題を解決する糸口や、作品を世界に届けるヒントがあるように思う。今回は、そんなMAPPAの近年の活動と今後について、代表取締役・大塚学氏と取締役 / 企画部部長・木村誠氏にお話をうかがった。 ―「MAPPA SHOWCASE」や「MAPPA STAGE」を開催するなど、アニメ制作にとどまらない展開をされています。アニメ制作会社が自らこうしたことを手がける狙いはどういったところにありますか。 大塚:一番大きな理由は、アニメを制作するだけではビジネスとして成り立たないからです。アニメ制作だ
2021年に結成10周年を迎えた乃木坂46が、12月に初のベストアルバムを発表する。2011年に「AKB48の公式ライバル」としてスタートした乃木坂46は、いまや押しも押されもせぬトップアイドルとなったものの、その楽曲に関しては「AKB48のような国民的なヒット曲がない」といわれることも少なくない。しかし、近年は「日本レコード大賞」を2年連続で受賞するなど、楽曲自体の評価も確実に高まっているだけに、この10周年というタイミングでこれまで生まれた数々の名曲について、あらためて振り返ってみたい。 その相手として、杉山勝彦ほどの適任者は他にいない。自らのユニットTANEBIと並行しながら、作家・プロデューサーとして幅広く活動し、乃木坂46の代表曲を数多く手がけてきた。2015年の『NHK紅白歌合戦』初出場で歌われた“君の名は希望”、先日『THE FIRST TAKE』で披露された“きっかけ”、卒
秋葉原MOGRAでアニソンとEDMで踊った。tofubeatsや米津玄師、“紅蓮の弓矢”に震えた嘉島唯の2013年
全414曲にも及ぶ楽曲のストリーミング配信をスタートしてから約1年。aikoのおよそ2年9か月ぶりとなるフルアルバム、『どうしたって伝えられないから』が3月3日にリリースされた。 ストリーミング解禁のみならず、東京スカパラダイスオーケストラとのコラボ曲の発表をはじめ、本作に至るまでにaikoは様々な変化を経験した。もちろん、新型コロナウイルスの影響も決して小さくはなかった。未曾有の2020年を経て、aikoが20年以上歌い続けてきた恋愛というものの形のみならず、人と人の関係のあり方そのものが変化を余儀なくされたわけだが、aikoは一体どんな思いを胸にこの作品を作り上げたのだろうか。 Spotifyの新プレイリストシリーズ「Liner Voice+」のローンチにあたって、その第1弾アーティストとして選ばれたaikoにインタビューを実施。本稿は、ライター・編集者の内田正樹を聞き手に招いて収録し
文章と同じくらい音楽を愛するピース・又吉直樹が、ゲストとその人の出囃子について語り合い、芸人と音楽の切っても切り離せない関係を学んでいく、Spotify独占配信のポッドキャスト番組『又吉直樹の芸人と出囃子』。2022年10月にスタートしたこの番組には、これまでオズワルド、3時のヒロイン、蛙亭、すゑひろがりずといった人気芸人が多数登場し、普段なかなか聞くことのない音楽遍歴や、出囃子についての隠れたエピソードが語られ、音楽好きとお笑い好きの双方から好評を博している。 各回で幅広いアーティストや楽曲についてのトークが繰り広げられるのは、無類の音楽好きである又吉がホストを務めるからこそ。彼自身は以前組んでいた線香花火時代にくるりの“東京”を、ピースになってからは真心ブラザーズの“サティスファクション”を出囃子として使い、それぞれの曲に対して非常に強い思い入れがあるという。そんな自身の経験談も交えな
毎月一組のアーティストをフィーチャーし、そのアーティストの音楽史をディープに掘り下げ、楽曲とともにお送りする聴くドキュメンタリー『Artist CHRONICLE』。2月はシンガーソングライター・KANの特集が4回シリーズで公開され、縁のあるミュージシャンからの証言とともに、改めてKANの魅力に迫っている。 KANといえばMr.Childrenの桜井和寿やaiko、スキマスイッチ、秦基博といった数多くのアーティスト仲間からも愛されたことで知られ、その背景には彼独自の音楽に対する哲学やこだわりがあった。『Artist CHRONICLE』に寄せられた、スターダスト☆レビューの根本要や槇原敬之らのコメントを紹介しつつ、彼の影響力の大きさを再考する。
