江戸後期から明治初期にかけて優れた蘭方(らんぽう)医が輩出した番匠(ばんじょう)村(現ときがわ町)の医家・小室家の史料を紹介する企画展「小室家文書展 在村医のまなざし」が、さいたま市浦和区の県立文書(もんじょ)館で開かれている。十月十一日まで。同館の井上かおり学芸員は「医師に高い倫理観を求め、あらゆる医学を使って命を助けた小室家の志を知ってほしい」と話している。 (谷岡聖史) 福井藩出身の医師だった小室家は一七二五(享保十)年、医師のいなかった番匠村に招かれた。三代目の小室元長は産科術や西洋医学を学んで医学塾「如達(にょたつ)堂」を設立。幕末に種痘(天然痘の予防接種)や帝王切開手術の先駆者となった医師たちもここで学んだ。