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人の心に染み入る美しい音楽をチェロで紡ぐ宮田大は、アルバムを制作するとき、その収録曲をレコーディングするのは一生に一度だけ、という覚悟で臨んでいる。「20代のときに弾いたバッハ」「40代のときのバッハ」「60代のときのバッハ」というような聞き比べができてしまう状況をつくりたくないのだという。 宮田大。2009年にロストロポーヴィチ国際チェロコンクールにおいて日本人として初めて優勝し、近年はヨーロッパのクラシック界における権威ある賞のひとつであるOPUS KLASSIK賞(2021年)を受賞するなど、国際的な評価の高い日本を代表するチェリスト。スイスのジュネーヴ音楽院卒業、ドイツのクロンベルク・アカデミー修了 だからこそ、「この歳の自分にいちばん合う音楽」と自信をもって言える作品を選んできた。そして36歳の今年、ラフマニノフの『チェロ・ソナタ』を、満を持して録音した。「いちばん好きな作品だか
ラグジュアリージュエラーTASAKIがブランド創業70周年を記念して、さまざまな取り組みを発表した。注目したいのは2010年にローンチして以来、ブランドのアイコンとして愛されている「バランス」シリーズの新作の数々だ。世界中でファンを擁する高い品質のパールとダイヤモンドは言わずもがな、進化を止めない革新性はどこから生まれるのか。ジャーナリスト本間恵子が考察する PR:TASAKI×T JAPAN BY KEIKO HONMA, PHOTOGRAPHS BY BUNGO TSUCHIYA<TRON>, STYLED BY YUUKA MARUYAMA<MAKIURA OFFICE>, HAIR & MAKEUP BY SAKI KOJIMA, MODEL BY MEO<AGENCY NOI>, EDITED BY MICHINO OGURA 記念すべき年にこそ手に入れたい、最上級の「バランス」
「まず食べたいものありきで旅先を決める」という贅沢な視点がいま、観光や食のシーンで熱い注目を集めている。日本各地で脚光をあびる大人のためのデスティネーションレストランを、ガストロノミープロデューサー・柏原光太郎が厳選して案内。第1回は、食材の宝庫・富山県氷見市で存在感を発揮する「成希」へ── 富山県・氷見市の「成希」での至福の一皿。真フグの白子、ヒラメのからすみ、わさび菜の寿司。クリーミーな白子にわさび菜のピリリとした味わいが合う いま脚光を浴びる「デスティネーションレストラン」とは ここ数年、地方に素晴らしいレストランがいくつも出来ていることに気づく。それらはデスティネーションレストランと呼ばれ、そこで食べるためだけにわざわざ出かけるレストランと定義される。そして、地方の豊饒な食文化をローカルガストロノミー、食を中心に据えた観光をガストロノミーツーリズムと呼び、いまや「食(ガストロノミー
ひたすらに技を究め、日本人ならではの繊細な美意識をジュエリーに映し出す。世界に誇れる優れたジュエリーが今、ひそやかに着実に日本で生み出されている。宝飾史研究の第一人者、山口遼が、潮流を成す注目の4人の作家とその作品を紹介する。第四回は、螺鈿や蒔絵を用いてモダンなジュエリーを生み出す永坂景子さんについて 20世紀の初めころ、西欧、とくにフランスやベルギーを中心として起きた美術の中に、アール・ヌーヴォーがあります。日本や中国などの美術に大きく影響を受け、流れるような曲線、左右非対称、動植物などの奇抜な具象のデザインを特徴とし、美術の様々な分野で広まりましたが、中でもジュエリーでは多くの名作が残されています。こうしたジュエリーは、その後の戦争やら過度の大衆化、工業化が進む中で消滅しますが、今また日本から、日本人ならではの素材、技術、デザインを生かした新しいジャポニスムともいうべきジュエリーが生ま
