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イエレン財務長官が日本の為替介入をけん制か 米国のイエレン財務長官は25日、ロイター通信とのインタビューで「市場が決定する為替レートを持つ大国」について、「介入がまれであることを願う。そのような介入がめったに起きず、過度な変動がある場合に限定され、事前に協議があることが期待される」と述べた。これは、円安を受けた日本当局がとり得る対応について問われた際の回答で、日本政府の為替介入をけん制する発言とも受け止められる。26日の日本銀行の金融政策決定会合後の為替動向次第では、政府は為替介入の実施を検討していると推測されるが、まさにその出鼻をくじくかのようなタイミングでの発言となった。 鈴木財務相は、先週ワシントンで開かれた日米韓財務相会議、G7会合、G20会合で「円安への懸念を共有することができたのは一つの成果」と評価し、さらに、「日本側から為替相場の行き過ぎた動きに適切な対応を取る考えも表明した
実質賃金上昇率が安定的にプラス基調となるのは2024年10-12月期 厚生労働省は8日に2月分毎月勤労統計を公表した。2月の現金給与総額は前年同月比+1.8%増加し、実質賃金は同-1.3%と23か月連続での低下となった。 春闘での賃上げ率は事前予想を大幅に上回ったが、その影響が毎月勤労統計の賃金に表れてくるのは、年央頃になるだろう。さらに、それが物価に与える影響が確認できるのは、夏以降となるだろう。 春闘の結果を受けて、ボーナスや残業代などを含まない、基調的な賃金部分である所定内賃金の前年比上昇率のトレンドは、現在の+1%台半ば程度から、今年後半には+3%程度にまで高まることが予想される。毎月勤労統計で実質賃金の計算に使われる消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)は、前年同月比でコアCPI(生鮮食品を除く消費者物価)よりも0.5%ポイント程度高い。 これらの点から、コアCPIの前年比上昇
春闘での賃金上振れが物価に与える影響に注目 4月5日付の朝日新聞は、「利上げ判断 夏から秋にも」との見出しで、植田日銀総裁の単独インタビューを掲載した。これが、同日の金融市場に大きく影響し、円高、株安が進んだ。 ここで「夏から秋」としているのは、今年の春闘での賃金の上振れが物価に与える影響を確認できる時期の目途を指している。ただし、インタビューの詳細を読むと、総裁は夏から秋の時期の追加利上げに直接言及している訳ではなく、発言と見出しとの間に乖離も感じられる。 植田総裁は、2%の物価目標達成の確度が高まることを示す経済データが得られれば、その確度の変化に応じて金利を調整していく、との考えを示している。この点から、春闘での賃金の上振れが物価に与える影響が想定以上であれば、日本銀行が比較的早期に追加利上げに動く可能性は確かにあるだろう。 他方で留意したいのは、植田総裁が「(物価上昇率が)2%を超
基調的な物価上昇率は緩やかな低下傾向が続く 総務省は3月22日に2月分消費者物価指数(CPI)を公表した。コアCPI(除く生鮮食品)は、前年同月比+2.8%と前月の同+2.0%から大きく上昇した。しかしこれは、前年2月に導入された政府の物価高対策の影響が剥落したことによるものであり、概ね事前予想に沿った結果であった。季節調整済前月比は0.0%と、2か月連続で低下している。 2月のCPIの前年比上昇率を1月分と比較すると、前年の物価高対策の影響で、エネルギーが0.93%ポイントの押し上げとなった。また、インバウンド需要宿泊料が+0.06%の押し上げとなった。他方で、生鮮食品を除く食料は-0.13%と押し下げに寄与した。 生鮮食品を除く食料は、昨年夏には前年同月比で+9.2%と2桁近くにまで達していたが、その後は2月の同+5.3%まで急速に低下している。海外から輸入する食料品原材料価格の上昇が
