鹿児島県の離島・徳之島。今年7月、奄美大島や西表島とともに世界自然遺産に登録された。この島を「世界最北端のコーヒー豆生産地」にするべく、約40年にわたって奮闘している人がいる。台風の被害を受けて仲間が去ったこともあれば、出稼ぎをして生活をつないだ時期もあった。試練続きの道のりだが、今では外部企業、役場、生産者が一体となり、徳之島の新しい産業として盛り上げている。「あと5年もすれば、コーヒー豆栽培でご飯を食べていける人が何十人も出てくる」。人生を捧げる「国産コーヒー豆作り」について聞いた。 ●「馬鹿じゃないのか」と言われた無謀な挑戦 「徳之島を国産コーヒーの生産地にしたい。もし仮にこれが成功すれば、世界で一番北のコーヒー生産地にもなる。(周囲からは)『あいつ馬鹿じゃないのか』というのが一つと、『ようやるね』と」。 そう話すのは、徳之島コーヒー生産者会会長の※吉玉誠一さん(76)だ。奄美大島と
「コーヒー作りは、育てていた畑の木が全滅してからハマった」 奄美群島のひとつ、「徳之島」でコーヒーの木を育てている宮出博史さんは、「全滅」というショッキングな過去を、心なしか少しだけ楽しそうに語った。大阪から徳之島に移り住んだ彼は、地域おこし協力隊の仕事と掛け持ちで、徳之島の土地に合うコーヒー作りの確立と、国産コーヒーの未来を切り開く仕事をしている。 「不思議な人です」 同じく大阪から移住して、宮出さんのコーヒー作りを手伝う石垣さんは、彼のことをそう表現する。日本におけるコーヒー栽培の教科書はない。先駆者となる諸先輩方でさえ、今も試行錯誤しながら道を作っている。そんな中、宮出さんの好奇心と探究心は、これまで「個性がないのが個性」と言われ続けてきた国産コーヒーを、確実に変えつつある。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く