富山を代表する和菓子の老舗「薄氷本舗 五郎丸屋」。店構えから真摯に和菓子作りを受け継いできた矜持がうかがえる COURTESY OF GOROUMARUYA 富山には、知る人ぞ知る銘菓が揃う。老舗の鉄板から小粋なプチ菓子まで、新幹線で帰路につく直前にJR富山駅で購入できる、センスが薫る手土産4選をお届けする 《BUY》「薄氷本舗 五郎丸屋」 真綿に包まれた、工芸品のごとき銘菓 箱をあけるとご覧のように真綿に挟み込まれている。食べる前から繊細な味わいへの期待が高まる 茶の湯の世界で広く愛され、墨客の筆にも度々綴られるのが、宝暦2(1752)年創業で16代にわたり真摯な菓子づくりを受け継ぐ「薄氷本舗 五郎丸屋」である。箱を開けると、まるで繊細な磁器を扱うかのように、ふかふかの真綿が敷き詰められた様子に意表をつかれる。真綿をひらり捲ると、四季の風情をシンプルに意匠化した極薄菓子があらわれる。春に
有元流フライドポテトはほんのひと手間で、まわりがカリッカリッ。中はホクホク 情報が氾濫する今、私たちは“体によい”と言われればその食材を選び、反対ならやみくもに避けてしまっていないだろうか。例えば、揚げもの。おいしいけれど、“カロリーが高くてヘルシーではないから”、“太りたくないから”と控えている方も少なくないだろう。 「古い油を使っていたり、揚げてから時間が経ったりしたものは、油が酸化し、体にいいとは言えませんね。新しい油を使い、揚げ立てをいただけば、油の酸化は最低限で済むのです。だから、揚げものは家庭でするのがおすすめね」と有元さん。 「揚げる作業は大変と思われがちですが、調味に凝る必要はなく、油の力で素材の味を閉じ込めてくれるので、揚げるだけでおいしくなるんです」 まず大切なのは、油の選び方。「原料は何か、どうやって作られているかを知ってから選んで欲しいのです。ラベルにすべてが書かれ
PHOTOGRAPHS BY TAMEKI OSHIRO, STYLED BY TAKAHISA IGARASHI, HAIR & MAKEUP BY YOKO MATSUDA, TEXT BY JUNKO HORIE さまざまな役柄で俳優・柿澤勇人を観てきているせいか、初めて目の前にした素の彼が想像以上に若々しくて驚いたと伝えると、「いえいえ。10代の頃は逆に30代に見られることもありましたよ。ってことはあまり変わってないのかな?」と笑う彼は現在36歳。三谷幸喜脚本作品、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では源実朝を演じ、直近では今春、宮藤官九郎脚本、阿部サダヲ主演のドラマ『不適切にもほどがある!』で仲里依紗演じるTV局員の夫役で話題に。ミュージカルシーンでは本領発揮の歌声とダンスで視聴者を驚かせた。 またこの1 月からは三谷作・演出作品の舞台『オデッサ』で宮澤エマ、迫田孝也との3 人芝
日米精鋭のキャストとスタッフ陣による大作ドラマシリーズ『TOKYO VICE』の待望のSeason2が放送・配信される。中心人物の一人である刑事、片桐を演じるのは渡辺謙。ハリウッド進出から20年来となる彼が、クリエイティブな本作の現場について語る 出会いから生まれた宝物 今や日本を代表する俳優の一人として活躍する渡辺謙は、昨年、テレビデビュー40周年を迎えた。彼がまっすぐ突き進んできた俳優人生にはテレビドラマだけでなく、2003年の『ラストサムライ』での初の海外進出や舞台『The King and I 王様と私』で主演を務めるなど、努力や葛藤をしながら築き上げてきた輝かしい実績がある。その華やかな経歴の中から、“アレがあったからこそ今があると思える出来事を挙げるとしたら?”という問いに、率直に答えてくれた。 渡辺謙(以下、渡辺) いろんなことがリンクしているのだと思います。『TOKYO V
