文:北林のぶお 写真:山田秀隆 広津崇亮(ひろつ・たかあき)株式会社HIROTSUバイオサイエンス代表取締役 1972年山口県生まれ。97年に東京大学大学院理学系研究科の修士課程修了後、サントリーに入社。1年で退社して同大学院博士課程に入学し、線虫の嗅覚に関する研究を開始。2000年、匂いに対する線虫の嗜好性を解析した論文が英科学誌『ネイチャー』に掲載された。翌年に博士課程修了(理学博士)。日本学術振興会特別研究員などを経て、九州大学大学院の助教だった13年、がん患者の尿を線虫が嗅ぎ分けることを発見した。その論文が米科学誌に掲載されると国内のニュースでも話題となり、16年に起業。線虫を利用した早期がん検査「N-NOSE」の実用化を20年1月に目指して、研究開発や関係機関との連携を進めている。 尿を取るだけの高精度ながん検査を実現 ――線虫を使ったがん検診の仕組みについて、あらためて教えてく