映画「この世界の片隅に」で声優を務めたのん(本名・能年玲奈)さん=東京都新宿区で2016年11月1日、梅村直承撮影 「神は細部に宿る」の言葉がふさわしい。アニメ映画「この世界の片隅に」で、主人公すずの声優を務めたのん(本名・能年玲奈)は、作品の時代考証、描写を徹底的に体に染み込ませ、一人の生身の女性を演じきった。「私もつらいときは、すずさんみたいにワーッと泣くけれど、すぐ忘れる。ポジティブなところは似てるかも」 こうの史代の原作漫画は、戦時下の広島を生きた平凡な女性すずの生活を、日記のようにつづる。食事をし、洗濯し、縫い物をし、絵を描く。機銃掃射され、焼夷(しょうい)弾が落ちてくる。「私は戦時下の生活を、別次元の非日常と思っていた。けれど原作を読むと、日常と非日常は隣り合わせで、生きることが続くのが大切に描かれている。新鮮で、ぐっときた」と振り返る。 映画も戦時下の生活を描くが、陰鬱ではな