T JAPAN の定期購読につきましては、本年度より集英社の公式通販サイト「HAPPY PLUS STORE」でのお取り扱いとなっております。 お申込み時点で HAPPY PLUS STOREのT JAPAN 定期購読画面に表示されている号から、最新号発行ごとに、4号分(各号につき1冊)をご自宅にお届けします。金額は4号分で¥1200(税込)となります。発行月は3月/6月/9月/11月を予定しております。 <例①> 2023年3月号からお申込みの場合⇒2023年3月号、6月号、9月号、11月号の4冊(各号につき1冊)をお届け <例②> 2023年6月号からお申込みの場合⇒2023年6月号、9月号、11月号、2024年3月号の4冊(各号につき1冊)をお届け <例③> 2023年9月号からお申込みの場合⇒2023年9月号、11月号、2024年3月号、6月号の4冊(各号につき1冊)をお届け *バ
舞台上に現れる楽器は坂本が大学生の頃から惹きつけられてきた笙だけだ。当時の坂本は、ほかのどの日本の古典音楽も伝統文化も好きではないと公言していたが、雅楽にだけは「宇宙人の音楽のように感じて」関心を寄せた ©SANNE PEPER 『TIME』での宮田の存在は「自然」を象徴しているという。そして、アムステルダム公演では、夏目漱石の「夢十夜〈第一夜〉」に登場する「女」も表現していた。今回の日本公演では宮田は笙の演奏に専念し、初演より制作面で本作に関わるダンサーの石原淋がその「女」を体現する。 「初演の制作的な対応として、坂本さんとは密に連絡を取り合い、かなり深く掘り下げた対話をしてきました。今回は自身も出演するわけですが、たとえば神話や伝説に現れるような女性像、そういう比喩的な『女』、存在感としての『女』として捉えています。これまで田中泯のもとで訓練してきた身体性を通して、できることを精一杯や
坂本龍一が生前、全曲を書き下ろした最新にして最後の舞台作品『TIME』。3 月28日からの日本初公演を前に、ともにコンセプトを考案した高谷史郎、ダンサー田中泯をはじめとする出演者に、坂本とのクリエーションの経緯を聞いた 坂本龍一はアルバム『async』(2017年)のリリース後、「インスタレーションのための空間的な音楽」というそのコンセプトを発展させ、パフォーマンスとの境目のない舞台芸術として結実させたいと考えた。高谷史郎らとの協働により約4年間にわたって『TIME』の制作に取り組み、2021年のコロナ禍で全世界にストリーミング配信されたオランダ公演を経て、今春の日本初公演を前に2023年3 月逝去した 類いまれな芸術家として、同時代のオピニオンリーダーとして、生涯を通じて輝きを放った坂本龍一が世を去ってから1 年がたつ。奇しくもその一周忌となる日、坂本と高谷史郎(ダムタイプ)による最後の
アメリカン・フットボールのプロ選手から画家に転じたバーンズは、その生涯を通してアート界から無視され、つまはじきにされてきた。しかし、どう扱われようとも、彼はアイコンとして光り輝く存在になったのだ アーニー・バーンズの絵画《The Sugar Shack(シュガー・シャック)》(1976年)が、2022年にクリスティーズのオークションで予想以上の値で売れると、アート界から一躍注目されるようになった。 ERNIE BARNES, “THE SUGAR SHACK,” 1976, IMAGE COURTESY OF THE ERNIE BARNES ESTATE, ORTUZAR PROJECTS AND ANDREW KREPS GALLERY © ERNIE BARNES 1976年にアーニー・バーンズがダンスクラブで踊る人々の姿を描いた傑作絵画《The Sugar Shack(シュガー・シ
