敵基地攻撃能力の保有は、憲法9条に基づく専守防衛を変えるかもしれない重要な問題であるにもかかわらず、政府や自民党は水面下で準備を進めてきた。 第2次安倍政権の2018年には、相手の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ防衛能力」が防衛大綱に盛り込まれ、開発費などが予算化された。周辺国にも到達可能な長射程ミサイルだが、政府は日本の島しょ部防衛のためと説明。当時の安倍晋三首相も「敵基地攻撃の目的ではない」と述べていた。 だが、実際は「布石」だった。18年に国家安全保障局次長だった兼原信克氏は今年10月、本紙に「将来は反撃能力(敵基地攻撃能力)にしたいとの思いだった。周辺国が日本を射程に収める中距離ミサイルを持つ中、日本国民をどう守るか考えた結果だ」と証言。安倍氏も昨年11月の講演会で「スタンド・オフ・ミサイルを反撃能力でも行使できるようにすべきだ」と本音を明かした。