春闘での高い賃上げが日銀のマイナス金利政策解除を後押し 主要企業の間で高い賃上げでの妥結が相次いでいることを踏まえると、今年の春闘の賃上げを特に重視してきた日本銀行が、次回3月18、19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除に踏み切る可能性は、7割あるいはそれ以上にまで高まってきたのではないか。 筆者は、2013年4月に「量的・質的金融緩和」が導入された後、金融政策を決める政策委員会の審議委員として異例の金融緩和に一貫して慎重な姿勢で臨み、その修正を主張してきた。2016年1月のマイナス金利政策の導入決定の際にも、それは国債買い入れ策と矛盾し国債市場を混乱させる可能性があること、銀行の収益を悪化させ金融システムを不安定にさせるリスクがあることから、マイナス金利政策の導入に反対した。 こうした経緯を踏まえると、10年以上の年月を経てようやくマイナス金利政策が解除されることは、非常に感慨
株価大幅下落と強まる3月マイナス金利政策解除の観測 3月11日の東京市場では、日経平均株価が一時1,000円以上下落し、2月22日に34年ぶりに上回ったバブル期の最高値を一気に下回った。 足元まで急速に上昇してきた株価を調整させるきっかけとなったのは、先週末以来の円高進行だ。さらにその背景にあるのは、日本銀行のマイナス金利政策解除の観測と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が同時に強まったことである。 3月18・19日に開かれる金融政策決定会合で、日本銀行がマイナス金利政策を解除するとの観測が強まっているが、実際、その可能性は比較的高いと言えるだろう。 日本銀行が4月の決定会合まで政策変更を待つ理由としては、展望レポートの発表があると考えられる。展望レポートで新たに2026年度まで2%程度の物価上昇率が続くとの見通しを示すことで、2%の物価目標の達成という判断を強くアピールすることが
36 知的資産創造/2024年1月号 特集 生成AI時代の新たな社会 Ⅰ AI Ⅱ AI Ⅲ AI Ⅳ 2030 C O N T E N T S 要 約 知識の進化論: 生成AIと2030年の生産性 1 野村総合研究所(NRI)は、スイス連邦工科大学ダリオ・フロレアーノ教授らのメソド ロジーを応用し、日本の474職のデータを分析した。職業に関するデータは、厚生労働 省職業情報提供サイト「ジョブタグ」のデータを利用した。分析の結果、生成AIは従 来AIが苦手としてきた知識労働に強い影響を与える可能性が高いことが確認された。 2 生成AIは、プログラミングのようなスキルは人に迫る能力を有するものがあるが、知識 に関しては、学習不足や不完全さが指摘されており、スキルと知識との間にギャップが 生じている。今後、生成AIは、頻繁に更新を行う知識の領域と、スキルの領域とをシ ステム的に分割し、互いに影
NRI トップ ナレッジ・インサイト コラム コラム一覧 物価上昇率は低下傾向を辿るも実質賃金の増加は2025年後半に(1月CPI):2%の物価目標達成は難しい:日銀の政策転換が、円安・株高の流れを反転させる可能性も コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight 物価上昇率は低下傾向を辿るも実質賃金の増加は2025年後半に(1月CPI):2%の物価目標達成は難しい:日銀の政策転換が、円安・株高の流れを反転させる可能性も コアCPI上昇率は3か月連続で低下し1年10か月ぶりの水準に 総務省が2月27日に発表した1月分全国消費者物価統計で、コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価)上昇率は、前年同月比+2.0%となった。事前予想の平均値の同+1.9%程度をやや上回ったものの、3か月連続で低下し、2022年3月以来、1年10か月ぶりの水準となった。より基調的な物価
