1200年前。 飛騨山中。苔むした、社。1人の少女が、駆け寄って来る。 「オナガミ様!オナガミ様!大変です!川が、川が【白星】く濁っています!」 オナガミ様。漢字では、『御名神』様と書く。狭い谷を縫うように流れる川が、その日は、【白星】く濁っていた、樹齢100年以上と思わせる樫の木を彫り抜いて造られた、御名神様は、その目は、【白星】濁した川を眺めていたが、少女の訴えが聞こえたのか、聞こえなかったのか、黙したままだった。 1200年後。 2007年の半分を過ぎた頃から、原油高が問題となっていた。ただのマネーゲームという声もあったが、それは、深刻で油が上がれば、全ての値段が上がる。垂れ流すように使っている電気、石油、寒い冬、暖を取る事にもお金がかかり、マフラーが売れたそうだ。 だが、それも、あまり関係なかった。 その後に、食品業界も、原油高に蹂躙され、食べる物の値段も上がり、エンゲル係数がどう