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米通商法301条に基づく措置 米バイデン政権は、中国製電気自動車(EV)の関税率を現在の25%から100%へ4倍にまで引き上げる予定、とウォールストリート・ジャーナル紙が報じた。早ければ14日に正式に発表する。EV以外にも、車載電池や電池生産に不可欠な重要鉱物、太陽光パネル、風力発電タービンなど、クリーンエネルギー分野での関税引き上げが検討されている。 この関税引き上げは、不公正貿易とみなす相手国への一方的な制裁を認めた米通商法301条に基づく措置となる見込みだ。ただし、中国製EVの米国での販売実績は現時点ではほぼゼロであり、そうした下で米通商法301条を発動するのは、かなり異例と言えるだろう。 これには、いずれ中国製EVが米国市場を席捲すること未然に防ぐ狙いがある。中国のBYD(比亜迪)が欧州市場で販売を伸ばしていることから、安価な中国製EVが将来米国市場に流入することへの懸念が国内で強
「量的引き締め(QT)」観測が浮上 金融市場では、日本銀行が国債買い入れを削減し、国債保有残高の削減を本格的に進める「量的引き締め(QT)」が近いうちに実施されるのではないか、との観測が浮上している。そのきっかけとなったのは、日本銀行が13日実施した定例の国債買い入れオペで、長期債の購入を減らしたことだ。 残存期間「5年超10年以下」の長期国債の購入予定額を4,250億円とし、前回から500億円減らしたことだ。1回あたりの買い入れ額の減額は、昨年12月以来のことである。 3月19日にイールドカーブ・コントロール(YCC)を解除した後は「これまでとおおむね同程度」、つまり月間6兆円程度の買い入れを続ける方針を日本銀行は決めた。そして4月以降は、「5年超10年以下」の買い入れ額を4,000億〜5,500億円とレンジで示してきたが、実際には買い入れ額の据え置きを続けていた。 「5年超10年以下」
決定会合後の総裁記者会見での説明は判断ミスか 日本銀行の植田総裁は5月9日の国会答弁で、「為替は経済物価の動向に影響を及ぼす重要な要因の一つであるので、基調的な物価上昇率について為替変動が影響する、あるいはそういうリスクが高まる場合には金融政策上の対応が必要になると考えている」と、円安を強くけん制する発言を行った。前日の国会答弁でも、同様の発言をしている。 4月下旬に円安が急速に進んだことを受け、日本銀行は円安けん制を狙って、円安に関わる金融政策姿勢についての発言を、明らかに修正している。4月26日の金融政策決定会合後の記者会見で植田総裁は、円安が金融政策に与える影響について問われた際に、「円安が輸入物価を押し上げ、それが基調的物価上昇率を押し上げれば2%の物価目標達成の確度が高まり、それに応じて追加利上げを行う」との主旨の説明をした。この発言は、円安は2%の物価目標達成を助ける「良いもの
GX経済移行債による財源確保よりもGX投資が先行 2023年度に、政府のGX投資に充てられるGX経済移行債(仮称)が初めて発行される。発行額は0.5兆円、2022年度第2次補正予算で先行的に措置した1.1兆円分に係る借換債と合計すれば1.6兆円である。 GX経済移行債は2050年までに完全に償還される予定であることから、30年よりも年限が短い、10年債あるいは20年債での発行が予想される。政府は2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」に必要な150兆円超の官民の合計の投資のうち、国の投資分にあたる20兆円規模を、このGX経済移行債で調達する計画だ。2032年度まで毎年度発行される予定である。 GX関連の歳出入を明確にするため、GX経済移行債は将来見込まれる特定の歳入を償還財源として、特別会計から発行する「つなぎ国債」とする。 GX経済移行債の償還については、
2024年3月19日に日本銀行はマイナス金利政策を解除しました。日本銀行の政策転換は日米間の金利差を縮小させ、円安修正のきっかけになると当初は予想されていました。しかし実際には、その後も円安傾向は続き、4月29日には一時1ドル160円にまで円安が進みました。その後、政府は2回のドル売り円買いの為替介入に踏み切ったと推察されます。当面のドル円レートは、米国で発表される経済指標に左右されやすい状況ですが、今後は円安阻止に向けた政府と日本銀行の連携姿勢が試されそうです。 1ドル152円の防衛ラインが破られる ドル円レートは、今年年初の1ドル140円程度から、ほぼ一貫して円安の流れを辿ってきました。日本政府は、円安の進行が物価高を助長し、国民生活や企業活動を圧迫することを懸念しています。 そこで政府は当初、1ドル152円を防衛ラインと考え、それを超えて円安が進むことを強く警戒してきたと考えられます