10-12月期も物価高の逆風で個人消費の弱さが続く 内閣府は2月15日に、2023年10-12月期のGDP統計(1次速報値)を公表する。日本経済研究センターのESPフォーキャスト調査が1月9日までに集計した37予測機関の予測平均では、実質GDPは前期比年率+1.2%だ。またNHKが2月6日に発表した12機関の予測平均は、前期比年率+0.4%~+2.5%である。前期比年率-2.9%と大幅減少となった7-9月期から増加に転じる見通しだ。 7-9月期の実質GDPは、在庫投資の減少、輸入の増加といった一時的要因によって大幅減少となった面が強い。しかし、実質個人消費、実質設備投資など民間内需はいずれも減少し、景気の弱さも併せて露呈された。 ESPフォーキャスト調査によれば、10-12月期は実質輸出が前期比+0.6%、実質設備投資が同+0.6%と、成長率を一定程度押し上げる見込みである一方、実質個人消
NRI トップ ナレッジ・インサイト コラム コラム一覧 実質賃金の上昇にはインフレ率のさらなる低下が必要(12月毎月勤労統計):政府は賃上げ要請よりも持続的に実質賃金を高める成長戦略の推進を 実質賃金上昇は2025年半ば以降に 厚生労働省が2月6日に発表した12月分毎月勤労統計で、現金給与総額は前年同月比+1.0%となった。持ち家の帰属家賃を除く総合消費者物価指数の前年同月比+3.0%を引いた実質賃金上昇率は前年同月比-1.9%と引き続き大幅な減少であり、個人消費を圧迫し続けている。 また、2023年の現金給与総額は前年比+1.2%、持ち家の帰属家賃を除く総合消費者物価指数の前年比は+3.8%となり、実質賃金上昇率は-2.5%と前年の-1.0%に続いて大幅減少となった。 政府や経団連などは、今年の春闘で30年ぶりとなった昨年を上回る賃上げ率の実現を目指しているが、仮に昨年の水準を多少上回
東京コアCPIは1年8カ月ぶりに2%割れ 総務省が26日に発表した1月分東京都区部CPI上昇率は、予想外に下振れた。生鮮食品を除くコアCPIは、季節調整済前月比-0.1%と低下し、前年同月比上昇率は+1.6%と前月の+2.1%から大きく低下した。日本銀行が物価目標とする2%を下回るのは、実に1年8か月ぶりのことであり、歴史的な物価高騰は節目を迎えてきた。 1月全国CPIで、コアCPIの季節調整済前月比が東京都区部と同様にー0.1%となれば、前年同月比は+1.8%とやはり2%を割り込むことになる(図表)。 1月分東京都区部CPIでは、様々な要因が前年比上昇率の低下に寄与した。12月分と比べて1月分の前年比上昇率に与えた影響は、エネルギーがー0.10%でそのうち都市ガス代がー0.08%、電気代がー0.02%となった。さらに宿泊料がー0.24%、生鮮食品を除く食料がー0.07%、通話料(固定電話
コアCPIの2%割れが視野に 総務省が1月9日に公表した12月分東京都区部消費者物価(中旬速報値)で、コアCPI(除く生鮮食品)は前年同月比+2.1%と前月の同+2.3%を下回った。2023年年初の1月コアCPIは前年同月比+4.3%であったが、そこからほぼ1年間で上昇率は半減し、2%割れが視野に入ってきた。物価上昇率は、予想を上回るペースで着実に低下してきている。 前月と比べてコアCPIの前年比上昇率を最も大きく押し下げたのはエネルギー価格であり、前年比上昇率を0.15%ポイント低下させた。また、生鮮食品を除く食料も、前年比上昇率を0.09%ポイント低下させた。生鮮食品を除く食料の前月比は0.0%と上昇に歯止めがかかっている。2023年4月には前月比+1.4%と大幅に上昇していたが、食料品メーカーの原材料価格転嫁の動きは一巡してきている。 サービス価格上昇率にも頭打ちの兆し 日本銀行は、