身にまとうものには、その人の思いや考え、ときに主義や信条や、生きる時代の空気までも映し出されるもの。自他ともに認める稀代のモード愛好者、ファッションライター・栗山愛以が、自らの装いや物欲の奥にあるものを、ゆるゆると紐解き覗き込む メゾン マルジェラ は1988 年、ベルギー出身のマルタン・マルジェラがパリで設立したブランド。日本の足袋に着想を得た「タビ」シューズはデビュー当初から展開されていて、ジョン・ガリアーノがクリエイティブ・ディレクターを務める今も、白いラベルを仮留めした 4 本の白いステッチと共にブランドのシグネチャーになっています。 私が最初に手に入れたのは、ミラノを拠点とするセレクトショップ、ディエチ コルソ コモとコム デ ギャルソンがコラボレーションしたショップで働いていた2000年代初頭だったような。近頃「Y2K」と名付けられているギャルファッションは完全スルーでコム デ
アンリ・マティスが晩年を過ごしたフランス・ニースにあるニース市マティス美術館ほかから、約150点もの作品が東京・六本木の国立新美術館に届いた。見どころは、日本初公開となる4.1×8.7mの切り紙絵の大作《花と果実》、そして1/1スケールで再現されたヴァンスのロザリオ礼拝堂だ ヴァンスのロザリオ礼拝堂内部の展示風景。主祭壇の右はタイル画《聖ドミニクス》、左側はステンドグラス《生命の樹》 PHOTOGRAPH BY NAOKO ANDO “Cette chapelle est pour moi l’aboutissement de toute ma vie de travail” (この礼拝堂は、私にとって一生の仕事の集大成である) マティスが最晩年に取り組み、こう語ったヴァンスのロザリオ礼拝堂。本展最大の見どころは、この礼拝堂の1/1スケールの再現展示にある。白い壁に掲げられたタイル画、切り
宇治茶の主産地と知られる京都。古くからお茶文化が息づく街であり、最近では、日本茶をさまざまなスタイルで楽しめる店が増えている。そこで今月は、上質なお茶時間を過ごせる店を紹介。第3弾は「冬夏」へ。 河原町丸太町「冬夏」 京都御所と鴨川に挟まれた住宅街に店を構える「冬夏」。築100年余りの広々とした日本家屋の一室、席数をあえてカウンター6席に絞り、日本茶をじっくり味わえる店造りがされている。 写真は、2煎目を淹れていただいているタイミングで出される一つめの菓子。この日は、植物性素材で作るタルトタタン 門構えも立派な日本家屋 ティールームでいただけるお茶は、農薬や化学肥料を使わない、オーガニックの日本茶のみ。日本茶専門店の多くは、いつも変わらぬ店の味を提供できるように、産地や品種、蒸し具合も様々な茶葉をブレンドする”合組(ごうぐみ)”を行っているが、こちらでは、あえて単一農園の茶葉を使用。農薬や
国立新美術館でのプレス内覧会にて、東京会場用の公式ビジュアルとともに。国立の美術館で漫画家の個展が開かれるのは、手塚治虫以来二人目
「ラデュレ」を皮切りに「オテル・ル・ムーリス」ほか、ミッシェル・トロワグロ率いる「オテル・ランカスター」と三つ星レストラン「ピエール・ガニェール」ではシェフパティシエを歴任。世界のグランシェフたちの信頼を得てガストロノミー界の檜舞台に登場し、現在はパリを拠点に、世界各地で活躍中の長江桂子さん。その精確で明瞭なレシピにはプロの間でも定評あり。家庭で楽しむお菓子においては、誰もがつくりやすく、砂糖やバターの量をギリギリまで減らし、味わい深く食べ心地は軽やかなレシピを提案している。基本のレシピをマスターしたら、風味や形を変えてさまざまに楽しめるアイデアも。これさえ覚えておけば、お菓子づくりには...
