江戸時代の町の由来や様子が記され、当時の“国勢調査”とも言える文書「町方書上(まちかたかきあげ)」の全文を収録した全8巻の冊子が完成した。江戸東京博物館(墨田区)の市民ボランティアらが、専門家でも解読が難しい筆書きの崩し字を現代の字体に書き改め、5年がかりでまとめた。大事業を終えたメンバーは「江戸の町の研究に役立ててもらえれば」と期待している。 町方書上は文政8~11年(1825~28年)に、江戸幕府が町名主に対し、地域の様子を書面で報告させたもの。町の由来や江戸城からの距離、屋敷の数、町内に立てられた高札(掲示板)の文言などが記録され、当時の江戸の生活がわかる貴重な史料だ。 記録された町は、今の墨田、江東、台東、千代田、文京、豊島、新宿、渋谷、目黒、品川、港の11区にわたり、原本は全146冊にも上る。当時の筆書きの文字を現代の活字に改めて復刻した本は、これまでも各区の図書館などで発行され