中国のEVのダンピング輸出を警戒する欧米諸国 中国では自動車の生産過剰状態が続く一方、中国政府が巨額の補助金を通じて安い価格で自動車を海外にダンピング輸出をしている、との批判を欧米諸国は急速に強めている。 上海のコンサルティング会社オートモビリティと中国乗用車協会(CPCA)によると、中国には現在、年間4,000万台を生産する能力があるが、国内での販売台数はその半分の2,200万台前後にとどまっているという。そして、中国の自動車輸出はわずか3年の間に5倍近くに増え、2023年には約500万台に達している。 中国から米国に輸入される自動車には、既に高い関税が課されている。トランプ前大統領は、中国の自動車に25%の輸入関税を課した。さらにバイデン大統領はこの政策を維持したうえで、EV購入時の最大7,500ドルの税控除を中国車が受けられないようにする、などの追加策を講じている(コラム「米政府がE
認証不正問題、能登地震の影響で1-3月期GDPは再びマイナス成長に 内閣府は5月16日に、2024年1-3月期の国内GDP統計・一次速報を公表する。時事通信によると、民間予測機関10社の実質GDPの予測平均値は前期比-0.4%、前期比年率-1.7%である。前期の2023年10-12月期の前期比+0.1%、前期比年率+0.4%から、2四半期ぶりにマイナス成長となる見込みだ。 同期のGDPには、ダイハツ工業などの認証不正問題の影響が色濃く表れると予想される。自動車の需要が変わらない場合、自動車生産停止の影響は、GDP統計の需要項目では、在庫投資の減少として表面化しやすい。しかし、手持ちの在庫が十分ではない場合には、自動車の出荷が滞り、個人消費や輸出も一定程度押し下げられるだろう。 また、1月1日に発生した能登半島地震も、個人消費、設備投資を中心に、1-3月期のGDPを押し下げたと考えられる。
中国の理財商品のデフォルトが報じられている。ここでは、中国の理財商品について今一度整理しておく。 中国の理財商品(資産管理商品)は、2018年以降、機能別規制の下にある。銀証保の縦割り行政の中で、シャドーバンキングにおいて、いわゆる規制アービトラージが横行したことから、「金融機関の資産管理業務の規範化に関する指導意見」(2018年4月、人民銀行、銀保監会、証監会、外為管理局。以下、指導意見)は商品を組成・販売する金融機関の業態にかかわらず同じ機能の商品・サービスには同じ規制をかけることにした。 機能分類の一つは募集方式で、公募商品か私募商品かである。なお、私募は適格投資家向けで募集人数が200人まで、また宣伝不可である。 【公募商品】 公募の理財商品としては、主に銀行の理財商品と基金管理会社(投信の運用会社)の証券投資基金(証券投資信託)がある。(なお、銀行の理財商品はほとんどが公募商品で
株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は、2024年3月7日に、アマゾンウェブサービス(以下「AWS」)からAWS Generative AIコンピテンシーの認定を受けました1。 AWS Generative AIコンピテンシーとは、NRIをはじめとするAWSのパートナー企業が、顧客企業向けに生成AIを活用して当該顧客にとっての重要なサービス、ツールの開発や、インフラ構築の支援ができることを、AWSが認定するプログラムです。すなわちNRIが、生成AIを用いた顧客課題の解決能力と実績を有していることを、AWSからローンチパートナーとして、日本で初めて、かつ現時点において日本国内で唯一認定されたものです。 顧客のDXを加速させるNRIの生成AI この認定にあたっては、AWSパートナー企業の中で最上位の認定である「AWSプレミアティアサービスパートナー」2としてこれまでNRIが提供してきたコン
2022年末に開かれた国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD-COP15)で「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」が採択されて以降、生物多様性の損失を止めて回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」を目標とする議論や活動が注目されています。それに向けた企業の対応は、カーボンニュートラルとともに、今後のサステナビリティ経営における2大課題になると、野村総合研究所(NRI)の榊原 渉は指摘します。 ネイチャーポジティブ対応が進まなかった背景 気候変動対策と生物多様性の確保に関する国際的枠組みの議論は、1992年に同時に始まりましたが、生物多様性への対応は遅れてきました。その理由は、気候変動対策よりも問題の構造が複雑で、対応の難易度が高いことにあります。 そもそも我々人間(や企業)の活動は、動植物・空気・水・土地・鉱物といった自然資本から提供される様々なサービスに「依存」している一