株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:此本臣吾、以下「NRI」)は、2023年5月~6月にかけて、日本・米国・ドイツ・中国(台湾、香港を含まない)の自動車運転免許保有者に対して、電気自動車(以下「EV」)の購入意向とその理由、非購入意向とその理由など、「EVシフト」に関するアンケート調査を実施しました。 このテーマでの調査は2017年に初めて実施し、2021年に第2回、そして今回は第3回にあたります1。2017年から2023年にかけて、「EVを購入したい」と思う消費者の割合は、中国・ドイツでそれぞれ13%ポイント・8%ポイント増加し、米国では26%から53%に倍増しました。一方、日本では6年間で4%ポイント増加と、ほとんど変化が見られず、地域間で消費者意向のギャップが拡大していることが明らかになりました。今回の調査から得られた主要な結果は、以下の通りです。
NRI トップ ナレッジ・インサイト コラム コラム一覧 減税・給付の総額は5.1兆円、GDP押し上げ効果は+0.19%:費用対効果は高くない(経済対策推計アップデート) 減税・給付の総額は5.1兆円 政府が現在検討している所得減税・給付金の対象は、大きく4つに分類できる。第1は4万円の定額所得減税と扶養家族一人当たり4万円の給付、第2は、住民税非課税世帯への7万円の給付(既に実施した3万円と合計すれば10万円)、第3は住民課税・所得税非課税世帯への7万円の給付(既に実施した3万円と合計すれば10万円)、第4は、所得税も住民税も収めているが、納税額が4万円未満で4万円の定額減税の恩恵を十分に享受できない個人に合計4万円の減税と給付金、となる。 第1については、対象となる納税者と扶養家族の合計は9,000万人程度とされる。彼らに4万円の給付が実施されると、その総額は3兆6,000億円となる。
インタビュー記事の解釈は誤っていたか 9月22日の金融政策決定会合で、日本銀行は大方の予想通りに政策維持を決めた。ただし、金融市場の関心は、会合での決定よりも会合後の総裁記者会見での発言に向けられていた。 2週間前の読売新聞のインタビューで、植田総裁が「年内にも政策修正の判断ができるようになる可能性はゼロではない」と発言したことを受けて、日本銀行の政策姿勢が変化し、マイナス金利解除の実施時期が早くなる、との見方が金融市場で強まったためだ。 インタビュー記事での発言の真意に関する総裁への質問は、さっそく記者会見の冒頭で幹事社によって出された。それに対する植田総裁の説明は、「政策姿勢に変化はない」ことを示すものであった。金融市場の受け止めについては「コメントを控える」としたが、「物価目標の達成がなお見通せない現状では、金融緩和を粘り強く続けていく」、「先行きの経済、物価の不確実性は高く、政策は
植田総裁のインタビューで円高、長期利回り上昇 11日の東京市場で、ドル円レートは円高方向に振れた。先週末の海外市場で1ドル147円80銭台まで進んだ円安は、1円程度円高に押し戻された。また、国債市場では10年国債利回りが、0.7%台まで上昇した。7月末に日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC)の運営柔軟化に踏み切って以来、利回りが0.7%台に乗せたのは初めてだ。この水準は9年8か月ぶりの水準である。 為替市場での円高、国債市場での利回り上昇のきっかけとなったのは、9日の読売新聞に掲載された植田日銀総裁のインタビュー記事である。そこでの発言が、年内等早期の利上げの可能性を示唆したとして、金融市場は反応したのである。 年内利上げの可能性を示唆か 植田総裁は、現状は「来年の賃金上昇につながるかどうか見極める段階だ」としたうえで、「(来春の賃上げが)十分だと思える情報やデータが年末までにそ
