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ブックマーク / active-galactic.hatenablog.com (14)

  • ヒッグス粒子をちゃんと理解するにはどのくらい必要? - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    今回のノーベル物理学賞は大方の人に予想されたように、ヒッグス機構、あるいは特に貢献した人の名前をとってBrout-Englert-Higgs機構(以下BEH機構)に関するものだった。そのうちの一人であるBroutは残念ながら2011年に亡くなってしまったが、50年近い歳月を生き延びたEnglertとHiggsの2人が見事栄冠を勝ち取った。 「ものにはなぜ質量があるのか」という問いに対する重要な解答であり、実験的検証とその理論的な柱であるBEH機構は当然ノーベル賞に値する。 受賞自体に学術上の意味は無く、成人式のように予定された社会的通過儀礼だ。受賞したことで理論の精度が高まるわけではないし、2012年の「発見」も人間が決めた基準にすぎない。数日前と今で理論の輝きに変化はないが、それでも一区切りついたようで実に感慨深い。 標準理論:恐るべき理論の怪物 BEH機構は素粒子標準理論の重要な一角を

    ヒッグス粒子をちゃんと理解するにはどのくらい必要? - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常
  • 天体衝突とはどのような災害か - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    図0. 地球に衝突する小惑星の想像図(直径10km) 最近、ロシアの大火球で1000人以上の負傷者が出た。直後に小惑星2012 DA14が地球をニアミスするなど天が慌ただしい。 天体衝突は小さな天体でも巨大な擾乱を引き起こす。生み出された衝撃波の威力に驚いた方も多いだろう(図1)。原子爆弾と同程度のエネルギーが解放されたが、高高度で爆発したため数十キロ圏に薄まった影響で済んでいる。 居住地に落ちることは珍しいが、今回の衝突は20年に1回くらい地球のどこかで起きている。日に限定するなら20000年に1回くらいの事象だろう。*1 図1. 爆風の強度 (上) 響き渡る衝撃波の轟音 (下) 音はないが、物を吹き飛ばして屋内に吹き込む爆風の強さがみてとれる。この風の強さから衝撃波のエネルギーを類推することが出来る。 天体衝突は流れ星から大量絶滅まで幅広いが、ハザードの規模やリスクについて大まかに触

    天体衝突とはどのような災害か - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常
    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2013/02/16
    はごろもフーズこわい/相対的に大気とかどうでもいいぐらい質量があるので、丸いものがつっこんできてそのままべちゃっと生卵みたいにつぶれるイメージ。
  • 温度とは何か:負の絶対温度をめぐる疑問など - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    ひと月ほど前に流れた「負の絶対温度」のニュースに関して、興味をそそった反応をリストアップしておこう。 最初に、「永久機関が実現する!!!」みたいな反応は >/dev/null 2番目に、「負の温度がわからん」と言っている人がいる。ただ、このうち何パーセントが「正の温度」の定義を説明できるだろう。 3番目に、物理クラスターの一部だが、永久機関の実現といった誤解を打ち消すために、「レーザーの反転分布と同じ(笑)」などと、この研究の新奇性や研究グループ自体を過小評価する方々がいる。 この研究グループは、光格子を操ることにかけては世界最強クラスの実績がある。光格子における超流動Mott絶縁体転移や、量子気体顕微鏡による光格子1サイト内の原子観測といった、数々の偉業を達成している。また、多数の理論屋が在籍しており、理論面の基礎でミスを犯す可能性は低いだろう。既存体系を覆すような大発見ではないとはいえ