生成AIの技術革新、ビジネスシーンへの普及が急速に進む中で、企業の競争力強化にはAIの積極的な活用が欠かせません。ビジネスモデルやサービスの革新、顧客体験価値の向上、業務プロセスの効率化など、生成AIは企業の“強み”を拡張し、差別化を図るための鍵となります。 NRIにお手伝いできること 競争優位性を築くための生成AI活用 NRIは、生成AIの技術を企業の競争力向上の“鍵”と捉え、個社に即した最適なユースケースの導出から、ビジネスへの実装にあたって直面する様々な課題解決を伴走し、変革の実現を支援します。 AI CoE(Center of Excellence)との伴走 企業に求められるCoE(Center of Excellence)の体制 企業が生成AIの活用に取り組むにあたっては、下記の理由から、部門横断のCoE体制の設置が効果的と言えるでしょう。 全社での方針、ロードマップの策定と発信
24時間のうちに約3円の急速な円安進行 4月26日に開かれた日本銀行の金融政策決定会合の後に、為替市場では円安が一段と進んだ。会合前には1ドル155円台前半で推移していたドル円レートは、決定会合で政策変更が見送られたことに加え、会合後の記者会見での植田総裁の発言から、日本銀行は円安に対する警戒心が弱いとの見方につながり、1ドル156円台まで円安が進んだ。 円安の流れは海外市場でも続き、米国市場の終盤には、1ドル158円台まで円安が進行した。24時間のうちに約3円もの急速な円安となった。1ドル160円台乗せも時間の問題となってきた。 円安の流れに弾みがつく最初のきっかけとなったのは、米国時間の25日に、イエレン米財務長官が、「介入がまれであることを願う。そのような介入がめったに起きず、過度な変動がある場合に限定され、事前に協議があることが期待される」と述べ、日本政府の為替介入をけん制したこと
英国政府は財政拡張策、中銀は金融引き締めを強化するポリシーミックスを選択 英国のトラス前首相は10月20日、在任わずか約1カ月半で、異例のスピード辞任表明に追い込まれた。党首選での選挙公約であった目玉政策の大型減税策が、金融市場の混乱を引き起こしてしまったことが、そのきっかけとなった。金融市場が政治を動かした、歴史に刻まれるイベントの一つとなったのである。 トラス前首相とクワシ・クワーテング前財務相は、富裕者減税を含む減税策や家計、企業に対する数十億ポンドの補助金の実施を目指した。問題はその財源を国債発行で賄う計画としたことだ。これに対する金融市場の反応はまさに教科書通りであり、国債増発懸念から英国債が大幅に下落(金利は上昇)し、財政悪化による通貨の信用低下を映してポンドは大幅に下落した。 さらに、英国中銀は金融市場の混乱を受けて、むしろ利上げ姿勢を強める方針を示したのである。その後、国債
シナジーとは事業間の相乗効果のことを意味し、シナジー効果と表現される場合もある。アナジーとは事業間の相互マイナス効果のこと。 シナジー、アナジーは、企業における各事業の関係や企業統合の効果を表す用語です。例えば、2つの事業の価値がそれぞれ100とすると、統合することで価値が200よりも大きくなり、企業価値が向上する状態をシナジー、価値が150に減ってしまう状態をアナジーといいます。すなわち、シナジーとは経営の相乗効果のことで、アナジーとは経営の相互マイナス効果のことです。 シナジーを考慮した事業展開・多角化 シナジーには、販売チャネル、生産、技術、人材、経営管理などの面があります。企業は、これらの面でのシナジーを考慮して、既存事業と関連性のある新事業へ進出したり、業態を多角化したり、相互補完的な企業との業務提携や統合を行ったりします。例えば、一眼レフのカメラメーカーがデジタルカメラの生産や