ハルシネーションとは、人工知能(AI)が事実に基づかない情報を生成する現象のことです。まるでAIが幻覚(=ハルシネーション)を見ているかのように、もっともらしい嘘(事実とは異なる内容)を出力するため、このように呼ばれています。 OpenAIのChatGPTやGoogle Bardのような会話型AIサービスでは、ユーザーの質問に対してAIが回答しますが、どのようなデータに基づき回答されたのかが分からない場合、それが真実なのか嘘なのか、ユーザーが判断することは困難です。ハルシネーションは、会話型AIサービスの信頼性に関わる問題であり、この問題を解消するために様々な研究が進められています。 ハルシネーションの種類 ハルシネーションは、「Intrinsic Hallucinations」と「Extrinsic Hallucinations」の大きく2つに分類できます。前者は学習に用いたデータとは異
進むロシアの軍需経済化 ロシア中央銀行は、ルーブルの下落に歯止めをかけるために、8月15日の臨時の金融政策決定会合で政策金利を一気に8.5%から12.0%に引き上げる大幅な金融引き締めを実施した。しかし、ルーブル安に歯止めをかけることには成功していない(コラム「歯止めがかからないルーブル安とロシア中銀の大幅金融引き締め」、2023年8月15日)。 そこでロシア政府は、輸出企業に対して獲得した外貨の一定割合を強制的にルーブルに交換させる資本規制を導入することを検討した。これは昨年一度導入し、ルーブルの安定に効果を発揮した施策であるが、企業の反対を受けて再導入を見合わせた。 年初からルーブル安に歯止めがかかっていないのは、ウクライナ戦争から1年が経過する中、ロシア経済が変質していることの反映でもある。ロシア経済はマイナス成長から脱しつつあるように見えるが、その背景には、先進国からの制裁逃れが広
ルーブル安、物価高、大幅利上げの三重苦 ロシア連邦統計局が8月11日に発表した2023年4〜6月期のGDPは、前年同期比で+4.9%となった。5四半期ぶりのプラス成長である。しかしこれは、ウクライナ侵攻直後であった前年同期に、ロシア経済が大幅に落ち込んだことの反動によるところが大きく、ロシア経済が本格回復に転じたことを示すものではない。 ロシア経済にとって差し迫った問題は、歯止めがかからないルーブル安、それによる物価高、さらに通貨防衛のための大幅利上げによる景気抑制の三重苦である。物価高や経済の悪化は通貨安に跳ね返り、それが物価高をさらに促すという悪循環に陥るリスクもある。 ロシア中央銀行は15日に臨時の金融政策決定会合を開き、政策金利を8.5%から13%へと一気に引き上げる措置を決めた(コラム「歯止めがかからないルーブル安とロシア中銀の大幅金融引き締め」、2023年8月15日)。消費者物
日本が経験した潜在成長率の低下とデフレ圧力 中国経済が、物価の下落と不動産価格の下落の「ダブル・デフレ」に陥るリスクが高まる中、バブル崩壊後の日本の経験が想起されている。中国も日本と同じような長期にわたる経済の低迷局面に陥るのでは、との議論が出ている(コラム「世界経済『静かなる危機』①:中国経済は日本化するか?(上):ダブル・デフレと深刻なディレバレッジ(資産圧縮)のリスク」、2023年8月8日)。 日本のバブル崩壊時と現在の中国経済の状況を比較すると、類似点は比較的多く見出される。最大の類似点は、ともに、潜在成長率が下方に屈曲する局面で生じていることだ。 日本は戦後の高度成長期の後、2回にわたるオイルショックなどを経て、潜在成長率は低下していた。潜在成長率の低下に寄与した要因の一つが、人口増加率の低下だった。年間人口増加率は、第1次オイルショックが起こった1970年代半ばの1.4%をピー
日本銀行は先手を打ってYCCの運営の柔軟化を決定 日本銀行は7月28日の金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(YCC)に運用を柔軟化する措置を決定した。本日の日本経済新聞が、日本銀行はYCCの枠組みを維持しつつも、10年国債利回りが変動幅の上限を上回ることを容認する案を日本銀行が決定会合で議論する、との観測記事を報じていたが、実際そのような決定となった。 従来、日本銀行は10年国債利回りの変動幅を0%の目標値から「±0.5%程度」としていたが、本日の決定では「±0.5%程度」を目途とする、とより柔軟化した。 これは、+0.5%を上回る利回り上昇を認めない姿勢を維持すれば、利回りが上昇して上限に接近する局面で日本銀行が大量の国債買い入れを強いられ、それが日本銀行のバランスシートを拡大させる、国債市場の機能を低下させる、事実上の財政ファイナンスの傾向を強めてしまう、といった形で副作