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  • 「質量に起源は必要か」 - 記者会見を控えた今、ヒッグス粒子を理解する - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    【告知】2012年7月4日16時(JST)に、欧州原子核研究機構CERNがヒッグス粒子探索の最新結果について記者会見をするそうです。2011年末の発表では、”大変興味をそそる示唆”がみられたため、はるかに統計を増した今回の記者会見は期待が高まります。【ヤッター】 単純に「物には質量という生来のパラメタがある」で終わらせずに、複雑怪奇な「質量の起源」を外から持ってくるのはなぜだろう。 「前者のほうがはるかにシンプルな説明だ。何のために?」そう思うかもしれない。 ところで、わかりやすい説明は難しい? A. たぶん難しい。 何かの拍子に、質量の起源やヒッグス粒子に興味をいだいて検索すると、原子炉に穴を開けてしまったかのように、よくわからないものが次から次へと吹き出してきて困惑することになる。 式で書けば数行で正確に表現できても、式を解説するには何冊も必要になる。自然言語で手短に話せばポエティック

    「質量に起源は必要か」 - 記者会見を控えた今、ヒッグス粒子を理解する - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常
    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2012/07/04
    興味深い
  • スーパーアース:文明が宇宙に満ちる前に - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    数日前、巨大地球型惑星と推測される天体の発見が学会で報告された。巨大地球型惑星(スーパーアースと呼びたいヒトがいるらしい)の報告は少しずつ増えてきており、もうすこしサンプル数が増えれば統計的な議論もしやすくなる。 惑星には木星みたいな巨大ガス惑星と、固い岩盤がむき出しになった地球型惑星の2種類が存在する。基的に半径(測定できれば)や質量や環境などからそう推測しているに過ぎないが、今回報告されたのは地球と同じように表面が海や岩盤で構成される惑星分類群だ。発見された天体の質量は、探索手法の特性に起因するものであるが、いずれも地球の数倍から数十倍程度の質量を有し、スーパーアース発見として盛んに宣伝されている。 これらのスーパーアースの中には、異論はあるにせよ、液体の水が存在でき生命の生存に適した領域であるハビタブルゾーンに存在すると推測される天体も含まれている。典型例として地球の10倍の質量、

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  • 太陽はどの方角に沈むか、任意の天体で - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    大学生の25%が日没の方角を知らないというニュースだが、私も任意の天体における東西南北の定義をちゃんと把握していないので五十歩百歩だ。金星や天王星やトリトンみたいな例を即答できない。 北の定義とは? 何人が即答できるか 金星は自転と公転が逆だ。 (A)『一般に回転体の北極は角速度ベクトルの方向(その極からみると反時計回りに見える方向)として与えられる。自転軸(北)は公転面に対して177度傾いており、北極と南極の位置が地球からみて逆立ちしている。金星で太陽は西に沈む。』という解釈 (Fig1)が私にはしっくりくる。この北の定義は公転しない浮遊惑星にも適応できる。 Fig1. 金星と地球の自転公転関係 しかし、(B)『北極は公転面に対して地球と同じ側とする。自転軸の傾きは3度であり、周期マイナス243日の逆回転をしている。金星では太陽が西から昇って東に沈む。』みたいな解釈も見た記憶がある。北を

    太陽はどの方角に沈むか、任意の天体で - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常
  • 宇宙の果てや加速膨張はどう観測されるか - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    宇宙をのぞきこんだとき、最も深い世界はどう見えるだろうか。 Hubble Ultra Deep Field ちょうど2011年のノーベル物理学賞が『宇宙の加速膨張』になったので、現在観測される宇宙の全体像について簡単に触れてみよう。例えば次のような誤解を聞くが、実際はどうなのだろう。 誤解の例 同じ大きさの物体は遠くにあるほど小さく見える。 100億光年はなれた銀河は、100億年前に100億光年離れた場所にあった。 宇宙は光速で膨張している。 宇宙が2倍になると原子の大きさも2倍になる。 A. 超遠方宇宙の概要 宇宙といえど無限の奈落ではない。夜空を見上げた視線は観測可能な宇宙の果てにつきあたる。超遠方の天体は宇宙の果てに近いほど次の性質を示す。 若い 赤い 時の流れが遅い 大きく見える 暗い A1. 遠い宇宙は若い 遠い宇宙は太古の宇宙だ。遠い宇宙から地球に光が届くのには時間がかかる。遠

