少子化の原因はさまざま言われているが、産みたくない女性が素直に産まなくなった、ということが一番大きいのではないだろうか。子どもを持たずとも“普通”に生きていけるようになった以上、欲しくもないのに子どもを産んだり、育てたりする必要はない。かつてはその選択ができなかっただけだ。 歴史をひもとくと、共同体の一員として妊娠、出産を繰り返しながら生きることが女性の宿命だった。産めない女性には「石女(うまずめ)」というレッテルが貼られ、ペナルティを課せられた。こうした「石女」差別は、地域にもよるが戦前までは日本各地に見られた。 不妊の原因が医学的に解明されるようになっても、「石女」は「前世で人を殺した」「先祖が生き物をたくさん殺した」などと言われ、その原因が本人や先祖の悪業にあるかのように責められた。 また、「石女」は「家」にとって不都合な存在であるばかりでなく、村などの共同体にとっても「不幸の源」で