制裁緩和を求めロシアはウクライナ産穀物の輸出に関する合意から離脱 ロシアは7月17日に、黒海を経由するウクライナ産穀物の輸出に関する合意から離脱すると発表した。この合意は、ロシアの侵略で停滞したウクライナ産穀物の輸出を再開させることでアフリカなどの低所得国を支援し、また高騰した世界的な食料価格の安定を取り戻す目的で、昨年7月にトルコと国連が仲介して成立したものだ。 合意は昨年11月に120日間延長され、今年3月にも再延長された。合意は、当事者に異論がなければ自動的に延長される仕組みであり、延長期間は最短でも120日と定められている。しかし、ロシアは自国の国益を満たしていないとし、期限となった17日に合意からの離脱を表明した。 ロシア外務省は17日に声明を発表し、合意の一部として国連が約束したロシア産穀物・肥料の輸出障壁の撤廃措置が進展していない、と離脱の理由を説明した。さらにロシア外務省は
歴史的な物価高騰に3つのトリガー 多くの国で、消費者物価上昇率は既にピークを打ったように見える。しかし、なお高水準が維持されており、中央銀行は物価高が定着することを恐れて、金融引き締めを続けている。歴史的な物価高騰を経て、果たして世界は低インフレ期からインフレ期に構造変化を遂げたのだろうか。仮にそうであれば、低金利時代も終焉したことになる。 今回の物価高騰を引き起こした背景には、新型コロナウイルス問題、ウクライナ戦争、それらに対する政策面での対応がある。それらを受けて物価高騰の直接的なきっかけとなったのは、第1に原油など商品市況の上昇、第2にサプライチェーンの混乱による製品の供給制約、第3に感染リスクを受けたサービスから財への消費構成の変化、の3つである。ただしこれら3つともに、既に流れは変わっている。 原油価格は2022年夏にピークアウトし、その後は低下基調を辿っている。エネルギー、金属
食料品値上げの動きが鈍り始めたか 総務省が6月30日に発表した6月東京都区部消費者物価指数(CPI)は、事前予想と比べてかなり下振れた。コアCPI(除く生鮮食品)は前年同月比+3.2%と前月の同+3.1%を上回ったものの、事前予想の同+3.4%程度を大きく下回った。また、より基調的な物価動向を示すコアコアCPI(除く生鮮食品及びエネルギー)は、2か月連続で季節調整済前月比+0.2%と比較的低位に留まった。 さらに、コアコアCPIの前年同月比は+3.8%と、前月の同+3.9%から低下している。同指数の前年同月比上昇率が低下したのは、実に2022年1月以来1年5か月ぶりのことである。これは、基調的な物価上昇率にようやくピーク感が見られ始めたことを示唆していよう。 基調的な物価上昇率にピーク感が出始めたのは、食料品(除く生鮮食品)価格引き上げの動きがやや鈍り始めたことが理由だ。同価格は6月に前年
人口減少危機への対応として外国人受け入れを拡大 民間有識者による令和臨調は6月21日に、人口減少下で日本社会の未来像を提案する呼びかけ第一弾「人口減少危機を直視せよ」を公表した。この中で、「もはや少子化対策だけでは日本の急激な人口減少を食い止めきれない」として、「日本社会をますます開かれたものとし、外国出身者を含め、世界の多様な地域から集まった人々が力を合わせ、互いに学び合うことができる環境を整備したい」と謳っている。つまり、外国人の積極的な受け入れを、人口減少への対応策として打ち出しているのである。 国立社会保障・人口問題研究所が今年4月に公表した日本の将来人口推計(令和5年)では、中位仮定の下で、2070年の人口は8,700万人と、2023年の推計値1億2,441万人から30%の大幅減少となるとされた。 しかし、2070年時点の人口の推計値は、5年前の前回調査(平成29年)の8,323
