「どうも欧米の人々はキリスト教と科学技術、資本主義の限界を感じ始めていて、この行き詰まりを打開するには、もっと違う考え方があるのではないかと気が付き始めた節があります」 そう語るのは京都大学総長の山極壽一氏(67)だ。20代の頃から、アフリカの熱帯雨林でゴリラのフィールドワークを続け、霊長類学の世界から人類について考えを巡らせてきた。その山極氏が指摘するのは、一神教の世界である欧米と多神教的な世界である日本との根本的な思考スタイルの違いだ。2019年6月、パリで京都大学とフランス高等研究院のシンポジウムを開催した際、一神教ゆえの欧米社会の「行き詰まり」を感じたという。