※本記事の内容は、取材時点の情報になります。最新の情報は公式サイトをご確認ください さまざまな立場から眺める「家族の絆」を紡ぐ映画『ベルファスト』故郷への郷愁や家族との思い出をみずみずしく描く バディはベルファストに住む9歳の少年。両親と兄、近所に住む祖父母とともに、毎日を楽しく過ごしていた。しかし1969年8月15日、突然暴動が勃発し、穏やかで平和だったバディの世界は瞬く間に荒れた世界へと変わってしまう。住民皆が顔なじみで、まるで一つの家族のようだったベルファストの街は、この日を堺に分断されていく。暴力と隣り合わせの日々を過ごすバディ一家の内部でもさまざまな事件が起き、故郷を離れるかどうかの決断を迫られることになる。 本作は第94回アカデミー賞®で脚本賞を受賞し、作品賞など7部門にノミネートされた。バディを演じたのは本作が長編映画デビューで北アイルランド出身のジュード・ヒル。母親はアイル
滋賀についてリサーチするなかで知り得たのは、土地の人々は「湖」を「ウミ」と呼ぶということ。なるほど、実際に訪れて納得した。湖岸を走る国道から見え隠れする水面の煌めきは、どこまでも果てしなく続いている。美味しい朝ごはんを目指して、まずは湖西へと向かいたい。 “近江の厳島”と絶品朝ごはん《SEE》 「白鬚神社(しらひげじんじゃ)」湖中に鳥居を構える、近江最古の神社へ 刻々と表情を変える空と漣(さざなみ)に抱かれ、動かざる大鳥居に心を奪われる(写真は国道の対岸より撮影) “近江の厳島”とも呼ばれ、創建以来2000余年の歴史を誇る近江最古の大社「白鬚神社」。琵琶湖から浮かび上がる朱塗りの大鳥居を目にしたいと心躍らせ、早朝にホテルを発つ。湖岸沿いの国道を走る車窓から、鳥居の姿が輪郭を表した感動は筆舌に尽くし難い。旅のリサーチをする段で何度も目にしたはずなのに、湖面を渡たる風や空を流れる雲のリアリティ
「SLIT PARK」の一角には休憩や飲食はもちろん、トークイベントの観覧にも使える階段などが用意されている 吉川がリノベーションを手がけ話題となったのはこれが初めてではない。2018年には九段下にある築100年近くになる旧山口萬吉邸を、つくられた当時の姿そのままにリノベーションし「kudan house」と名付けた。アートやファッション関連のプログラム、世界的ブランドの取締役会などさまざまな形で活用される話題のヴェニューだ。吉川がランニング中に廃屋同然となっていた同邸宅を見つけ、所有者に連絡を取りリノベーションと20年間の期限つきでの運営を任された。懇意にしている建築家の隈研吾らに相談をしたところ「できるだけ変えず、元に戻したほうがいい」と言われ、LED照明への切り替えは行なったものの、照明の外装や建物の外観は竣工当時と同じになるよう心がけた。 この「kudan house」以後、吉川は
圧倒的な存在感に目を奪われる「ZIG-ZAG」 一度見たら忘れられない、その名の通りジグザグとしたユニークなフォルムの「ZIG-ZAG」は、オランダのモダニズム建築の巨匠、ヘーリット・トーマス・リートフェルトが手がけたもの。“椅子の究極の形”として取り上げられ、これまで多くのデザイナーに影響を与えてきた作品であり、1934年に発表されたとは思えないほど常に新しい感動を与えてくれる。 「ZIG-ZAG」¥385,000/カッシーナ・イクスシー COURTESY OF CASSINA IXC. 水平・垂直・直線が特徴的なリートフェルトらしいデザインで、アート作品のような見た目からは想像がつかないほどの、座り心地の良さと頑丈さも長く愛せるポイント。4枚板の組継ぎを隅木で補強するというカッシーナの優れた木工技術を用いており、一切金属のジョイント類を使用していないミニマルさも美しい。 COURTES