金利政策を大きく修正も低金利持続をアピール 3月19日の金融政策決定会合で、日本銀行は「2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」との判断を示したうえで、異例の金融緩和の修正を決めた。 大きな修正は3点だ。第1がマイナス金利政策の解除である。階層型の日銀当座預金制度を廃止し、2016年にマイナス金利政策が導入する前の従来型の当座預金(所要準備と超過準備)に戻したうえで、超過準備への付利金利を+0.1%とした。従来の政策金利(政策金利残高への付利金利)の-0.1%を0.2%ポイント引き上げた形だ。階層型の日銀当座預金制度廃止によって、金融機関が日銀当座預金から得られる利子所得は、年間2500億円程度増加すると試算される(コラム「マイナス金利政策解除後の政策金利は何か?」、2024年3月1日)。これを銀行への事実上の補助金であるとして批判する声も出てくるだろ
イエレン財務長官が日本の為替介入をけん制か 米国のイエレン財務長官は25日、ロイター通信とのインタビューで「市場が決定する為替レートを持つ大国」について、「介入がまれであることを願う。そのような介入がめったに起きず、過度な変動がある場合に限定され、事前に協議があることが期待される」と述べた。これは、円安を受けた日本当局がとり得る対応について問われた際の回答で、日本政府の為替介入をけん制する発言とも受け止められる。26日の日本銀行の金融政策決定会合後の為替動向次第では、政府は為替介入の実施を検討していると推測されるが、まさにその出鼻をくじくかのようなタイミングでの発言となった。 鈴木財務相は、先週ワシントンで開かれた日米韓財務相会議、G7会合、G20会合で「円安への懸念を共有することができたのは一つの成果」と評価し、さらに、「日本側から為替相場の行き過ぎた動きに適切な対応を取る考えも表明した
円安が基調的な物価に与える影響を見極めるには時間がかかる 4月26日の日本銀行金融政策決定会合後に開かれた総裁記者会見では、円安と追加利上げに関わる質問が多く出された。 先週のG20会議後の記者会見で植田総裁は、「円安が基調的な物価に無視できない影響を与える場合には、金融政策で対応する可能性がある」との主旨の発言をした。金融市場では、円安進行を受けて日本銀行の追加利上げを前倒しする、あるいはそれを示唆するような発言を総裁が行うことで、円安の流れが食い止められる、との期待が浮上していた。 しかし、記者会見での総裁の説明は、そうした期待を裏切るものとなったと言えるだろう。総裁の説明を受けて、円安が基調的な物価に与える影響を見極めるには時間がかかるとの見方が強まり、早期の追加利上げ観測は明らかに後退した。その結果、ハト派的なメッセージが強かった(コラム「決定会合・展望レポートと合わせて、記者会見
2024年度物価見通しは懸念されたほどには大幅上方修正されず 4月26日の金融政策決定会合で、日本銀行は金融政策の維持を決めた。政策金利である無担保コールレートの誘導目標は0~0.1%で据え置かれた。さらに、長期国債などの買い入れについては、前回3月の会合で決定された方針に沿って実施するとした。3月には、「これまでと概ね同程度の金額(月間6兆円程度)で長期国債の買い入れを継続する」としていた。 前回3月の会合でマイナス金利政策を解除するなど大きな政策変更を行ったことから、今回は、政策変更は見送られるとの見方が大勢だった。 注目された展望レポートの物価見通し(政策委員見通しの中央値)は、2024年度は前回+2.4%を+2.8%に上方修正、2025年度については+1.8%を+1.9%に小幅上方修正、今回新たに公表された2026年度については+1.9%とされた。全体としては、2025年度、202
前回1月の展望レポートから物価環境は大きく変化 日本銀行は4月25・26日に金融政策決定会合を開催するが、追加利上げなどの政策変更が行われる可能性は低い。 他方で金融市場は、足もとで進む円安が、先行きの金融政策にどのような影響を与えるのかについて、植田総裁の発言からそのヒントを探ろうとするだろう。足もとでは円安けん制のための口先介入と考えられるタカ派的な植田総裁の発言が目立っているが、それが株価の調整を招いている面もあることから、植田総裁の発言のトーンが変わるかどうかも、金融政策決定会合後の記者会見での注目点となる(コラム「日銀による為替市場への口先介入:円安進行と株価下落の板挟みに」、2024年4月23日)。 もう一つの大きな注目は、展望レポートである。物価上昇率の見通しが大きく上方修正されれば、追加利上げ観測が強まる可能性がある。日本銀行が前回1月に展望レポートを公表して以降、物価を巡
