父親が団塊の世代だと言うと、いつも少し意外そうな顔をされます。 「奥山くんは、ご両親にとって随分遅くに生まれた子供なんだね」 父親が36歳のときに僕が生まれました。テレビの制作会社で技術職についていた父は、若い頃恋愛をする暇などなく働き、ある程度歳をとり仕事も落ち着いてから母と結婚し子供をもうけたのだそうです。 テレビ業界で働いているというわりに、超がつくほど生真面目で頑固で暴力的な父と、美容師で普段いい加減過ぎるほどにいい加減な母には、一つだけ共通点がありました。 二人とも、仕事が大好き。自分の仕事に誇りを持っていました。 だから僕は幼い頃から、「人生はお金だけじゃない。生きがいになるような仕事を見つけて、一生懸命、人様のお役に立つように頑張りなさい」と、そんなことを言われて育ちました。たいして裕福ではないけど、そこそこしつけの厳しい家庭。当たり前のように僕は、自分も両親のような人生を生