オバマ政権の対イスラム国戦争は、イラクにおいては一定の進展を見せているものの、シリアにおいてはますます混乱を助長させており、状況はむしろ悪化している。オバマ政権は早くも対シリア戦略の見直しを迫られており、その過程で国防長官を解任した。しかしその間にもイスラム国の影響力は中東から世界へと拡散している。 戦略の誤りを指摘した国防長官が解任 2014年11月13日に米下院の軍事委員会で証言したチャック・ヘーゲル国防長官(当時)は、「イラクとは違いシリアには、我々が協力すべきパートナーの政府がおらず、通常軍隊のパートナーもいない。だから我々のシリアにおける短期的な軍事作戦は、ISIL(イスラム国)のセーフ・ヘイブン(隠れ家)を孤立させ破壊することに限定される(中略)我々のシリアにおける戦略は、結果を出すまでに時間、忍耐、根気を必要としている。シリアにおける目標をすぐに達成することは出来ない」と述べ