出雲国府跡(松江市大草町、国史跡)で、奈良−平安時代の公文書と書状の一部とみられる漆(うるし)紙(がみ)文書が出土し、15日、島根県埋蔵文化財調査センターが発表した。戸籍から抜き出した男性の名前などが書かれた文書の断片3点。西日本の国府跡からの出土は珍しいという。 文書は国府政庁跡の約100メートルにあった穴から、土器片や獣骨などと一緒に出土。文書には奈良、平安時代にまたがる年号「延暦」(782〜805年)のほか、当時の出雲地方に多い「日置(へき)」と推定される姓に続き、名の「真梶(まかじ)」などの墨書跡が赤外線写真で判明した。 当時は、容器に入れた漆の乾燥を防ぐため、紙で蓋(ふた)をしていた。この蓋に、使い古した文書を使用することが多く、この文書に漆がしみこみ、腐食しなかった場合、漆紙文書として発掘調査などで見つかるケースがまれにある。 佐藤信・東大大学院教授(日本史)の話「この時期は、