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  • 新たなニュートリノ・アノマリー - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    すでに衆知のことだけど、CERNで生成したニュートリノビーム(CNGS beam)を使ったOPERA実験において、ニュートリノの速度vを測定したところ、真空中の光速cより有意に速いというセンセーショナルな結果が得られた。 よく分からない結果が出てあーだこーだ議論する状況は、多数の研究者が参加した大プロジェクトでもある話だが、想像以上にメディアの反響があり、あっという間に世紀の大ニュースになって驚いている。 実験の要点 実験に関して重要そうなポイントは、以下を含めた多くの方に語られてしまった後なので、あまりしゃべることがない。 光よりも速く : 大栗博司のブログ 大栗さん 科学と報道の間で (ニュートリノの速度と光の速度) : 油断するなここは戦場だ 野尻さん http://journal.mycom.co.jp/articles/2011/09/25/neutrino/index.html

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  • 1kgの鉄と1kgの鉄、どちらが重い? - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    同じ質量の綿と鉄はどちらが重いか。 この問題は簡単ではない。どんな質量の綿や鉄を想定するかによって答えは違う。例えば、1000億太陽質量の鉄と綿だったら両者とも即座にブラックホールだ。両者の終状態はほとんど変わらない。ブラックホールは元の天体が持っていた個性をベリベリと引き剥がしてしまう。 では、もっと質量を減らして1億地球質量だったらどうか。 1億地球質量の綿と1億地球質量の鉄、どちらが重い? だいたい恒星質量の上限域に相当する。300太陽質量だ。 綿は自己重力で潰れていき、位置エネルギーの解放によってどんどん温度を上げる。中心部の温度は100万Kを超え水素の核融合が起こる。巨大な赤ちゃん星の誕生だ。莫大なエネルギーが発生し物質が宇宙空間に激しく流出する。ただし、綿は質量の大部分を炭素と酸素が占めており、恒星と白色矮星の中間のような組成だ。わずかな水素を使い果たすまでは延命すると予想はし

    1kgの鉄と1kgの鉄、どちらが重い? - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常
    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2010/12/14
    ※欄が大豊作。。。
  • ベテルギウスの最期:超新星の兆候とその威力 - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    最近、オリオン座のベテルギウスに関して"刺激的な"タイトルのニュースが流れた。オリオン座は覚えやすく都会でも楽しめる手軽な星座だ。そのオリオンが肩を壊すかもしれないとなれば書かざるを得ない。 重い星の死 天蓋にぶら下がる星々は永遠の存在ではなく、だいたい数百万年から数兆年の寿命で移ろいゆく。ヒトの死が多様であるように、星の死にもまた個性がある。それは体重や組成、相方の有無などによって決まり、静かに冷たくなることもあれば、木っ端微塵に吹き飛ぶこともある。ベテルギウスのような重い星は、超新星と呼ばれる大爆発によって焼死する。爆発の閃光はひとつの銀河に匹敵するほどであり、ベテルギウスのような至近爆発ともなればどのような状況が生じるのか興味は尽きない。そして、爆発はどのくらい差し迫っているのだろう。 どのような超新星を起こすのか ベテルギウスは水素をたっぷり含んだ赤色超巨星なので、もし今爆発するな

    ベテルギウスの最期:超新星の兆候とその威力 - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常
    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2010/02/14
    ハッブルたんとか、人工衛星への言及がないけどだいじょぶなのかな。
  • もっと普及すればいいのに - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    「きっと、これ使っている人は少ないだろうなあ」とあきらめつつも、「便利なのに・・・」と普及活動したくなるものってありますよね。 以下、あったら3%くらい生活が便利になると信じている何か。 人感センサー付ソケット 人が来たのを感知すると自動的にスイッチが入る3000円くらいのソケットがあると、家に帰ってから暗闇の中でゴキブリのように壁に手を這わせながら、スイッチを探さなくて済む。ドアを開けた瞬間に明るくなり、勝手に消えてくれるので、そのまま部屋まで素通りすればいい。 室内灯での利用についてはもうすこし評価を待ちたい。PCやを読んでいるときに寝てしまったら勝手に消灯してくれるような仕組みは無いものかと前から考えていて、どこかのwebサイトとホテルにすこし感化され、淡白な昼光色の天井灯による一望監視から、あやしい間接照明のクラスターにかえた際に導入した。部屋の幽霊に手を振らなくて済むような20

