初期経典の『大般涅槃経』には、いよいよブッダがニルヴァーナに入る直前、9段階の禅定(九次第定)を上下に入出して、最後に下から4番目の禅定から完全なニルヴァーナに入ったとされています(ブッダの死)。 下から4番目からニルヴァーナに入れるなら、その上の5つの禅定は無駄なのではないかという気がしますが、この九つの禅定に関しては、もう一つ面白いことがあります。 経典を読むと、様々な禅定が出てきますが、ほとんどは思わせぶりな名前がついているだけか、非常に抽象的な説明があるだけで、各禅定において具体的にどのような心身状態になるのかなどは、まったく教示されていません。 たとえば、最高位の「滅尽定」はブッダのみが到達した境地とされますが、だとすれば、それは「悟り」とか「存命中の涅槃(有余涅槃)」、あるいは「解脱」同様の状態でしょうから、これがどういう心身状態か、極めて興味深いところです。 この疑問を考える