同一の天然素材が薬用にも食用にも利用されていることがある。古くから「薬食同源」という言葉で表わされるように、薬と食の関係にはその源が同一であるという側面がある。図1に示すように、我々の祖先は天然資源の中から「食べられる物」、「薬になるもの」、「食べ物にも薬にもなるもの」を選び出してきた。ところが、素材が共通であるにもかかわらず、薬として扱われるか、食として扱われるかによって法的な規制や規格基準には大きな差異がある。 実際、生薬・漢方薬の原料となる天然素材の中には、わが国の薬事法で定める「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」1)に収載されていないものがあり、これらは医薬品的効能・効果を標榜しない限り食品として利用することができる。たとえば、強壮薬として知られる朝鮮人参(オタネニンジン)のほか、イチョウ葉、エキナセア、エゾウコギ、セイヨウオトギリソウ、ノコギリヤシなどが該当する