コロナウイルスにより、世界に大きな変化が訪れた。人々の生活も、経済状況も大きな変化が求められている。さらに、ミネアポリスでのジョージ・フロイド事件を受け、ますます混迷を極める現代に、どんな言葉が届くのだろう。 世界の音楽シーンに精通するライター渡辺志保と、多彩なカルチャーに横断的な視点を向ける荏開津広による対談の第5回は、「今の時代に響くラップ詞」という視点で、ラップのリリックを語り合う。 ラップとは「自身の美学を歌う音楽」だと思いました。(渡辺) ―ラップが「メッセージ性が強い音楽」というイメージで語られる理由は、どんな点にあると思いますか? 荏開津:やっぱりパブリック・エナミー(Public Enemy)が大きいと思います。ただ、私自身はその前からラップを聴いていて。そのときはイングリッシュネイティブの友人にも、ラップを「歌詞に意味がない」「幼稚だ」といわれていましたね。もちろん、いい
シンガーソングライター、そして、最近では文筆家としても活躍している柴田聡子。その独特の言語感覚が注目を集めてきたが、最近では曲作りにも磨きがかかり、ミュージシャンとしてひとまわり大きくなった。その背景には、ここ数年、活動を共にしてきたバンド「inFIRE」の存在がある。岡田拓郎(Gt)、かわいしのぶ(Ba)、イトケン(Dr)、ラミ子(Cho)といった個性豊かなメンバーとの関係が、柴田の作り出す音楽に豊かな奥行きを生み出しているのだ。今年5月に行われたツアーファイナルの模様を収録した新作『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 "GANBARE! MELODY" FINAL at LIQUIDROOM』を聴けば、そんな柴田とバンドの充実ぶりが伝わってくる。 そこで今回は、4人のバンドメンバーとツアーでPAとダブエフェクトを担当したDub Master Xに柴田宛の手紙を書いてもらい
The Beatlesの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』がリリースされた1967年や、パンク・ムーブメントが勃発した1977年など、ロック・ポップミュージック史にはターニングポイントとなる年がいくつかある。いまからちょうど30年前、数多くの名盤が生まれた1991年もまた「ロック史における重要なターニングポイント」と位置づけることができるだろう。 例えば、1980年代にはずっと「古い」とされていた1960年代ロックを再評価する機運が、1980年代半ばから英国で高まり出し、マンチェスターを拠点とする「セカンド・サマー・オブ・ラブ」と融合。1991年に、Primal Screamの『Screamadelica』やシューゲイザーの金字塔となるMy Bloody Valentineの『Loveless』が産声を上げた。一方、米国シアトルではグランジの先駆
ヒップホップ、ラップには「男らしさ」が重んじられてきた歴史が、現実としてある。しかし、そうした価値観に変化が少しずつ訪れている。今回のテーマは、ヘテロ男性以外のアーティストに焦点をあてた、現在のラップシーンについて。 世界の音楽シーンに精通するライター渡辺志保と、多彩なカルチャーに横断的な視点を向ける荏開津広の対談企画も今回でひと区切り。1年にわたるこの連載の締めくくりに、ラップ音楽が持つ、希望につながる話を語っていただいた。 2020年最大のヒット曲“WAP”現象 ―まずは2020年の大ヒットソング“WAP”について伺います。この曲を聴いた最初の感想はいかがだったでしょう? 渡辺:“WAP”が大好きというのは大前提ですが、これほどコマーシャルヒットしたのは意外だったんですね。楽曲自体はキャッチーだし、シンプルなマイナー調のビートで中毒性はありますけど、それほど派手な曲ではないなというのが
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