原油価格下落による貿易・財政収支悪化がルーブル安に ロシアの通貨ルーブルの下落基調が続いている。昨年6月には1ドル60ルーブル台であったが、足元では80ルーブル台で推移している。2023年2月のウクライナ戦争開始直後に、ルーブルは対ドルで一時50%近くも急落したが、その後、政策金利を20%にまで引き上げる中央銀行の大幅利上げ策や、輸出企業にドルを中心に外貨の強制両替を一時的に義務付けるといった措置をとったことでルーブルの価値は持ち直し、昨年6月には戦争開始直前よりも逆に40%程度高くなっていた。 ルーブルの価値が再び下落に転じるきっかけとなったのは、世界市場での原油価格の下落だ。それは、ロシアのエネルギー輸出収入を減少させ、さらにエネルギー輸出収入に歳入の4分の1以上を依存する連邦政府の財政赤字を拡大させた。対外収支の悪化とそれに連動した財政収支の悪化が、一貫した通貨の下落を生じさせている
マイナス金利早期解除の期待は萎む 植田総裁のもとでも、日本銀行は直ぐには政策を見直さない、との見方が金融市場で強まっている。それが、為替市場で円安圧力を生み、株価の押し上げにも大いに寄与している。 国債市場で政策金利(短期金利)の先行きの見通しを反映する傾向が強い2年国債の利回りは、昨年12月に日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC)の変動幅引き上げを突如発表したことを受けて急上昇し、年末時点では0%を上回った。政策金利(短期金利)の早期引き上げの可能性を織り込んだのである。 2年国債の利回りは、年末から年初のピークで+0.04%まで上昇したが、足元では-0.07%程度と昨年10月頃の水準まで低下している。早期のマイナス金利解除への期待は萎んでしまったのである。 マイナス金利解除など、日本銀行が過去10年続いた異次元緩和の「枠組みの見直し」に本格的に着手するのは、まだ先のことだろう
概要 OpenAI社が2022年11月に公開したChatGPTは、公開2か月で世界のユーザー数が1億人に達するほど急速に拡大している。Openai.comへのアクセス数を見ると、日本からのアクセス数は4月中旬に746万/日に達し、トラフィックシェアは、米国、インドに次いで3番目に多い。 野村総合研究所(NRI)は2023年4月15~16日にかけて、関東に住む15~69歳を対象にネットアンケート調査を行った。それによると、回答者の61.3%がChatGPTを認知し、12.1%が実際に利用したことがある。性別の利用率を見ると、男性17.7%、女性6.2%で男性の利用率が圧倒的に高く、特に男性10代~30代では利用率20%を超えている。 職業別では、大学生・大学院生・専門学生(21.6%)、教職員(20.5%)と教育関係者の利用率が最も高く、会社役員(17.2%)、会社員(16.7%)の利用率が
実質賃金は12か月連続で低下 厚生労働省が5月23日に発表した3月分毎月勤労統計(確報)によると、現金給与総額は前年同月比+1.3%(前月は同+0.8%)となった。変動の激しい所定外給与(残業代)やボーナスなど一時金を含まない所定内給与は、同+0.5%(前月は同+0.8%)となった。 さらに、現金給与総額を消費者物価(持ち家の帰属家賃を除く総合)で割った実質賃金は、前年同月比-2.3%と大幅な低下となった。実質賃金が低下したのは、これで12か月連続である。ちなみに、2022年度の実質賃金は前年度比-1.8%と2年ぶりのマイナスとなった。 春闘での賃上げ率は予想外に上振れたが、それが本格的に賃金統計に表れてくるのはこれからである。それでも、実質賃金が前年比で上昇に転じるまでにはまだかなり時間がかかるだろう。 安定した推移を見せる所定内賃金上昇率は、春闘のベアと比較的近い動きを過去に示してきた
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