円安で植田総裁の発言が1か月で大きく変化 日本銀行は3月19日にマイナス金利政策を解除した際に、政策金利は先行きゆっくりとしか上昇しない、という点をことさら強調した。17年ぶりとなる利上げが金融市場の混乱をもたらさないように、との配慮からだった。しかし、それが思わぬ副作用を呼んでしまう。予想外の円安進行だ。 足もとのドル高円安は、円安というよりもドル高の性格が強い。ドル独歩高である。しかし、日本銀行がマイナス金利政策を解除したにもかかわらず、全く円高にならなかったのは、日本銀行が金融緩和の長期化を強調したためだ。 ところが、足もとで植田総裁の発言のトーンは急変している。 植田総裁は4月18日に、G20財務相・中央銀行総裁会議が閉幕した後の記者会見で、円安進行で基調的な物価が上がり、「無視できない大きさの影響になれば、金融政策の変更もありえる」と述べた。これはかなり踏み込んだ発言だ。 さらに
2015年の人民元ショックを想起か 中国から海外への資金流出と人民元安が急速に進んでいる。国際金融協会(IIF)が発表したデータによると、中国の第1・四半期の資本流出額は過去最高に達した。4月以降も資本流出と人民元安の流れは続いている。5月20日に中国人民銀行(中央銀行)が、貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)の5年物を引き下げたことを受け、人民元安はさらに加速している。 こうした動きは、2015年の人民元ショックを思い起こさせるものだ。人民元ショックとは、2015年8月11日に中国人民銀行が人民元を突如切り下げたものだ。その後、国際通貨基金(IMF)のSDR(特別引出権)に人民元が採用されるために必要な技術的な措置、との説明をなされたが、直後には、中国が景気刺激効果を狙って人民元を切り下げる、近隣窮乏化政策と広く受け止められた。それによって他国の国際競争力が
刊行物 NRI未来年表 2024-2100 NRIが書籍やセミナーなどで発表している様々な予測を「NRI予測」として掲載している年表です NRI未来年表は、今後予定されている出来事を「政治・社会」「経済・産業」「国際」の軸で整理し、さらに、NRIが書籍やセミナーなどで発表している様々な予測を「NRI予測」として掲載している年表です。 将来の社会の大きな動きが一覧できます。年表には、2024年~2100年までの未来予測を盛り込んでいます。 また、「生物多様性」「タイパ消費」「気候変動への適応とレジリエンス」「生成AI:新たな技術革新の始まり」の4テーマについて、NRIの予測をコラムとしてまとめています。 PDFファイルでは全文お読みいただけます。 全文ダウンロード(1.01MB)
2023年の骨太の方針で「三位一体の労働市場改革」が取りまとめられ、改革の第一の柱としてリスキリングによる能力向上支援が盛り込まれた。23年から27年までの5年間で「人への投資」に1兆円の予算が充当される。上場企業には23年3月期の有価証券報告書から人的資本に関する内容を盛り込むことが義務づけられ、民間企業でもリスキリングが注目されている。 リスキリングの難しさ お客様からも、DX推進体制が不足する中で、社員のIT人材に対するリスキリングの取り組みにトライしているという話を聞くが、その一方で、リスキリングが思うように進まずに悩まれる経営者は多いと感じている。筆者の経験からも、リスキリングは非常に難しい「学び直し」の形態であるというのが実感である。 学び直しの形態はさまざまで、「リスキリング=異なる職種に就くために新しいスキルを習得」「アップスキリング=現職のステップアップにつながるスキルを
円安下での株価急落 19日の東京市場では、日経平均株価が一時1,300円を超える大幅下落となった。株式市場は「危機モード」に入った感がある。年初から3月までは世界の株式市場で日本株が一人勝ちの状況だったが、4月に入ってからは一転して、日本株の弱さが際立っている。 19日にはイラン、シリア、イラクでの爆発の報道や、イスラエルによるイランへの報復行動への懸念が高まり、原油価格が上昇したことが株価急落の引き金の一つとなった。 先週に、ドル円レートは1ドル152円の節目を超え、その後、円安傾向が強まっている。そうした中、日本株の下落傾向は強まったのである。従来は、円安は株高をもたらしてきたが、足もとの動きは明らかにそれとは異なっている。 足もとでは、円安が株安をもたらしている理由は、日本銀行の追加利上げ観測の高まりにあるだろう。円安が進めば物価上昇率が高められることから、追加利上げが前倒しで実施さ