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  • 「しりとり」の戦いかた、すこし反省した - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    「しりとり」は経験者人口が極めて多いゲームだけど、鬼神のごとき強さで他を圧倒するしりとりプレイヤーを私は知らない。ちょっと真剣に戦ってみたところで、 そんな程度のレベルで満足していやしないか。 さいしょは「る」の同字返しでガッチリ組み合う。先に「る→る」のストックが切れて、「る」で返せなくなったほうがひたすら「る攻め」で投げられ続ける。 小学生の時から進歩していないような、こんな大雑把でマンネリな「る攻め」戦略から脱却できないものか。 攻撃防御比最大の最強文字「る」 復習。周知の事実だが「る」は強い。 下の表は、[A](文字Xで終わる単語)と、[B](文字Xではじまる単語)をその比[A/B]の高いものから順にリストしたものである。標の単語数は20万語であり豚辞書から、伸ばし棒をトリムした上で抽出した。*1 文字X[A]Xで終わる単語[B]Xで始まる単語[A/B] 1位る43235208.

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    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2009/05/05
    のちほど
  • 南部陽一郎の講演でスヤスヤ寝ていた私がノーベル賞研究を解説する準備をはじめてみる - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    南部の講演は、むかしNHKでやっていたリラクゼーション番組「宇宙デジタル図鑑」並みの寝心地。それはさておき、 人物評:南部陽一郎、伝説上の怪物 なぜ「大してうれしくないか」- 白のカピバラの逆極限 S144-3 「南部先生にノーベル賞が出せるとはノーベル賞も箔がついたなあ。」 まさかの在庫処分、もとい残弾撃ちつくしセールからはや2日がたった。何よりこのタイミングで南部さんが受賞した衝撃は世界中を駆け巡った。祝杯だの飲み会だので家に帰ったのは午前6時、ドイツの共同グループからお祝いのメールが届いていた。獲らせないと差し障りのある方々が当に獲ってしまって、事後感というかなんだかポッカリと穴の空いた気分だ。来年からwktkできるか不安になる。 彼の格付けについては人によって色々な見方があるとはいえ、地球上に現存する物理学者の頂点、歴史上を含めても特に際立った業績を残した偉人と言って過言ではない

    南部陽一郎の講演でスヤスヤ寝ていた私がノーベル賞研究を解説する準備をはじめてみる - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常
  • 昔は神童、二十を過ぎればただの天才について - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常

    3次元の結晶模型を使って、ブラックホールの内部構造を「紙と鉛筆」で解明することに成功 結晶の模型を使って、ブラックホールの量子情報を解読−IPMU大栗博司主任研究員と山崎雅人氏の研究成果がPhysical Review Lettersに掲載− YさんがGIGAZINEで取り上げられたと聞いてメモ。 何をやらせても超優秀な人っていますよね。物理も、数学も、語学も、研究も。だいぶ前に話をしたことがあるけど、何と言うかオーラのある人だった。 すこしでも物理を勉強したことがある人なら、下の文章を大学1年生が書いたことに衝撃を受けるだろう。 Seiberg-Wittenの仕事について 稿では、1994年に出されたSeiberg-Wittenの衝撃的な論文[SW94a,SW94b]を中心にして、近年非常に大きな注目を集めるようになってきたDualityのうち、S-duality(またはStrong-

    昔は神童、二十を過ぎればただの天才について - Active Galactic : 11次元と自然科学と拷問的日常
    tsugo-tsugo
    tsugo-tsugo 2009/04/11
    もうリンク先が凄まじすぎる。こんな奴がごろごろいるんだよー天文物理って。私には絶対無理。
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