国内外で活躍する奈良美智の大規模個展『奈良美智: The Beginning Place ここから』が青森県立美術館で開催されている。東日本大震災後に試行錯誤しながらたどり着いた新たな境地とは? 故郷である青森でしか見られない展覧会に込めた思いはどんなものなのだろうか 奈良美智 なら・よしとも●1959年青森県弘前市生まれ。1987年愛知県立芸術大学大学院修士課程修了。1988年渡独し、’93年まで国立デュッセルドルフ芸術アカデミーで学ぶ。欧米や日本で作品を発表しつづけ、2000年にドイツから帰国。2001年、日本で初の大規模な個展『I DON’TMIND, IF YOU FORGET ME.』を開催。2012〜’13年には東日本大震災を経て再考された個展『君や 僕に ちょっと似ている』が全国3カ所を巡回。今回の展示以外にも海外での大規模な展覧会が続々と決まっている。 奈良美智にとっての「
滋賀についてリサーチするなかで知り得たのは、土地の人々は「湖」を「ウミ」と呼ぶということ。なるほど、実際に訪れて納得した。湖岸を走る国道から見え隠れする水面の煌めきは、どこまでも果てしなく続いている。美味しい朝ごはんを目指して、まずは湖西へと向かいたい。 《SEE》「白鬚神社(しらひげじんじゃ)」 湖中に鳥居を構える、近江最古の神社へ 刻々と表情を変える空と漣(さざなみ)に抱かれ、動かざる大鳥居に心を奪われる(写真は国道の対岸より撮影) “近江の厳島”とも呼ばれ、創建以来2000余年の歴史を誇る近江最古の大社「白鬚神社」。琵琶湖から浮かび上がる朱塗りの大鳥居を目にしたいと心躍らせ、早朝にホテルを発つ。湖岸沿いの国道を走る車窓から、鳥居の姿が輪郭を表した感動は筆舌に尽くし難い。旅のリサーチをする段で何度も目にしたはずなのに、湖面を渡たる風や空を流れる雲のリアリティを伴い、目の前に広がる情景は
1990年代初頭の黎明期よりインターネットに関心を持ち、インターネット・ライブを実施するなど、作品へのメディア・テクノロジーの導入を積極的に行い、最先端技術を駆使した前衛的な音楽表現で魅了してきた世界的な音楽家、坂本龍一。2023年3月に逝去した坂本が遺した作品の数々は、メディア・アートの分野に多大なる影響を及ぼし、今なお、多くのアーティストにインスピレーションを与えて続けている。 Photo by Neo Sora ©2022 Kab Inc. 12月16日(土)より NTT インターコミュニケーション・センター[ICC]でスタートする「坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア」は、そんな坂本の軌跡を辿る展覧会。坂本と親交の深かったライゾマティクスの真鍋大度を共同キュレーターに迎え、坂本が残した演奏データをもとにした作品のほか、Strangeloop Studios、高谷史郎、ダム
BY KURT SOLLER, PHOTOGRAPHS BY LUIS ALBERTO RODRIGUEZ, STYLED BY CARLOS NAZARIO, TRANSLATED BY MIHO NAGANO ドレス(参考商品)/セリーヌ バイ エディ・スリマン セリーヌ ジャパンTEL.03-5414-1401 リング〈18KWG、ダイヤモンド〉¥9,966,000/ヴァン クリーフ&アーペル ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク TEL.0120-10-1906 イヤリング/本人私物 彼女の話を始める前に、まず最初にこれを言っておきたい。デュア・リパは今、彼女の3枚目のアルバムの製作の仕上げに入っている。このアルバムは2024年発売の予定だ。ミュージシャンがレコードの発売日を発表しても、実際には期日どおりにリリースされずに遅れるのが業界の常だが、リパはほぼ確実に期限どおりに仕事を