コアCPI上昇率は低下傾向が続く:基調的な物価上昇率は2%に接近 総務省は4月19日に、3月分全国CPI(消費者物価指数)を公表した。コアCPI(除く生鮮食品)は、前年の物価高対策の効果が剥落したことで、1月の前年同月比+2.0%から2月には同+2.8%まで一気に上昇した。しかし3月には同+2.6%と再び低下し、物価上昇率が低下傾向を辿っていることを改めて確認させるものとなった。また、2023年度の消費者物価上昇率は+2.8%と、2022年度の+3.0%から縮小した。 3月のCPIの前年同月比を2月と比較した場合、エネルギーが+0.09%ポイントの押し上げ寄与となった。半面、生鮮食品を除く食料が-0.14%ポイント、宿泊料がー0.04%ポイント、家庭用耐久財が-0.02%ポイントと、それぞれ押し下げ寄与となった。 従来、CPIを顕著に押し上げていた生鮮食品を除く食料品価格は3月に前月比+0
日本銀行は3月19日にマイナス金利政策を解除するとともに、民間の金融機関が日本銀行に保有する預金である「日銀当座預金制度」も見直し、従来の階層型を廃止した。その結果、所要準備を超える超過準備については、一律に+0.1%の付利(利息)が適用されることになった。 従来の当座預金への付利は、-0.1%、0%、+0.1%に分かれていた。制度の見直しにより、日銀当座預金を保有する民間金融機関が得ることができる利子所得が増加する。そのため、民間金融機関は、日本銀行に国債を売却することなどを通じて、日銀当座預金をより保有するインセンティブを強めたのである。 日本銀行は4月16日に「業態別の日銀当座預金残高(2024年3月)」を公表した。3月の準備預金積み期間(3月16日~4月15日)中の日銀当座預金の平均残高は、実際のところ、556.8兆円と2月の533.9兆円から+3.7%の大幅増加となった。 日本銀
為替市場は政府の介入を試す動きを強める 4月15日の東京市場では、中東情勢の緊迫化を受けて株価が大きく下落した。また、中東情勢の緊迫化の影響で原油価格が上昇し、米国連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが遅れるとの観測を受けて、ドル高円安が一段と進んだ。先週、1ドル152円の節目の水準を超えてドル高円安が進んだが、15日の東京市場では、1ドル154円台目前の水準までドル高円安が進んだ。 さらに同日の米国市場では、米国3月の小売売上高が予想を上回ったことを受けて、1ドル154円台までドル高円安が進んだ。 日本政府は、1ドル152円程度を「第1防衛ライン」としてきたと考えられるが、「第2防衛ライン」と考えられる1ドル155円も視野に入ってきている。為替市場は、日本政府の為替介入を試す動きを強めている。 強まる「ドル独歩高」、「ドル1強」 ただし、足もとの為替の動きは、円安というよりもドル独歩高で
株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は企業等の情報システムにおいて、利用者のIDを適切に管理・統制するためのオープンソースソフトウェアmidPoint1(ミッドポイント)を活用した新たなサービスの提供をOpenStandia2(オープンスタンディア)にて開始しました。 近年、情報セキュリティの確保は企業が果たすべき重要な社会的責任とされています。クラウドサービスの利用や情報端末機器の多様化が進む中、各企業でIT統制(情報システムに関する内部統制)を実現することは、必須の経営課題となりつつあります。IT統制の実現に向けては、利用者のIDを適切に管理することが、これまで以上に重要な位置付けとなっています。昨今では、それに加えてIDを適切に統制することを表すIGA(Identity Governance & Administration)という概念で捉えることの重要性が提唱されています。 G
Retrieval-Augmented Generation (RAG) は、大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術のこと。 「検索拡張生成」、「取得拡張生成」などと訳されます。外部情報の検索を組み合わせることで、大規模言語モデル(LLM)の出力結果を簡単に最新の情報に更新できるようになる効果や、出力結果の根拠が明確になり、事実に基づかない情報を生成する現象(ハルシネーション)を抑制する効果などが期待されています。 (読み:ラグ) RAGの構成 RAGには大きく2段階のプロセスが存在します。 プロセス①:検索フェーズ ユーザから入力された質問に関連する情報を、データベースや文書から検索します。 プロセス②:生成フェーズ ①で得られた検索結果とユーザからの質問を組み合わせたプロンプトを大規模言語モデルに入力し、テキスト生成
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