【ロンドン坂井隆之】英国で20年ぶりに新設が計画されている原子力発電所プロジェクトの先行きに暗雲が垂れこめている。福島第1原発事故の影響で安全対策費が膨らんだ上に、採用予定の原子炉に欠陥が見つかっているためだ。事業主体の仏企業は近く最終的な投資判断を下す方針だが、「巨大なリスクを抱える」との不安が英仏双方で広がっている。 問題の計画は、英南西部サマセット州に建設予定の「ヒンクリーポイント原発」。仏政府系電力大手EDFが事業主体となり、2025年の稼働を目指している。 計画は当初から誤算続きだった。事業費はEDFが00年代末に受注した当初、120億ポンド程度(約1兆9300億円)と見込まれていた。だが11年の福島第1原発事故を受け、安全対策費が増加。さらに、ヒンクリー原発で使用する予定の欧州加圧水型炉(EPR)に強度不足などの問題が発覚し、これらの対策で事業費は180億ポンドまで膨らんだ