建築の骨格となる「構造デザイン」に焦点をあてた展覧会『感覚する構造 - 力の流れをデザインする建築構造の世界 -』の見どころを紹介。構造デザインの魅力や建物の奥深さを余すところなく知ることができる貴重な機会だ 建築家の伊東豊雄と構造家の佐々木睦朗との協働による「瞑想の森 市営斎場」の構造模型 建築関連の展覧会と言えば、デザインや思想、機能性、サステナビリティなどに焦点を当てたものが多い中、建築の骨格となる構造デザインに着目した稀有な展覧会『感覚する構造 - 力の流れをデザインする建築構造の世界 -』が、天王洲のワットミュージアムで開催中だ。 特に地震の多い日本では、7世紀末に建てられた法隆寺五重塔の耐震設計が今でも話題になるほど、古くから構造デザインが重要視されてきた。特に今年は1923年の関東大震災から100年という節目の年でもあり、この展覧会が構造デザインについて学ぶよい機会になるはず
IT分野で活躍するビジョナル取締役CTO・竹内真氏が収集する現代アートと家具を鑑賞できる『TAKEUCHI COLLECTION 「心のレンズ」展』。アートはもちろん、インテリアに興味のある人にとっても見逃せない展覧会だ ピエール・ジャンヌレ《フローティングバックチェア》のインスタレーション 天王洲にある現代アートのコレクターズミュージアム「ワットミュージアム」では、展覧会『TAKEUCHI COLLECTION 「心のレンズ」展』が開催中だ。 ワットミュージアムは美術品の保管サービスを業務のひとつとして行う寺田倉庫が運営する芸術文化発信施設で、作家やコレクターから預かっている貴重なアート作品を中心に公開する世界でも珍しいミュージアムとして知られる。これまでもアートコレクターの桶田俊二・聖子夫妻や、大林組代表取締役会長の大林剛郎など国内有数のコレクターが所蔵するアートコレクションが、ワット
7月に出版された『大丈夫、私を生きる』が話題だ。著者は、「トリーチャー・コリンズ症候群」という難しい病気とともに生きてきた山川記代香さん。本書は、過酷な治療を乗り越え、周囲の偏見とも闘いながら、彼女が生きてきた軌跡が綴られた感動の一冊。そこには不寛容社会で生きる私たちが学ぶべき、生きるヒントがあった 自分の言葉で病気のことを伝えていきたい 顔の骨が正しく発育せずに、顔がうまく形成されない――。約5万に1人が発症するという病気「トリーチャー・コリンズ症候群」。本書の著書・山川記代香さんは、生まれたときからこの難しい病と闘っている。 この病気のたいへんさは、過酷な治療に加え、見た目で大きなハンディキャップを背負うことだ。子どもの頃から、外に出れば、「怖い」「へんな顔」と指差され、残酷な視線の凶器にさらされてきた。数え切れないほど傷つく中で、人の目を避けるように生きてきた山川さん。しかしそんな彼
福岡の伝説のホテル「ホテル・イル・パラッツォ」がこのたび、リニューアルして再生。1989年のオープン当時、ここを手がけた内田繁が描いていた街づくりとはどのようなものだったのか。それはどのように継承され、現代に甦ったのかを現地に赴き、考察した 10月1日、伝説のホテル イル・パラッツオが甦った。ホテル イル・パラッツオは1989年、九州きっての繁華街、福岡中州地区に隣接する春吉地区に誕生した。戦前は夜の盛り場として賑わったものの、戦後は廃れていた春吉地区に、ホテルだけをデザインするというより、街づくりの起点として計画がなされた。インテリアデザイナーの内田繁によるディレクションのもと、建築をイタリア人建築家のアルド・ロッシが手がけ、ホテルインテリアと客室、家具類は内田繁と三橋いく代が、バーをアルド・ロッシ、エットーレ・ソットサス、ガエターノ・ペッシェ、倉俣史朗がデザイン。綺羅星のごとくデザイナ
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