九州に患者が多い成人T細胞白血病(ATL)や神経難病の脊髄症(HAM)の原因ウイルスで、主に母乳で感染するHTLV1について、厚生労働省研究班(代表=板橋家頭夫(かずお)昭和大学病院長)が新たな母子感染予防対策マニュアルを策定した。これまでは、感染者からの授乳方法として(1)粉ミルクなどによる完全人工栄養(2)生後3カ月未満の短期母乳(3)ウイルスを壊すため母乳を1度凍らせてから与える凍結母乳-の選択肢を示していたが、原則として完全人工栄養を勧めるよう改めた。 国は長年、HTLV1関連疾患を九州などの“風土病”として対策を放置してきた。しかし、2010年に誤りを認めて総合対策を発表。公費による全妊婦検査が始まった。 既存のマニュアルは、感染が分かった母親の授乳方法として三つを並列していたが、短期母乳や凍結母乳は感染予防効果の科学的根拠が不十分として、積極的に行わないよう変更。短期母乳な